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水早 -mizuha- 神社と写真と一人旅。

カメラ片手にゆるり神社めぐり。
公共機関&徒歩での日帰り参拝記録をメインに綴っています。

伏見稲荷大社1 ※前置き(稲荷のこと)

2016-02-26 | ├ 京都(ふらり旅)

 

伏見稲荷大社の記事をupするまえに、

備忘録を兼ねて、お稲荷さんの事を少しまとめておきます。

(写真はすべて伏見稲荷大社)

 

 

 

 

 

 

ブログでたまに書いていますが、私はどうもお稲荷さんが苦手です。(T_T)

 

基本的に、どこの神社へ行っても境内社で稲荷社があると全力でスルーします。

写真はおろか、記事に稲荷社の名すら載せないことのほうが多いです。

 

 

今迄で大丈夫だったのは、松原神社月夜見宮佐久奈度神社高座結御子神社

チラ見程度なら可 だったのは、伊奈波神社来宮神社布智神社

・・ぐらいかな。

 

 

 

何がそんなにダメなのか・・。

たぶん、

境内のキツネさんがなんとなく苦手。

動物の狐は可愛くて好きなのですが。

 

でも怖いとか祟られるとかいう思いは全く無くて、

キツネさんが祟り神だと思ったこともありません。

(だいたいキツネは眷属であって神ではない。)

 

 

なのに、苦手。

なんでか分らん。(笑)

 

あとは、たまに連なった赤い鳥居でクラクラします。

これは単に三半規管が弱いせいなのかなと思う。

 

 

そんな私が、

よりによって全国およそ3万社あるとされる稲荷神社の総本社である、

伏見稲荷大社へ行こうなんて、

まあよく考えたら個人的にはあり得ない話・・。

 

なんせ、有名な千本鳥居をはじめ、

境内(含・稲荷山)には約1万基もの鳥居が立ち並んでいて、

そこらへんの稲荷社の鳥居の比じゃないわけで。

 

勿論キツネさんの数もすごい。(゜Д゜)

 

 

けれど、

なぜかここは大丈夫だという確信に近いものがあり、

それどころか「一度は行っておかねば」という気持ちにすらなる。

 

他社と何が違うの?って感じですが、

とにかく、行ってみたいなぁーと思えるから不思議でした。

 

 

 

そして実際に参拝してみたところ、想像通りの素晴らしい神社でした。

 

稲荷山に数万ヶ所ある「お塚(稲荷塚)」の光景なんて、

普段の自分なら絶対無理な感じなんだけど、

これが不思議と、冷静に興味深く観察できたというか・・。

山の上り下りなんて、楽しくてしょうがなかったし。

 

 

現世利益を強く求めるがゆえの我欲渦巻く空間なのかと思いきや、

意外にもぜんぜん平気。

 

長きに渡り、多くの人の色んな念が積み重なってきた場所なので、

みなさん受ける印象は様々だと思いますが、

個人的には、あの光景、あの空気を素直に楽しめました。

 

 

 

自分の基準としてまずあるのが、

 

神道系(=神社)のイナリは、場所によりけり。

仏教系(=お寺)のイナリは、まず無理。

(※あくまで個人的感想なのであしからず)

 

・・かな。

 

 

 

神道系(神社)と、

仏教系(お寺)。

 

同じイナリなのに、何が違うのか?というと、

基本的に、祀っている対象が違う。

 

 

「イナリ神社」・「神社の境内にあるイナリ社」で祀られているのは、

記紀に出てくる穀物・食物神である、

ウカノミタマのかみ宇迦之御魂神/倉稲魂大神)や保食神など。 =稲荷大神

 

一方、「お寺の境内にあるイナリ」で祀られているのは、

仏教のダキニ天荼枳尼天)。

 

 

ちなみに、

愛知県豊川市にある豊川稲荷は仏教系のイナリ。(本尊は千手観音。)

正式名称を妙厳寺という、曹洞宗のお寺です。

 

このお寺の境内に祀られている、鎮守のイナリ(ダキニ天)が有名なので、

一般的には「豊川稲荷」の呼び方で通ってますが、

イナリ自体は、この妙厳寺の境内ある鎮守社(※1)にすぎません。

 

 

 

そして前述のとおり、

キツネさんは稲荷社の神さんではありません。

稲荷社の神さんは、農耕神・食物神である宇迦之御魂神稲荷大神)です。

 

キツネはその神さんの御使い、

すなわち眷属です。

 

 

宇迦之御魂神は、別名を「御饌津(みけつ)神」と言い、

狐の古名が「けつ」だったことから、「三狐(みけつ)神」と当て字をされるようになり、

やがて、キツネ=稲荷神の眷属 となっていったとされています。

 

