毎年暮れも近くなる頃にあきこさんのお漬物が送られてくる。
昨年もその時期がきて例年通りに届けられた。
1年ぶりにいただく大根の粕味噌のお漬物だ。
送ってくれる前に必ずと言っていいくらいなにかひと言がある。
「今年は前の年より大根は太くなくてよかったけど、毎年漬けている
というのに同じようにならないの」と嘆くように言っていた。
その後に「そうはいってもまずまずのおいしさにはできたと思うのよ」と
言っているように聞こえてしまうのは、長年の実績があるからというもの。
作った方にするとパーフェクトではないと思ってしまうのだろうが
いただく方としてはやはりあきこさんの美味しいお漬物だ。
お漬け物は買うことはほとんどなく、漬けることもなく、夏になると
サラダ感覚の浅漬けをいただくくらいのことなのだが
あきこさんのお漬け物は別格ですこぶる美味しい。
というのもお料理の上手だった彼女の義母からの直伝で代々
伝わっているせいか年季が違うというわけだ。
義母のこども達はというと誰も決して自分では漬けることはなく
みんなあきこさんの漬けるお漬け物をココロ待ちにし、そして
自分たちの母を思い出すこのお漬け物を楽しみにしているようだ。
塩で1週間くらい荒漬けをし、その後粕、お味噌、ざらめを調合し
漬けておよそ1ヶ月らしい。
やはり寒い地方じゃないと美味しくできないようだ。
切り方で味も違う。厚めに切ったり薄く切ったり、乱切りや角切り、
いろいろ楽しめる。
盛りつけもきれいに並べたり、ゴソッと無造作風だったりで
味わいも違ってくるように思えてしまうから不思議だ。
お友だちやそのお母さん、友人たちにも大人気でみんなとても美味しいと
必ずメールや連絡がくるほどのうれしい評判だ。
大ファンは売り出したらいいのにとまで言う。
あきこさんは体力的にもいつまで漬けられるかわからないと言いつつ
漬ける量を減らしながらも毎年がんばっている。
彼女の代でこのお漬け物はお終いになってしまうのだなぁと
つくづく思いつつ、今夜も美味しくいただくのだった。
ごちそうさま。