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伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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議会の予算増額修正は法律違反?

2024-04-24 17:19:39 | 政治・政策・経済

ネットによれば、安芸高田市長は

「議会だより」の発行経費分が

議会により増額修正された予算は

地方自治法に違反しているとして、

同法に基づき県に審査を申し立てたそうです。

 

まず、市長が「議会だより」を廃止する予算案を

出したことにびっくり。

そして、

議会が発行経費を追加して予算を議決したことに対し、

地方自治法違反であると主張することにびっくり。

 

地方自治法には、議会の権限の一つとして

「予算を定めること」を挙げており、

増額して議決しても良いと、はっきり書いてあります。

 

 <地方自治法>

 第九十六条 普通地方公共団体の議会は、

 次に掲げる事件を議決しなければならない。
 一 条例を設け又は改廃すること。
 二 予算を定めること。(以下省略)

 

 第九十七条 

 ②議会は、予算について、増額してこれを議決する

 ことを妨げない。但し、普通地方公共団体の長の

 予算の提出の権限を侵すことはできない。

 

議会は予算を無制限に増額できるわけではなく、

首長の予算提出権を犯さない範囲で可能とされています。

判断の分かれ目となるのは、

「何がどうなると首長の『予算提出権』を犯すのか」

という点。

 

大阪府作成の資料は次のように解説してます。

 「長の予算発案権を侵す」とは、長が提出した
 予算案の趣旨を損なうような増額修正を行うこと
 を意味し、これに該当するか否かについては、当
 該増額修正をしようとする内容、規模、当該予算
 案全体との関連、当該地方公共団体の行財政運営
 における影響度等を総合的に勘案して、個々の具
 体の事案に即して判断することとされています
 (自治省行政局長通知S52.10.3)。

 一般的には、議会に提出された予算案に新たな
 款又は項を加えたり、継続費、繰越明許費、債務
 負担行為等にあらたな事業、事項を加えることは、
 原則として予算発案権の侵害にあたります。

 (補正予算の部分は中略)

 ただし、上記のように一般的には予算発案権の
 侵害になると解されている増額修正についても長
 と議会の間で調整がつくならば可能であり、よっ
 て、同じ内容の増額修正でも、地方公共団体によ
 り、予算案の趣旨を損なう増額修正であるかどう
 かの結論が異なりますので、各地方公共団体の具
 体的な状況の中で具体的な事件に即して修正内容
 が予算発案権を侵害するか否か判断することにな
 ります。

 

上掲資料によれば、

総合的に勘案して個々の具体的事案に即して

判断することが必要なようです。

また、印刷経費の増額なら新たな款・項を加える等の

「一般的な発議権の侵害」には該当しないと思われます。

 

さらに疑問なのは、問題となっている

「議会だより」発行経費は市長部局の予算ではなく、

「議会経費」の中の話なので、この部分にまで

首長が「予算提出権」をたてに口をはさむことは、

地方自治の二元代表制の趣旨からみて、

はたして妥当な行為なのだろうか?と感じます。

 

日本国憲法が第93条で

地方自治体に議会設置することを

わざわざ定めていることついて

思いを馳せる必要があります。

 

市長も議会も

どちらも住民の直接選挙で選ばれた立場ですので、

真剣に議論を戦わせつつも、

お互いを住民の代表として尊重する姿勢が

合意形成の肝と思います。

 

(参考)予算の減額修正には制限はありません

 予算案の減額修正には増額修正におけるような
 制限はありませんので、議会は自由に修正
 することができます(行実S30.4.11)。

 

 

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