電影フリークス ~映画のブログ~

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死闘!香港のゴッドファーザー

2012-03-22 00:00:00 | 成龍的電影

今回は、金振八主演「死闘!香港のゴッドファーザー」(原題:『満洲人』。以下、『満洲人』と記します)の魅力について少々書いてみたいと思います。 

この映画は73年に製作され、同年に「カラテ愚連隊」を監督することになるジョン・ウーが副監督の一人として参加していて(出演も兼任)、「カラテ愚連隊」より少し前に関わった作品になっていたと思います。

8ミリフィルム発売時の邦題がついてます(これは英語タイトルを直訳したものですね)コッポラの洋画「ゴッドファーザー」(1972)の影響により製作されたのかどうか分かりませんが、オリジナルのゴッドファーザーは香港でも『教父』として73年秋に公開され大ヒットしてますから当時、流行っていたのかも知れません。

この映画が香港映画として、どういう位置付けであったのかを分析するには、まずは会社がどこでとかプロデューサー、監督は誰?というのも把握しておく必要があります。
この映画の監督は「カンフーエンペラー」(1983)を監督したパオ・ホッライの奥様で、チン・シューメイという女性でした。(プロデューサーはカイファ・フィルムの陸正行と兼任。)邵氏で夫の監督作品のシナリオを担当していましたから映画を夫婦で作っていることになりますね。
この夫婦は会社をいくつも転々としていたのですが(威靈公司もその一つ。詳細は後述)、数年後には先日書きましたチェン・カンタイの『LAYOUT』 や少し後になってからティ・ロンの「カンフーエンペラー」を製作していたという事です。(未公開作品なら『風流殘劍血無痕』という武侠片もあるのですがこれはなかなか面白いのでおすすめです!)

『満洲人』を作った製作プロ、世界影業はパオ監督が邵氏から独立、起業し陸正行と折半で出資して作った会社だったと思いますので、『満洲人』はおそらくこの夫婦によって作り出された映画ということになるでしょう。通常なら監督になるはずなのに何らかの事情で(夫の方が多忙とかで?)妻を監督という立場にさせて、実質はジョン・ウーら副監督たちに仕切ってもらったとかそんな話かもしれないですね。

最近の記事の流れからいくと、73年前後の作品に集中して来てますが、この時期というのは詳しいことがあまり知られていない事が多いので、実際の映画がどんなものだったのか想像してみたり、製作者が誰を使って何を描きたかったのか等々、考えてみると次から次へと興味が湧いてきてキリがありません。実際ネタの宝庫ですので、自分で調べてみるといろいろ分かるので本当に面白いと思いますし、時間はかかりますが順を追って確認していこうと思います。

そしてまたこの映画『満洲人』も、ジャッキー・チェンが関与した映画と思っています(笑)。

この話はジョン・ウー自らがインタビュー本で語っていますし、ジャッキーの自伝に書かれていたエピソード、つまりハーベストのスタジオの撮影現場に現れたパオ監督から仕事の依頼を受けたのがおそらくこの『満洲人』ではないかと思うのです。

威靈公司という会社を古い書籍などで目にしたことがあるかと思いますが、この実在する会社の名前がどうして出てくるんでしょうね??

推測ではありますが、この時期(72~73年頃)にパオ監督と関連のある映画にジャッキーが関わったということになると想像できます。実際に威靈公司作品に関与した事実は見つかっていませんが、この『満洲人』だけがジャッキーとパオ監督を結ぶ唯一の作品と思われ、上記のような推論になりました。

(参考)インタビュー本での記述(byグーグル先生) 

http://books.google.co.jp/books?id=_krI0_M3hCUC&pg=PA21&lpg=PA21&dq=john+woo+manturian&source=bl&ots=a3-NiCa3W2&sig=soVTR6qEYy7Sp4hEgPc6jexVqps&hl=ja&sa=X&ei=lKFkT9OyCMTkmAXPoYCtCA&ved=0CFYQ6AEwBg#v=onepage&
q&f=false

この記述のようにジョン・ウーが昔の出来事を覚えていて、しっかりタイトルも具体的に挙げていたのも以前から目を付けていたジャッキーと初めてコラボするようになったりとか、まだ駆け出しの頃のジャッキーが同じ映画で協力していたのをあとで思い出し、印象強く残っていた・・という可能性もあるかも知れませんね。 

あと面白いのが、次の「カラテ愚連隊」につながる部分を感じることができるからですね。(ストーリー設定も少し似ている部分があります)

実際の映画の方はどんなものなのでしょうか。 

まず「ザ・カラテ2」などで知られる韓国の金振八が主演しています。 
画像
彼はカイファ・グループの羅馬監督によってグループの看板として起用され、最初の映画『大除害』に主演して得意の合気道を見せていました。
当時、同じグループで武術指導をしていたジャッキーとは当然つながりがあったはずで、この頃からの知り合いだったのでしょうね。
辮髪で満州人を意識?

その彼が主人公で物語は進行します。
清朝末、麻薬密売組織と対決する一人の男。売春婦との恋。その周囲の人間たちの数奇な運命を描いています。

この映画の最大の魅力はもちろん彼ですね!。『大除害』に続く香港映画への出演ですが、彼の繰り出す蹴りはとてもなめらかでいつみても素晴らしく感動してしまいますね。

『満洲人』でも当然ながら得意技の豪快なキックを披露して、表情も豊かで一番冴えていたように思います。 

ジャッキーと金振八との交流も興味のあるところですが、劉家榮ら他の龍虎武師たちとの交流はどうだったのでしょうか。気になるところです。

途中、こんなシーンが出てきます。
金振八は布にパンチして穴を開けます(笑)。

このシーンあまり見た事がないですが、ジャッキーが「蛇鶴八拳」でも見せていましたね。

「蛇鶴八拳」

マフィアのボスを演じるのはチャン・ナンです。 
 
同じ様なボス役が多いのであまり区別できませんが(汗、この時期は引っ張りダコですね(笑。

その手下に扮したジョン・ウーは、あまり目立ちませんが、ちょこちょこ顔を出します。

 (右)ジョン・ウー

副監督のクレジットにはジョン・ウー含め3人の名が連なっています。 
その一人にワン・カイイーがいます。 
  呉字森、黄祥勤、王凱怡

彼はこの『満洲人』のあと、「カラテ愚連隊」でジョン・ウーと共同で監督することになります。  ジョン・ウーもこの映画に出演しながら、友人のワンと次の映画「カラテ愚連隊」を夢見ていたのでしょう。


売春婦役にはシャーリー・ファン(黄莎莉)。


「カラテ愚連隊へ続くこの二人、
チェン・レイ
敵とも味方とも分からない不思議なキャラクターが彼。

フォン・ハクオン。よく出てます(笑  
 
ここでは馮源という珍しい名前を使っています。 殺し屋役の馮源は赤い蝶ネクタイで登場。ピストルを乱射します。。

赤いネクタイと言えば・・・
こんな作品も。

 ちょっと、おまけ。『元甲』より

主要なキャストはこんなところでしょうか。

ジャッキーは残念ながらクレジットも何もありませんでしたが、僅かながらの参加。
そして、次の仕事(ジョン・ウーに本格的に仕事をもらった「カラテ愚連隊」)につながっていったことは想像に難くないところだと思います。

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