イタリアの芸術家が
『目に見えない彫刻』として出品した作品が、200万円で落札されたという記事を読んだ。
街の広場の石畳の上に正方形のテープを貼って区切ってあるだけの《作品》だが、
その映像を観ながら、
私は久々に、ときめいた。
人は見えない物を見ようとする性質があるらしい…
不思議なことに、
映像の中の、その四角く囲まれた場所だけが、
凝縮された特別な空間の様に思えた。
四角い場所といえば、
シチリア島にある紀元前に建てられた神殿も、四角で囲まれている…
誰を祀ったものかわからないC神殿などは、
その四角い空間で、かつて多くの神事が執り行われ、人々が祈った。
遥か昔に造られた遺跡ではあっても、
それらの映像をじっと眺めていると、
そこで祈っていた人たちの念のような物が残っているように思えてならない。
薄い衣を身に纏ったギリシャ彫刻のような人々の姿を想像するのも楽しい。
…で、
例の《目に見えない彫刻》だが、
あそこに何が見えるのか?
四角いテープの空間には、
見る者によって、
見る日によって
見る時によって
様々に見えるものが変化するのが面白い。
見方によってはバカバカしく思える日もあるかも知れないが、
コレぞ、
まさに芸術ではないか。
(⌒-⌒; )