伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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人口減少への対処はどうあるべきか?

2023-04-03 17:33:59 | 大きな時代の変革期

 

(解決するための方向は正しいか)

 

国も自治体も少子化対策に躍起になっています。

「子どもが少なくなっている、

 このままでは社会を支える働き手(納税者)が足りなくなる、

 それでは大変なので子どもを増やそう!」

という条件反射的な単純思考に思えます。

 

「子どもが減っているから、増やそう!」

問題の本質から考えると、この対処の方向は正しいのか?

 

課題解決のために進むべき大きな方向を決めるのは「戦略」

その戦略に沿って具体的な施策を考えるのが「戦術」

進むべき方向が誤っていたなら課題解決は難航します。

「戦略」の誤りは「戦術」では挽回できません。

 

 

 

(少子化で何が困るのか)

 

日本で少子化が進むと何が困るのか?

国や自治体などが困るのは

現在の社会保障制度が維持できなくなるからです。

多くの労働者が税金や年金を納めることを前提とした

社会保障制度がこのままでは維持できなくなるから問題なのです。

(労働者不足問題は別の機会に取り上げます)

 

 

 

(人口構造と「人口モメンタム」)

 

少子化問題が騒がれるようになったのは最近ですが、

日本の出生率は戦後ずっと低下しています。

それなのに最近まで人口が増えていたのは、

「子どもを生める年齢の女性が相対的に多かった」ためです。

若い人口に蓄積された増加ポテンシャルが

「プラスの人口モメンタム」であり、

これが「プラスの人口惰性」として作用していたのです。

 

逆に現在の日本は、

相当なマイナスの人口モメンタムを内蔵しており、

子どもを生める年齢の女性が少なくなっていますので、

出生率がある程度回復したとしても、

人口が長期的に減少するのはほとんど決定的です。

 

 

 

(人口政策の可能性と限界)

 

出生率回復のために人口政策、家族政策はどのくらい役立つのか。

合計特殊出生率が2.0に上昇したフランスは、

1世紀にもわたり出生促進政策を行ってきました。

昨日今日人口・家族政策をはじめたわけではありません。

これから日本が国策で出生率を上昇させようとするならば、

効果が出るまで、人口モメンタムを考慮すれば

フランスのように100年くらいかかるかもしれません。

 

 

 

(日本の人口は100年で3分の1)

 

歴史人口学者の鬼頭宏さんは、

日本の人口は今後100年で3分の1に激減すると推計しています。

 

人口の年齢構成も激変し、

かつては11名の勤労世代で1名の高齢者を支える

「おみこし」型の社会でしたが、

現在では、2~3人で一人の高齢者を支える「騎馬戦」型。

そして40年後には、なんと一人で一人をかつぐ「肩車」型。

これほど担ぎ手が激減するのに、

昔ながらの負担率や給付率が通用するはずがありません。

 

国の借金は無視しても、今の制度のままならば

今の労働者が3倍くらいの負担をしなければ、

高齢者を支えられません。

40年後は遠い未来ではなく、あっという間。

それまでに日本の社会保障制度と、それを支える税制を

持続可能なように変えていかなくては間に合いません。

 

 

 

(人口減少問題に対処する方向性)

 

今の国や自治体の政策は「人口が減ったから増やす」という

対応がメインのように感じます。

若い世代の人口が減っていくと、

「これまでの社会保障制度が維持できなくなる」というのは大問題です。

その解決策は「人口は増やす」ことだけでしょうか?

 

若い世代が多いピラミッド型の人口構成を前提とした

これまでの社会保障制度は、このままでは維持できないなら、

「人口」が増えるように取り組みつつも、それよりも

「制度」の方を現実の社会の年齢構成に適合するように

スピード感を持って改変していくことに力を入れる

べきではないでしょうか。

 

社会全体のありかたや価値観、生活スタイルなど

相当変えていく必要があります。大きな変革期なのです。

時間との戦いと感じてます。

 

 

 

(参考ブログ)

与件としての人口問題

 

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