白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

悲しい旅

2009-02-01 | 日常、思うこと
1月31日、小牧発JAL4376便は定刻より遅れて出発し、
低気圧の影響もあって烈しい気流に錐揉みされながらも
無事に高知に到着した。
シャトルバスもなく、タクシーで高知市へ向かう道中は
一足先に高知を訪れ、帰途に就いた知人への電話や、
四国を初めて訪れた理由の話に始まり、
運転手の、若くして親を亡くした経験の話に終わった。
当夜の安宿に大量のビールを持ち込んで、飲み続けて、
眠ったのは、夜も白み始めるころのことだった。





2月1日、早々に安宿を出て、朝食とコーヒーを求めて
街へと歩いたけれども、
高知駅前は区画整理事業の只中にあって、ただの一軒も
喫茶店がない。
はりまや橋へ歩く道中のビル群の殆どが空きテナントを
抱えていて、まるっきりがらんどうのものさえあった。
はりまや橋まで行ったものの、ついに一軒も見つからず
高知駅内のベーカリーで食事を取った。





東京から高知入りしたBIFF氏と連絡を取り、回転寿司店で
合流した後、葬儀に参列した。
棺の中の彼に花を手向けようとして、手が震えた。
花で飾られた祭壇も、いたずらっぽく笑っている遺影も、
何だかいっさいが悪い冗談のようで、
棺の中の彼は彼ではないようにしか思われず、
本当の彼は変わらずに、声を掛ければ「どうも」、と、
ふらりと違う所から現れるような気がして、
また、いつか大阪を訪れるときには、軽やかで明るい音で
基礎練習をいつもと同じようにしているような、
違うところで生きている気がしてならないのに、
眼の前には死という圧倒的な現実があって、
間違いなく、いまここでそれを見届けている自分がいて、
あってはならないあまりの不条理は、どうにも許し難い。
彼の残した音源が会場に流れた。
とてもいい演奏だった。
悔しい。





出棺後、BIFF氏とともに高知空港に移動し、
土佐料理店で昼酒をし、3時間ほど話をして過ごした。
BIFF氏を見送ったあと、JAL4375便にて名古屋に戻った。






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心から、ご冥福をお祈りいたします。

                      合掌






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