白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

冷たい夕方

2008-11-23 | 日常、思うこと
冷たい夕方、 光の繊維が、ほそくほそく千切れて尽きていくさまを 窓越しに、風邪の臥し床から平行の眼で観ておりました。 ふと、思う、という、不図、という、はからずの声に なにものか、影がそっと、移っていきます。 かそけき、余白に染みて落ちない、薄墨の、声、 雪が雨よりもすこし遅れて地上に到達するのと同じくらいに すこし遅れて、響いてきます。 心臓を下にして横たわっておりますと、 . . . 本文を読む

眼差しを折り返すこと

2008-11-22 | 日常、思うこと
「人は皆、泣きながらこの世にやってきたのだ」                (「リア王」 シェイクスピア) ***************************** Colleenの音楽が、内なる銅鑼を無数の爪で弾いた。 掻き毟られてしまったので、 10分ほど、鍵盤を叩きつけ続けて、調律が狂うほど叩き続けて、 指先に血が滲んで、鍵盤のあちこちに、ペテルギウス、あるいは アンタ . . . 本文を読む

今後の予定

2008-11-16 | 公開書簡
12月21日~23日@東京、休暇。 皇居近辺に宿泊の予定。 ただし、仕事の都合によっては、22日は経済産業省へ 行かねばならない。 そのあと、友川カズキに「生きてるって言ってみろ」と 叫ばれるため、渋谷に行く。 「一番いい人として、ひっそり命がけで生きていて下さい コヒシイ」                            (太宰治) 癒えない。 . . . 本文を読む

水鏡

2008-11-09 | 音について、思うこと
水鏡を、胸の底へと嵌めてあります。 そこへとなにか、美しいものを、 石にしてから投げこみます。 ちゃぽん、 波紋のせいで、胸底に映る碧空も揺れて乱れて、 綿雲が、白板にまでひき延ばされます、 それに、ことばを書き連ねます。 *************************** かそけき呼吸の、ほとんど静寂となる夜に、 押し黙ってひそやかに、ペルセウスの瞬くのをば じぃっと聴い . . . 本文を読む

オーダースーツ仕様覚書

2008-11-05 | 日常、思うこと
テーラーに赴いて、スーツを作ってきた。 ややブラウンがかった、濃いチャコール・グレーをベースに、 幅2mm程の灰白色のチョーク・ストライプを2cm毎に配し、 そのあいだに、アクアマリンの滴を薄く垂らしこんだような ステッチを織り込んだオルタネート・ストライプの生地、 DORMEUIL ICE super 120’s Made in England ウール88%、モヘア8%、カシミア4%の . . . 本文を読む

メルロ=ポンティ 読書ノート

2008-11-01 | 哲学・評論的に、思うこと
これを弁証法による偉大な成果と呼ぶべきか。 ************************ 空が青すぎる。許しがたい。 たとえそうだと言って、空に薄墨を混ぜ込むことなど 出来やしない。 *************************** 夢想、物思いのなかで、いまこの眼の前にあるものを どこまで信頼する事が出来ようか。 認識の働きが、その端緒から、 . . . 本文を読む