さらに神仏習合の時代に本地垂迹の影響を受けて、

白狐を従えるダキニ天と、“キツネつながり” で同一視されていきました。

(諸説あり)

 

 

なので、大雑把にいえば、

お寺の境内にあるイナリでは、ダキニ天を祀っている。(仏教系)

神社では、宇迦之御魂神稲荷大神)などを祀っている。(神道系)

 

 

このほか、江戸時代に稲荷信仰が流行ると、

土地神や田の神、祖霊神、キツネそのものなど、何でもかんでも稲荷として祀ったりしたので、

そういう民俗的なイナリ社も多く存在します。

 

 

 

ただし、現在宇迦之御魂神などを祀っている神道系稲荷でも、

江戸時代まではダキニ天を祀っていたというケースが、どうやらかなり多いらしい・・。

 

 

神仏習合の時代には、

日本古来の神道と渡来系の仏教は混じりあい、境内には神社の社殿と仏教施設が混在し、

長いあいだ神社とお寺はその多くが一体となっていました。

 

しかし明治の神仏分離により神道と仏教は切り離され、

寺社は、「神社か寺か」の選択を迫られました。

 

のとき、稲荷社の多くは

宇迦之御魂神(倉稲魂命)、豊宇気毘売命、保食神、大宣都比売神、

若宇迦売神、御饌津神などの、

記紀神話の穀物神を祭神にした「神社」になったと言います。

 

 

神道系稲荷の総本社である伏見稲荷大社でも、

かつて同社の神宮寺(※2)だった愛染寺においてダキニ天が祀られていました。

この愛染寺から全国の寺社へとダキニ天を勧請していたのですが、

明治に廃寺となり、ダキニ天祭祀は消滅しました。

 

 

伏見稲荷の稲荷神とは本来、

今の伏見稲荷のあたりに住んでいた地元豪族が祀っていた農耕神・山神/田神(=地主神)や、

あとから当地へやって来た秦氏の祖先神(=今来神)なのでしょう。

 

それが、今から700年ほど前、

伏見稲荷の稲荷神は、真言密教のダキニ天とキツネつながりで習合し、

さらに500年ぐらい前には宇迦之御魂神に比定され、

明治になって稲荷三神の神名(宇迦之御魂神、大宮能売大神、佐田彦大神)が定まった。

 

 

ということで、伏見稲荷大社はなんとなーくですが、

自分的安心カテゴリーに入ります。

 

 

あと、

戦国期に武将が「城鎮守稲荷」としてダキニ天を祀ったケースも多いらしいので、

城跡にある稲荷社は、仏教系だったりするかもしれない。

 

 

神社にあるイナリ社=神道系イナリ とは言いきれない・・。

由緒や由来をよく確認しないと、一見しただけでは分かんないのね。(T_T)

 

 

じゃあもう、鳥居があるイナリだったら神社!

と言いたいけれど、

豊川稲荷は近世になってから建てられた鳥居があるもんねー。(;^ω^)

 

なので、

「習合時代はどうであれ、とりあえず神社の名を掲げている所のイナリなら良しとする。」

という、ざっくりとした区別をするしかないのです。

その先は、「好きか苦手か」の直感で選別。

 

 

 

まあ、伏見稲荷大社に行ったのは、

大元の総本社でご挨拶しとけば、

他の稲荷社を見て見ぬふりする罪悪感もちょっと薄れるかなー

なんて気持ちも多少あったりします。(笑)

 

 

※2 神宮寺(別当寺)

 神仏習合思想に基づき、神社に附属して建てられた仏教寺院や仏堂。

 神祇のための寺。

 

※1 鎮守社

 神宮寺の反対で、寺院に付属して建てられた祠。

 寺のための神社。

 

 

 

 

境内の人の多さに加え、

特に稲荷山は、点在する「お塚」や、鳥居の連続が生み出す独特の雰囲気がありますから、

ちょっと気合い入れないと踏破できないかも・・って方も、いるかもしれませんね。

 

 

最後にスピ的な戯言になりますが、

人の念を受けやすい等の自覚のある場合、

とりあえず参拝の前に「お塚(稲荷塚)」の画像なんかをググってみて、

大丈夫って感じれば平気じゃないかなーと思います。

 

(ちなみにこれが「お塚」の広がる光景

お塚とは、稲荷大神につけた別名を刻んだ石を人々が山に奉納したもので、

これが数万ヶ所もあるとのこと。)

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、

お稲荷さんニガテな私でも、ここは平気だったよ!ヽ(。・∀・。)ノ という感想とともに、

ややこしいイナリのお話をちょっと載せてみました。

 

 

結論。

危うきに近寄らず。

 

ここを、自分が唯一参拝するお稲荷さんと決めました。(笑)

 

 

記事本編へつづく・・。

 

 

 

 


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