持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

ラストショウ 2/2

2005-08-03 00:09:17 | 演劇:2005年観劇感想編
8/2のつづき> 一部反転表示あります。
父親役の風間杜夫氏が。女優に言わせる、いくつもの「好き」。繰り返すうちに、きっと本当に好きになるからと強要し続けた「好き」は。永作博美氏の、表現の豊かさによって、いろいろな感情を掻き立てられる。

好きが昂じて喰らってしまいたい、と無邪気に主張する古田新太氏は。こういう役こそ嬉々として演じるから。さっさと憎んでしまいたいのに、愛嬌いっぱいに誠実に「だって愛してるんだもん」だなんて、熱っぽく言い放つから。説得されてしまいそうで、混乱する。

風間氏と古田氏のふたりが、似ていると思ったことはない。今回の、狂気をはらんだ芝居に共通点を見つけたわけでもない。なのに、このふたりの噛み合わせは絶妙で。これが、演出家の長塚圭史氏の思惑どおりなのだとしたら。少し、悔しい。たぶん。気持ちを、とても丁寧に差し出す過程が似ているのだと思う。それが、血濡れの歪んだ感情であったとしても。

風間さんは。子役さんから、ずうっとお芝居をしてきた方で。当時を知る由はなく、知ったときは既にカリスマになっていらした方なのだけど。。いつまでも無垢で直球で演じることができる。この底力がすごいと思う。個人的には、ちょっと拗ねた可愛い演技が大好きなんだけど。今回はフルタが全部担当で、おあずけだったのが残念。
古田くんも。擦れた感じも持ち合わせているくせに。舞台の上では、やっぱり無垢で。すごく透明なものを、気さくに投げてよこす。まぁ、女の子対象限定で、色気が仕込んであったりするみたいで。これをキャッチしてしまったが最後、確実にオチるんだけど(笑)。

憎み続けることで、繋がりを求めた心は孤独に過ぎる。喰らう行為で、それを求めた心も孤独に過ぎる。外では高速増殖炉が事故を起こし、放射能が漏れ出すようだ。臨界・終末。だとはいえ。ずっとこちら側だった夫婦が、狂気に捉えられるラストシーンは。後味が悪い。

音楽に、劇団☆新感線でおなじみの岡崎司氏の名前を発見。作品に良く合っていたなぁ。