ナレーションの仕事を終えて外に出てみると、
お祭りの山車が鐘と太鼓を鳴らしながら近づいてくるところだった…
( あっ、そうだった。今日はお祭りだった )
お囃子を聞くと自然にウキウキしてくるのはいつものこと。
つくづく、
日本人だなぁ…と感じる瞬間だ。
今日は、県邦楽協会の定期公演で
一日中、たっぷりと和楽器の奏でる音色に親しませてもらった。
かれこれ10年以上も続けさせてもらっているが
曲解説のナレーションは、
自分にとって、とても良い勉強になっている仕事の一つだ。
中能島欣一や宮城道雄は、中学の音楽の授業で少しだけ習った記憶があるが、
邦楽を聴く機会の少ない音楽教育を受けてきた私は、いかに自分が無知であったかを実感する。
「小督の曲」の解説には、
高倉天皇や平清盛の話に絡んで、宇多源氏である源仲国が登場する。源氏は母方の祖父のルーツらしく、遥か昔の話ではあるが、やはり興味深い。
江戸時代前期に八橋検校が作ったと言われている“六段の調”も、平成に入ってから宮田耕八朗が編曲し「編曲・六段の調」として演奏される。
京都の八つ橋のルーツは八橋検校からきているという説もあるらしい。
私にとって、まさに温故知新である。
その上、
今日は、懐かしい人と再会できた。
今から十数年前、
最初にナレーションの仕事依頼をしてくださった地元新聞社事業部の元社員Kさんだ。
終了後に一緒に帰りながら、むかし話に花が咲いた。
最初に台本をKさんから渡された時に、専門用語の多さに戸惑ったことや、
その頃、いつも舞台の袖で“間”の取り方や“読み”の速さ、声のトーンについても細かく指導してくださった今は亡き尺八奏者のS先生のことも…。
わずかな時間だったが、
Kさんと一緒に仕事ができて本当に良かった。
これからも、地道にコツコツと、この仕事は続けたいが、
やはり、もっと勉強しなくてはダメだな…。
今日も、良い1日だった。