京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 東寺弘法市

2015年02月21日 | 催しごと


「何もかも、けじめなく売る」(柳宗悦)、毎月21日に開かれる東寺の弘法市。温かな陽射しに恵まれて冬のコートが重いほどでした。

箱入りされた直径15センチほどの皿を1枚取り出した若い女性に向かって、店主は「1万円」と告げたあと「1枚2000円」と添えました。これはセット売りです。女性は持っていた皿を箱に戻しました。店主は更に言ったのです。「よいモンと言うより、珍しいモンや。今はもうこの手のものは珍しいでな」と。
「有名でないもので、いとも素晴らしいもの」が、何でもありの市の中には置いてあるのです。目の利かない私。識別する能力などあるはずもなく、面白そうなやりとりを耳にしては、傍を離れず一部始終にこっそり耳を傾けています。
「売れへんなあ。○○さんよ―、何かいらんもん持ってきてくれへん? わしがここで売るでよ」ってな店主もいて、人間観察も楽しい市です。

      
陶器などが広げられた店頭の隅っこに、雛人形の3人官女が段ボールに無造作に詰め込まれて置かれてます。何やら…白い塗がはげ落ちている…、そっと薄紙をのけて見ました。直視するにはあまりに無残なお顔です。ここまでくると気味の悪ささえ感じます。
が、哀れです。子供の幸いを願って飾られた雛人形。家族の温かさの中にいて、どんな事情があってここに至ったのか、わかりません。時節柄か、何体かが飾られて売りに出されていました。古くは内部に藁のようなものが詰められたお雛様もあったと話してくれた店主さんがいました。

高野山揺拝所で、1カ月後の春季特別講座に予定通りに参加できますようにと手を合わせ、健康管理を意識したのでした。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする