もう2週間以上前になるが「メキシカン・スーツケース ロバート・キャパと
スペイン内戦の真実」というドキュメンタリー映画をみた。
実はロバート・キャパにはあまり興味がないといってもよかったのだが
「ロバート・キャパ」という架空のアメリカ人を作り出し
写真を売り出していった3人のグループの中にキャパの恋人だった
ゲルダ・タローがいる。
そのゲルダと後々正式にキャパを名乗ることになったキャパが
スペインの内戦勃発の際に従軍し、そのときに撮った126本のロール
フィルムがメキシコで見つかった。
それをメキシカン・スーツケースと呼んでいるのだが、キャパとゲルダと
まるで知識のなかったスペインの内戦、そして難民としてメキシコに渡った
生存者たちのインタビューなど、単にキャパの4500枚の写真が見つかった
だけにはとどまらず見応えのあるいい作品だった。
スペイン内戦ではあのキャパの「崩れ落ちる兵士」
この写真はキャパの人生を変えた1枚だが、そんなことを思っていたら
沢木耕太郎の「キャパの十字架」という本に行きあたり、さっそく読んでみた。
あの崩れ落ちる戦士を撮ったのはキャパではなく、だからライカで撮った
のではなく、ゲルダがローライフレックスで撮ったものだという。
しかも訓練風景であり、足を滑らせてしまった瞬間であると。
今までいわれていた場所やその写真の兵士もどうやら違うという、なんとも
引き込まれる話に一気読みだった。何といってもキャパ好きの沢木耕太郎の
その世紀の謎に向かっていくたいへんな時間と作業、実際に何度も取材に行き
インタビューをし、自分でも当時の彼らと同じカメラで撮ってみることも。
それらのことが誰にでもわかるように書かれている。
彼の性格までもが伝わってくるので、さらに面白くさすがの作家だなぁとも
思えてしまう。
まるで知らなかったのだが、NHKで沢木耕太郎のこの推理ドキュメントの
番組があったそうで、さらにキャパの生誕100年を記念してか
横浜美術館ではキャパとゲルダの2人展も開催していたようでだ。
ちょっと敬遠していたためにまるでそのことを知らずにいて
どちらも見られず残念だった。でもNHKはオンデマンドで見られるのか
調べてみることにしよう。
このメキシカン・スーツケースがきっかけで、キャパやゲルダを含む本や映画、
作品などと、さらにおもしろい世界に入り込めそうだ。