legno-Diario-自閉症児は不思議生命体-

~自閉症のすーさん(小学1年生)といい婆さんのなんでもかんでも~

視覚支援の難しさ

2007-03-02 11:36:11 | すーさん

視覚支援の難しさ



今更、何を言っとるか! そこの婆さんや・・



そ・そ・そうなんじゃが、

改めて、


視覚支援の具体的な形や提示方法・並びに提示時期など、

その難しさに直面しておる。



行き詰っておるのとはちと違うのじゃが、

足の踏み場のないほどに散らかってしまった部屋を

どこから片付けたら良いのか?・・・みたいな


その優先順位をつけられないでおるのじゃ。




ありがたいことに最近いくつかの具体的な視覚支援についてのリクエストを頂戴した。

(絵カードであったり・フラッシュであったりと・・・)


どれも婆さんの心積もりの中に存在していた視覚支援への課題であったので、

改めて驚いたりすることはなかったが、

「ここ!一番!!」の絵が出てこない。




と、思っていた・・・昨日のことじゃった。




久しぶりにすーさんの保育園の担任の先生二人と懇談する機会を持った。


来年度に向けてのなんらかの変化を通達されるのかと思ってドキドキしたが、

そうではなかった・・・・・・が!



すーさんの問題行動が明らかになった。



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その前にちょいと婆さん得意の「背景説明」をさせて頂こう。



先週の金曜日にすーさんが

「酸っぱいウン●」がピュピュと出てしまう状態の日に

レンタルビデオ屋さんで「ミッキーとミニーはなかよし」

というタイトルのDVDを借りてきた。


ディズニー系をすーさんに見せるのは「ファンタジア」以来2本目である。


ディズニーアニメーションの短編集である。

それを観ていたすーさん。



時折、(笑)が止まらなくなるシーンがある。



それが・・・なんとけしからんことに


「怒るシーン」なのである。



ミニーが早口でミッキーに怒り言葉の手裏剣をパッパッパッパっと投げるシーン。


デイジーが興奮しながら心療内科の医師にドナルドの変貌の様を嘆き悲しみながら訴えるシーン。





なぜ、笑う?






なかよし・・とはかけ離れたシーン  だぞ。


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で、昨日の懇談の際に

婆さんは担任のスナップ先生とあんみつ先生に言った。






「怒っていることをおかしいことと誤解しているように感じる」


「これはよくないことなので、”怒り”をどうやってわかってもらえるかを模索中である」





で、懇談の終盤で加配のスナップ先生がおっしゃった。



「すーさん、お友達を おす んです」



婆さん:うゎっ、おしますか?


スナップ先生: おします


婆さん:まずいなぁ~


スナップ先生: それで、「すーさん、おしたら×だよ」「おしたらいけないんだよ」とそれなりの表情ですーさんに伝えます。


婆さん: で、あいつは?


スナップ先生: 笑います


婆さん; あちゃーーー、笑いますか?


スナップ先生: いけないことをしたので注意されていることはわかっているようなんですが・・・・・・


笑います。


婆さん: 奴はいつもやられるだけだったのに。


スナップ先生: そうなんです。すーさんは仕返しとか怒るとか全くしないですが、
          一回だけあのすーさんが怒って仕返しをしようと試みている場面があった時、
          保育士としてはいけないことだと思ったんですが
          
「いけっ!すーさん」と思いながら静観してたことがありました。

          怒る・嫌だって感情を表に出してくれたのがとても嬉しくて・・・つい。


婆さん: その後どうなりましたか?


スナップ先生: 不発に終わってしまいました。


婆さん: 不発でしたか?


スナップ先生: 相手のお友達がスッ~といなくなってしまったので。




スナップ先生: だけど、私はよくすーさんを怒らせるんです。焦らしたり、意地悪して(笑)



スナップ先生はすーさんの喜怒哀楽が表面化することをずっとずっと応援してくれておるのじゃ。

それがよーーーーくわかっているので、スナップ先生の意地悪は全く意地悪ではなく、

支援であり、愛情ある保育なのである。


スナップ先生: でも、最近のすーさんの「おす」は、仕返しでも怒りでもなんでもないんです。
          相手のお友達に対する悪意は全く感じられず、

       ポ~ン
とかフワァ~と おすんです。
          私が怒る(注意する)のを楽しみにしているかのように。



婆さん: ウガッ!・・・・やっぱり。


スナップ先生: 先ほどのお母さんのお話を聞いて「もしかしてこれも同じ」かなと思って。


婆さん: 同じでしょう・・・たぶん。


スナップ先生: こういう時はどうやってすーさんに言ったらいいのかな~と。
          色々と言い方を変えてみるんですが、もう、すーさんが


          
笑らっちゃうんですよ。


婆さん: 注意されているのに笑うとはこの不届き者めが・・・



(婆さん、考え中)




婆さん: じゃぁ、絵カード作ります。爺さん、それがいいよね?
     (隣にいる爺さんに)


爺さん: そうだね、言葉よりも絵の方がいいね。


スナップ先生: 絵カードを見せながら話せば・・


婆さん: スナップ先生は多くを語らないでいいです!


