持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

ラブハンドル

2006-02-28 01:39:23 | 演劇:2006年観劇感想編
パルコ + サードステージ Presents 『ラブ ハンドル』
作:中谷まゆみ
演出:板垣恭一
出演:原田泰造,富田靖子,瀬川亮,長野里美,小須田康人,石黒賢


千鶴は、運命の出会いを信じた。華々しい経歴のすべて清算し、バツイチで駆け出しの弁護士だった、勝のもとに飛び込んだ。いまでは勝は、すっかり一人前になり。千鶴は、彼の恋人で秘書で家族だ。ふたりでいられて、幸せなんだから万事良しと考える男と。幸せだけど、結婚がしたい! と願う女は。ずうっと平行線のまま、10年もの日々を過ごしてきた。

勝には、姉夫婦(←観劇お目当ての二人♪)がいて。お姉ちゃんが、夫と離婚すると息まいている。「自分に相談もなしに会社を辞めた」し、「浮気している(←断言)」し、もともと変人だし。こんなことを、悪し様に語るあいだに。彼女の夫は、いつも律儀に妻を迎えにくる。妻は、いつも手を引かれて帰っていく。←里美ちゃん、かわえぇなぁ。
ある日の姉は、あきらかに様子がおかしい。迎えにきた夫に怯えている。姉思いの弟が、夫を遠ざけようとする。けれど、夫は引かない。彼が勤めをやめたのは、彼女の故郷に一緒に帰るため。彼女は、病気で。病名は、若年性アルツハイマー。。なぜ教えないのかと責める弟に、彼が言い放つ。「彼女の人生の、責任を持つ権利があるのは。弟である君でなく、夫である僕だ」と。←小須ちゃん、かっこえぇ・・・。こともなげに、続ける。「彼女は天然で、わたしは変人だ。負ける気がしない」←お二方、説得力がありすぎです(笑)。

結婚をしたいか、と聞かれると。強がりだとかでなく、前向きにイヤだと思う。そう思ってしまう自分自身に、軽く幻滅する(←人としてどうよ? ってね)。だから、千鶴の結婚にかけるパワーを素敵だと思う。それでも、逃げ腰でいる勝のほうに共感してしまう。。原田氏の、技巧をこらさない、どストレートな演技は好きだな。
最後まで一緒に居る権利。そうか、結婚ってそういうもんか。好きなひとが、どこかで怪我をする。病院は、夫はさがしても恋人は探さない。

あのひとが、好きで好きで。想うだけでドキドキできた高校時代。誰を傷つけても、自分が傷だらけになっても、手に入れたい。。こういう感情は、いつの間にか。ゆっくり、ゆっくりと。気がついたら、ひどく磨り減っていて。人と深く関わずにすむ方法を、見つけてて。だって、他人を傷つけたくはない。自分も傷つきたくはない。
「ラブハンドル」というのは、ハラまわりの贅肉のことらしい(←きっついタイトルやな・・・)。無駄に体力を消費していた、あの頃。加減を覚えてしまった、いまの体。これが大人になることだとしても。甘やかしすぎて、余計なモノを身にまとって生きることもないんだよな。

エキシビション

2006-02-26 17:01:02 | なんでもないこと
無事(?)、東京より戻り。録り溜めた、女子フィギュアのあれこれを再生。

荒川静香選手が金メダルを獲得したのは(←おめでとう!!)、ホテルのテレビで見ていたけれど。やっぱり、大会を通して見るのとは感慨が違い。改めて、凄さを想う。
金メダルというのは。数多いる、全世界競技人口の頂点の証で。4年に一度しか生まれることのない、たったひとりの人のことなんだよね(←今更だけど)。80年もの歴史のなかで。まだ、20人程しかいないわけだよね?

