声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

マイペースな先輩

2013-01-06 21:47:34 | 自衛官時代の想い出
伊丹駐屯地で暮らした頃の
婦人自衛官管理隊( 通称WAC管理隊)はこじんまりとした鉄筋二階建ての建物でした。

男子禁制で、一般では寮長に当たる管理隊長も女性幹部が務めます。

居室は、それぞれの班で構成され
5人~6人で生活しましたが、

ここも階級で分けられており、
三等陸曹以上は別の部屋で寝泊まりす
ることになっていました。


私が管理隊で生活を始めた当時は、
居室も職場ごとではなく、バラバラで構成されていました。

夕食は隊内に一カ所だけある隊員食堂で取ることになっていて
教育隊と違って強制ではなく、それぞれ自由に食べても良いことになっていました。

食堂のメニューを見て、苦手なものが出る日には、
比較的自由に外出ができる先輩達の中には、業務後に外出して外食して来る人もいて、
私たち新隊員は羨ましかったものです。

そんな時は決まって、お土産の差し入れがあり、
居室の中央にあるテーブルの上には
ミスドやマクドが並ぶ日が多く、
オヤツにはいつも恵まれていました。


当初、私の居室は通信隊の隊員が2名、会計隊が2名、そして音楽隊の私と、
もう1名は業務隊の隊員の6人部屋でしたが、

気前の良い先輩と同室になると
ラッキーですが、そうでない場合もあります。

ある時、同期のD二士がやってきて


「音楽隊のM士長ったら、めちゃ、
がめついねん。」

と愚痴をこぼしました。

WAC管理隊では朝食は、当番制で隊員が食糧班まで取りに行くのですが、

日曜日の朝はパンと牛乳、果物、ヨーグルト、食パンにジャムやバターと
いう学校給食のようなメニューが一般的です。

どうやらM士長は、そのジャムやバターをこっそり集めて自分の名前を書いた袋
に入れて冷蔵庫に保管しておくらしいのです。

うっかり目を離した隙に、ジャムやバターが無くなってしまうのだとD二士は嘆いていました。


M士長は音楽隊のWACの中では珍しいほどマイペースな人で、

私を含め他の4人が、
「一緒にお茶しませんか?」
と訊いても
「私は結構です」
とつれない返事をすることが多い人でした。

きっと一人でいることが好きなのでしょう、友達もいないようでした。

そんな人と居室が一緒になると確かに気を遣いますよね。

D二士も困り果てて、同期の私に相談に来たようでした。

がめついというのは初耳でしたが、
そういえば・・という節もなくは
なかったのです。

音楽隊では、訪問者から差し入れがあることが多いのですが、なぜか
箱入り菓子類は「一列目がない」状態で事務室に入ってくることがありました。

年長のO三曹が、

「あ~ら、M士長のところを通過したと見えて、1列目がごっそりなくなっているわねぇ・・。」

と苦笑いすることも多かったのです。


M士長は、私が音楽隊に配属になった
翌年に退職して四国の実家に帰ったと聞いているので1年だけの付き合いでしたが、
郷里で結婚したと聞いています。

何があってもマイペースを貫く強靭な精神の持ち主だった彼女は、
きっと、しっかり者の主婦になっているはずです。







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