京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

桜の神秘...人と自然

2008年04月08日 | 日々の暮らしの中で
「やさしい色やねえ」
「この世のものとは思えないって言うけどほんとにそんな感じがしてくるなあ」
「空気がおいしいわ」
総門をくぐりはらはらと舞う花びらの下を進む。
見上げるほどに高く、大きく大きく枝を広げたその木は満開であったが、
白い花びらが霞んで見え、周辺に異空間の気を醸し出している。
吸い込まれそうな気さえするその空間に、一様に何かを感じるのか、私たちはしばらくの間立ち止まって眺めていた。

枝ぶり、花の色、鳥の声を楽しみながら歩いているとき、植樹林があることに気づいた。
それぞれに何かを記念して奉納されている。
幹はまだ細い。5・6本はあったろうか、枝が大きく(しかし細く)伸びて弧を描いて垂れ下り、可憐な白い花をつけている木があった。
27歳で息子さんを亡くされたご両親が植樹されたものだった。
スポーツを愛し、多くの仲間に愛され、家族の宝であった息子さん、
 「永遠にここに生きる」と結んであった。
ご両親の思いは察するにあまるが、はかなくも安らかな命の象徴なのか。

醍醐寺をあとにして、コーヒー付きのランチを頂いてしばし休憩。
勘修寺へ。
縁に散り敷かれた花びら。お庭を前にし談笑しながら時間を過ごす。
突然、目前の池から鴨が2羽勢いよく空へ飛び立った。
木々の葉ずれの音、温かな日射し、芽吹きの木々の明るさを、小町も楽しんだのではないだろうか。
彼女もこの豊かな自然に耳を、心を傾けていたのではないかしら。
…きっと今日の私たちのように。
日本人だから、きっと変わらないものがあるだろう。

明日、俳句の会で吟行に参加する友がいる。場所は京都御苑。
御苑は彼女の“お庭”、会のために下見に立ち寄った。
それぞれのスケジュールでの生活が待っている。
またできるだけ近いうちに会おうと約束して。
楽しい一日をありがとう。
コメント (2)
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