スナップ先生: いいんですか?


婆さん: 顔は能面で・・・・お願いします


スナップ先生: の・う・め・ん・・・ですかぁ? できるかな。


婆さん: カードを提示している時だけ NO-面 で。


スナップ先生: あぁ~よかった。ずっとNO-面は無理かなぁ?と思って。


婆さん: あっはっはっは、いや、”その時限定”でお願いします。


爺さん: 本人がカードに書いてある文字も読みますから大丈夫です。


婆さん: そそっ、そこでスナップ先生が表情を変えたり多くを語るとかえって
      ”おかしさ”
を呼び出して(召還)しまいますんで。(笑)


スナップ先生: やってみますね。


爺・婆: やってみてください!



爺さんが昨夜作ってくれた「おさない」の絵カードを今朝パウチして連絡帳に挟んだ。

現在、会社で販売している「おさない」押しのけるという意味合いが強いので、

新たに制作したのであった。





【追伸】


すーさんが乳幼児の頃(今も幼児だが)や診断前の問診で、


「ダメだとわかっていても面白がって親の顔色を伺いながらやりますか?」

「親の気を引こうと何度も同じことをしますか?」



という質問に婆さんは「一切なし」と答えてきた。




もしや、今ごろ、やり始めたのか?




とは言え、やはり「人をおす」のはよくないことだ。

いけないことだ。


出来上がった1枚の絵カードが”すーさんのその時に有効か?”はわからない。



視覚支援ってのは奥行きも幅も無限大だ。

どれもこれも「やってみ」ないとわからないものばかりだ。


だから、有効を願いつつ「やってみる」しかないのである。



【補足】---2007年3月3日朝更新


すーさんが「お友達をおす」→スナップ先生が注意する→すーさんが笑う

の部分に補足をさせて頂きます。


●すーさんが「お友達をおす」時は

・スナップ先生がすーさんのそばにいる時だけ
(スナップ先生に自分がしたことを見てもらえる状況)


●スナップ先生は全体的に「コミカル」なイメージの先生です。
 すーさんの反応を引き出す方法として
 すーさんが周りの環境にビビっている時はすかさずその場所から連れ出し、
 すーさんがもう少し頑張れそうだ!と判断されたときは
 頑張れる楽しいきっかけをすーさんに見せてくれる。
 すーさんが親以外に「本気で訴えることができる」唯一の人である。

●スナップ先生が「お友達をおした」すーさんに対し
 強く注意すること(激怒)することができなかったのは事実である。
 そして、すーさんが「おすのは×」「いけません」と言葉を発するので
 「いけないこと」と念を押す程度だった。



●スナップ先生がすーさんに注意した(叱る)(怒る)話をお聞きした感じでは、
 注意の仕方の中に「いつもの面白いスナップ先生」が見え隠れしていたと
 婆さんは受け取った。


●「お友達をおす」ことですーさんが期待しているのは、
  スナップ先生の「面白い(笑ってしまう)」部分を見たいということだろう
 と婆さんは推測した。



---- で。昨朝、爺さんが制作した絵カードをすーさんに見せた ----




第一声は

「あっ、あぶな~~~い」

次、

「い・た・い」

次、(絵カードから少し体を離して見始めた)

「ポ~~~~ン」

次、

「それっ!(元気よく)」


そして、婆さんはここで初めて絵カードを指差し言った。


婆さん:「ここになんて書いてありますか?」


すーさん:「お・さ・な・い」


婆さん:そうだよ、おさないんだよ。おしてはいけない。


すーさん: お・さ・な・い


すーさんは絵カードを持ってそう言った後、しばらくカードを持ったまま動かなかった。


無表情のままで。


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すーさんはやはりきちんと理解していないことは絵カードを見て発した言葉からよくわかった。

人を押している絵から「危ない」「痛い」などのイメージを持った後、

「ポ~~~~ン」「それっ!(元気よく)」と遊びへのイメージに移行した。

押している相手が具体的な子供(友達の写真や少年少女の姿)ではなかったことが、

すーさんには遊ぶ「ボール」をイメージさせたのかもしれない。

スナップ先生が
「すーさんはポ~~んとかフワァ~とおすんです」
とおっしゃった事と一致する。

最近、ボール遊びにも少しは参加できるようになったと聞いていたし。


だから、婆さんは最後にすーさんにはっきり聞いた。






婆さん:「この子はなんて言ってる?」







すーさん:「やめてよぉ~」







婆さんは絵カードを連絡帳に挟んで保育園用のリュックにいれた。


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