かなり前の話ですが、元旦の朝刊に邦画の大注目作品として紹介してあったのを覚えていたので、必ず観るぞ!と決めていました。なんせ21世紀になっても頂上にたどり着くには、岩場を四つん這いで登らないといけない劔岳でロケをしたのですから、その情熱に見合う作品だと相当期待してしまいます(ついでに劔岳に登ったこともないので、興味もあり)。
映画館に入るといきなり超満員(中高年多し)で、パンフレットも売り切れ状態。ボクと違って大半の方は年中1000円(高齢割引)で入場できるので、それだけ大ヒットしている証拠です。
同じ新田次郎原作による、「八甲田山 死の彷徨」同様 雪や暴風雨が沢山登場する作品なので、蒸し暑い7月に観るのはぴったり。ただし、自然の恐ろしさ以外、怖い場面は少なく、逆に紅葉や雷鳥やニホンカモシカなどの動物が散りばめられて、山の美しさも充分味わえる映像が盛りだくさんでした。
出演キャストでは、案内人の長治郎役をつとめる香川照之が圧巻で、彼の歩きを正面からとらえたアップも出てくるのですが、完璧にはまっていて 惚れ惚れしました。
なお劔岳は弘法大師の伝説があるところですが、昨日まで読んでいた原作では、となりの立山の開山を飛鳥時代の佐伯有頼という人がしたことになっているので、弘法大師の本名=佐伯氏(ただし四国の佐伯氏)つながりで、そんなストーリーになっているのかな?と思いました。
最後にはどんでん返しも用意され(ここでは書きませんが)、掛け値無しに山の厳しさを味わえる印象深い作品でした。