legno-Diario-自閉症児は不思議生命体-

~自閉症のすーさん(小学1年生)といい婆さんのなんでもかんでも~

片手落ち

2004-11-18 11:48:01 | 婆さん
 婆さんは先週TDSへ行った。
 非常に楽しかった。これは、本当だ。

 ただ、1つだけどうしても気になることがある。

 婆さんは生まれて初めて飛行機に乗って生まれて初めて国境を越えアメリカのディズニーランドへ行った。この時には、まだ東京ディズニーランドはできていない時であった。

 それは婆さんが思い切り若い時である。

 現地は、何十年ぶりかの猛暑でランド内で買ったアイスクリームが手に持った瞬間からボタボタとたれてしまうほどの暑さだった。

 しかし、ワゴンでニコニコしながらかなり重いだろうと思われる衣装を着ているキャストはまるでそんな暑さは感じないように涼しげな表情でアイスクリームを手渡してくれる。しかし、額には玉のような汗が今にも落ちそうだった。
 
 わしは、「プロだ」と思ったことを覚えている。

 スペースマウンテンで並んでいる時に、その長蛇の列に「何時間ここにいることになるのか?」と思って並んでいると、前にお父さんと神経質そうな小学生ぐらいのメガネをかけた少女が並んでいることに気付いた。

 きっと、並んで30分ぐらい過ぎた頃前に並んでいたお父さんらしき人が私に「娘と同じ位の年齢の中国人ですか?」と尋ねて来た。
 「ジャパニーズ・・」と答えると「大変失礼をした。娘が『すごく素敵な笑顔な人が後ろに並んでいるから、暑いけど私ももう少しがんばるね』と言ったので、声をかけたのだ」のだそうだ。

 大変光栄である。

 しかし、娘さんは時折婆さんに神経質な目線を一瞬だけ送り余り動かない。

 スペースマウンテンにいざ今回は乗れそう・・・って思った時に「ここまで」とキャストが前の親子の所で手を出した。

 うん?まだ乗れるんじゃないのか???

 しかし、婆さんの後ろの連中は誰一人として一見間違った割り振りをしているキャストにブーイングを飛ばさない。

 次のコースターが帰って来て、今度は絶対に乗れる!!って思った時、前の神経質そうな女の子はくるっとターンをして婆さんに向き合い「ニコ~~~~~」と笑って「グッドラック」と言った。

 すごく嬉しかった。

 女の子がお父さんの肩を借りコースターに乗り込む姿を見て「視覚障害者なんだ」と言うことがやっとわかった。

 婆さんは感動した。

 どうして、黒色のメガネをかけていなくても女の子が視覚障害者だとキャストは気がついたのだろうか?

 そして、なぜ見知らぬ人への特別待遇に対し、後ろに並んでいた人達は文句を言わなかったのだろうか?

 ウォルトディズニーは言葉は悪いが「弱者にも平等に楽しむ権利」を強く望んでディズニーランドを作ったと聞いたことがあった。

 ランドには夢と希望と冒険があって、健常者も障害者も同じようにそれを体験できるように配慮されているのだ。

 健常者はいつもならそのような特別待遇を「不平等」と怒鳴ることかもしれないのに、そこがあのディズニーランドだから、自分もすご~く楽しんでいるから「一緒に楽しもうね」と言う気持ちになる・・なって欲しいとウォルトディズニーは思ったに違いない。

 だとすれば、アメリカのランドは成功だ。

 でも、日本はちょっと違う。

 キャストが大きな声で「1時間以上前からシート等で場所取りをしないで下さい」としきりに言う。

 婆さんの甥が(重度障害者)ランドに行った時に、ショーを見るのに車椅子の特別席へ案内されたそうだ。しかし、その席に行くと見るからに元気そうで、ただただミッキーマウスを近くで見るためにもぐりこんだとしか思えない人達がウジャウジャいたそうだ。
 甥の両親は「どうするのかな?」って思っていたら、キャストの人が見事にその違反者を撃沈させた・・・そうだ。
 でも、その方法、言葉は決して違反者の気持ちを逆撫でしないものだった・・・そうだ。
 渋々ではあるが、「ここは私達がいてはいけない場所でしたね」と納得して別の場所へと移動して行った・・・そうだ。

 音と映像の究極のマッチングを耳が良く聞こえない、よく見えない、立ってミッキーに声援を送れない人にも見て欲しいから、聞いて欲しいからその席があることを日本人には理解が薄いようだ。

 一言言わせてもらう。

 「そんなせこい気持ちでディズニー見るなよ!!」

 普段なら人を押しのけて、蹴落としてでも自分さえよければと思うが、ランドなら自然と優しくなるってことはないのか??

  悲しいことだな。

 そんな人達に被災地で不自由な辛い生活をしている災害弱者に対してどう思うか?と尋ねたら、きっと、

 「あの人達を優先的に考えてあげて欲しい」

 などと、ほざくに違いない。

 婆さんは聖人ではないが、ランドに行った時ぐらいいつも持ち歩いているずるさを忘れたいと思うのだ。

 

 

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