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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

SING SING / シンシン

2025年04月15日 | 映画・観劇
【NYにある最重警備の収監施設・シンシン刑務所で、舞台演劇を通して収監者の更生を目指すプログラム「RTA」に取り組むなかで育まれていく、友情と再生を描いた感動の実話。
主要キャストの85%以上が実際にシンシン刑務所のもと収監者であり、演劇プログラムの卒業生及び関係者たちで構成されるユニークで挑戦的なプロジェクト】(パンフレット記載)、映画「SING SING / シンシン」を観てきた。


対立し、差し伸べられる手を拒んだり、解釈の相違もある。
与えられたというより、自らが望んだ役柄だ。
自分とは異なる人間を演じるうちに、いつしか自分でも知らない自分が引き出されるのか。
さまざまに指導も得て役作りを深めていく姿を、仲間は大きな拍手でその努力を認め、励まし合う。仲間の病による突然死に、じっと黙したまま流す涙には胸が熱くなった。

主人公ディヴァインGは、無実の罪で収監されていた。今では演劇仲間となったが、刑務所一の悪党として恐れられている男クラレンス・マクリン(本人が演じている)に過去の自分を語る中で、「諦めたことは未練が残る」と言っていた。

クラレンスの釈放も近い。そして、ディヴァインGも出所した。彼の出所を外で待っていたのが…。ラストの余韻の中で、改めて見直した人生の生き様こそ問われるのだな…と喜びながら思っていた。
“刑務所一の悪党だった”氏は、これが俳優デビュー作品となったとのこと。


かつて読んだ塀の中での読書会の話、『プリズン・ブック・クラブ  コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』が思い出される。
本を読んで語り合うこととの違いはあっても、演劇を軸にして、人の優しさや、自分の居場所を見つけ出すことなどをプログラム参加者は学びとっているのではないだろうか。

「孤独のうちに砂漠をつくりあげることは誰にでもできる。しかし、そこに花を咲かせることができるのは、豊かな心だけである」

江藤淳が網野菊さんの作品を評した言葉にあったのだが、
罪を償う長い刑期のなかで、日本でもこうして仲間とともに参加するプログラムというのはあるのだろうか。 木工作業、家具作りなどは知るところだが…。少年たちの更生施設で絵の指導をする知人がいた。しかし「仲間と何かをする」という点で、思うところは少し違う。

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