京都の桜も終盤にさしかかった4月18日。
第15回例会「町家改修工事見学会」を開催いたしました。
お運びくださったのは非会員ふくめ6名のみなさま。
これまでの見学会の傾向としては男性の割合が高かったのですが、今回は女性率が高かったです。
タクシーの運転手さんでも集合場所がわかりにくかったとかで、ご不便をおかけいたしました。すみません・・・。
さて、今回の会場は西陣の小ぶりな町家。
集合時にはすでに大工さん方がお家の中でお仕事中でした。
危険のない範囲で比較的自由に内部を見学、その都度大工さんが質問に答えてくださいました。
小さな玄関をくぐると通り庭にはにょきにょきと何本もの柱が。
上を見るとでっぱりがあり、柱の上はそこを支えています。
変わった造作やな~、ではなくて・・・こうやって建物の歪みを直すんです(いがみ突き)。
二階の一部分が火袋側に少し拡げてあってその部分が下がってきていたそうです。
古い柱を利用して、ジャッキアップ中
よりたくさんの柱で細かく突いてやるほうが調節しやすく簡単に直せるそうです。
不思議なもので、一辺の歪みをとるだけで2階の建具数箇所が動くようになっていて持ち主さんもびっくりされていました(なかにははずれて倒れそうになった襖もあったそう。ゆがんだ状態に合わせて調節されていたんでしょうね・・・)。
ほかにもちょっとの隙間に木を差して継いであったりと、きめ細かいお仕事がいたるところに施されていてとても印象に残りました。
二階の天井は一部がはがされており、太い梁が見えました。
「こうやって化粧して(皮を剥いてきれいにしてある)あればまだええんやけど、皮がついたままのところも結構あってね。そこから虫が入ったりするんです」
「屋根もね、昔は木ぃが貴重やったらしくて竹で野地板を葺いてあるところもありますよ。竹も虫が来やすいから煤竹にしてね」
天井を剥がして大和天井にした場合、どんな感じですか?との質問には
「暑さも寒さも直接来るから、それ相応にせんとあかんかもしれんね。野地板を厚くするとか、幅を広くするとか(隙間を減らす)」というように快適に暮らすための工夫を教えていただきました。
ほかにも火袋がないところに新たに火袋はつけられますか?といった個々の質問に答えてくださったり、今までに手がけられたお寺などの工事、土用についてなど幅広いお話をたくさん聞かせてくださいました。
途中からおいでになった持ち主さんもお気に入りのスペースや改修計画についてお話しくださったこともあって、より楽しく充実した例会となりました。
歪んでいる町家を外から見ると不安に思うかもしれませんが、こうしてちゃんと直せる、直してくれる職人さんがいる、ということを知ってさえいればやたらと心配することはなくなりますね(ただし、技術的な問題がありますので、施工業者さんは慎重にお選びくださいね)。
今回は参加がなかったのですが、家主さんにも見ていただければ「直したら、また貸せるかも」と希望を持っていただけるのではないかなぁと感じました。
最後になりましたが、見学をご快諾いただきましたYさま、お仕事の手を止めていろいろとお話しくださった工務店の皆さまにこの場を借りまして心より御礼申し上げます。ご協力いただきましてありがとうございました。