伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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ブックチャレンジ最終回 盲目的にならないために

2020-05-24 11:45:04 | Weblog

山崎亮式「ブックカバーチャレンジ」最終回

客観的に、科学的に、そして論理的に物事を判断しているつもりでも、

無意識のうちに特定の分野に対して思考停止したり、

誤った思い込みに陥っている場合があります。

そうならないように、事実を見極めるための3冊。

 
1 竹内 薫「99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方」
2 吉田 耕作 「直感的統計学 」
3 鬼頭宏「2100年、人口3分の1の日本」

 

1 竹内 薫「99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方」
 
あなたは科学的に物事を見て判断していますか?
「あたりまえじゃないか」
とお思いのことでしょう。
 
ところが「科学的」ということが、実は問題なのです。
「実験やデータから正しいことが『科学的に』証明されています」
と言われると無条件に信じていませんか?
 
現在科学的に「正しい」とされていることの99.9%は、
「仮説」に過ぎない、というのが本書の主張です。
えっ!
絶句してしまいますね。
 
ガリレオが地動説を唱えて裁判にかけられた時代は、
「天動説」が学問的にも宗教的にも世俗的にも正しいとさていました。
その時代に正しい、と考えられ常識であったことでも、
かならずしも「真理」とは限らないのです。
今の時代に「科学的」に正しい、とされている事柄は、
実は今の時点で正しいと思う人が多い、というだけのこと。
 
「科学的」という言葉を出されただけで、
無条件に「正しい」と考え、思考停止してしまうのは危険。
物事を考える際に、その「前提」は正しいのか?
と考えられる人は思考力が高いのです。
 
 
 
2 吉田 耕作 「直感的統計学 」
 
 
自分でデータを「読める」ようになるための本。
文系のヒトでも分かるように書かれています。
文系・理系を問わず、統計学は仕事や学問の超基本
標準偏差や正しさを確認する「検定」まで学べます。

「統計学」とは、現況把握のため現実のデータを集め、
代表値やばらつきを計算することにより、
その調査対象の全体像を得るための手法。

現状把握は、ほとんどの場合において、
データを取ることによってのみ可能である。
極言するならば「現実はデータをとるまでは存在しないのと同じ」。

データは改善のための道具であり、目的ではない。
データの結果を見て行動をとる予定がないなら、
データを集めてはならない。
使いもしないデータを集めたり、加工するのに時間を使って、
仕事をした気になっている人があまりにも多い。

*吉田 耕作「経営のための直感的統計学」も良書です。 

 
 
 
3 鬼頭宏「2100年、人口3分の1の日本」
 

いろいろな将来予測がある中で、

将来人口予測は、実はとても確実性が高いのです。

 

移民の急増や、伝染病の大量死等がなければ、

10年後のある年齢の国民の人数は、

病気や不慮の事故もありますが、10歳若い年齢層が歳をとるだけ。

 

合計特殊出生率*が2.3?を下回ると人口が減ると言われました。

今の平均寿命等を考慮すると、現在の人口置換水準は、概ね2.07。

では、2.07人に増えれば昔のような社会にもどるのか?

「人口」は維持できたとしても、年齢構成はまったく変わります。

 

日本では長い間少子化が続いた結果、

子どもを産める若い女性の絶対数が、すでに非常に少ないのです。

その方が2人以上子どもを産んでも、少子高齢化の少の部分なので、

子どもや働き手がたくさんいた昔のようには戻れません。

人口問題を考えるには、この構造を理解することが非常に大事です。

(「人口のマイナスモーメント」といいます)

 

かつての日本がそうだったように、

発展途上国は、急激に経済が発展するにつれ

子どもが多く生まれるようになり、消費が増えます。

それが国の経済を刺激し、さらに仕事が増え労働者が増え、

消費も増える拡大スパイラル(人口ボーナス)が出現します。

 

逆に、現在日本のように高齢化が進むと、

今度は人口ボーナスの逆の状態になります。

これを「人口オーナス」といいます。

 

現在の日本は人口を増やせと大騒ぎしていますが、

「人口増=良いこと」ではありません。

全ての国民がどのように食べていくのかが大問題。

 

発展途上国段階なら、安い人件費で大量に物を作り、

外国へ輸出しましたので、人口が多いほど有利でした。

しかし現在では、中国やベトナムなど日本より安い人件費の国があり、

それよりも低賃金では暮らせません。

安く大量に作って売るやり方は、日本ではもう成立しないのです。

「人口が多いこと=有利」ではなくなっているのです。

 

世界の中でどのようにお金を稼ぐかを考えずに、

人口ばかり増えたらどうなるでしょう。

極貧の人が何億人もいる国では、幸せと思えません。

 

人口問題は社会や経済の基礎要件ですから、

行政職員や政治家には、ぜひ人口学の基礎を学んで欲しいです。

*多田稔@伊勢崎市議「与件としての人口問題」 (2017.5)

*鬼頭宏「人口から読む日本の歴史」もぜひ。

 

 

(参考ブログ)

与件としての人口問題 2017-05-05

 

 

 

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