ルール改正とやらで、ジャンプ能力が高く評価されるようになった今大会。確実に、ポイントを取りに行かねば勝機のない大会。
その中で。たとえ点数がとれても、不格好な姿では滑りたくないと断言し。美しいけれど、ポイントにはならない技を組み込むことにこだわり。結果。これ以上ないほど優雅に滑り抜いたこの人を、素晴らしいと思う。栄冠を手にしたことを、心底嬉しく思う。

エキシビションが好き。時間がなくても、これだけは録画するくらいに好き。難易度の高い技が見られないというけれど、演者として滑っている姿が観られるのがいい(←根っからのショー好き)。だから、どちらかといえば。闘志剥き出しの、肌のそそけ立つようなフリー演技だとかは苦手(←ただの根性なし)。だけど。今回、すべてを通し観て。こういう厳しい闘いのあとだからこその、宴の価値を知る。

最後の最後まで。自身のすべてを出し切って、僅差の順位を争った。この相手とともに、立つリンクだからこそ。相手の技を見、お互いの健闘を称え合う。そういう和やかな時間だからこそ、より美しさがあるのだと、いまさら気づく(←ほんと、今更)。
ここに、荒川選手と村主選手が立っているのが素敵。そして、安藤選手もお疲れ様。4年後のバンクーバーのリンクに、立っていてくれるかな。

マクベス 2/2

2006-02-24 01:21:06 | 演劇:2006年観劇感想編
2/20のつづき>
好きで好きで、ただそれだけの思いで通った演目。『ヤマトタケル』を、懐かしく想う。格段に成熟した二人は、本当に見ごたえがある。

市川右近丈は、威風堂々とした立ち居をもつ役者さんで。かしづく家臣を従える姿を想い浮かべることは、たやすい。その彼が、国王の器ではないという姿を見せる。妻に、そそのかされるように始めてしまった国盗り。切望の王座を手にはしたものの、悪になりきることもできず思い病む卑小な姿。強固な意志があれば、流れを止めることもできたであろうに。退路を断たれ、前に進むしかない。破滅へ、望まず追いやられていく切迫感。

市川笑也丈の、マクベス夫人は。夫をそそのかす悪女でなくて。最初から最後まで、貞節な妻だった。←この解釈は新鮮。国盗りは、そもそも夫が思いついたこと。おそらく、この夫が持った初めての野心。彼の小心さに、焦れる日もあっただろう彼女は。愛すればこそ、望みを叶えるべく。すべてはそのためだけに。気弱になる夫を叱咤し、魅惑の囁きを繰り返す。そして。殺事が成し遂げられたあと、罪への意識にさいなまれ。夫の、同じ苦しみに同調し。心を壊す。眠れない夫を、眠ることなく見つめ続け。夢遊病を患い、とうとう自ら命を断ってしまう。。多分、夫人が何より悔いたのは。夫を残して死を選んでしまったこと。良心の呵責が、夫への愛に負けた瞬間があった。それを彼女は、激しく悔いたことだろう。

マクベスは、それらを知るから妻を責めない。独りで、地位を守りとおす道をとる。自業自得な最期を迎え、屍となって舞台に居る彼からは、すべての気が失われ。無の表情は、首がもはやそこにないのだと思わせる。
こんなふうに夫の体が朽ちたとき、夫人は黄泉から現れる。きっと、死してもなおずっと。夫の姿を、心配に見守っていたにちがいない。ほころびのない傘をさしかけて、優しく手をとり。慈しみの表情を浮かべ、立ち上がらせて。向かうは、阿鼻叫喚の地獄。

地獄への道行きだというのに。おふたりの空気に魅了される。殊更に近づくわけでなくとも、生まれる空気がある。魂を添わせて、手を取り合うならば。その空気は、濃密さを増す。これは、役者のおふたりが過ごしてきた時間を抜きには考えられない。柔らかな親愛の情を漂わせる二人を、静かに静かに見送る。彼らが去っても、板の上には残り香の消えることはなく。見えないそれに包まれたく見つめていると、優しい気持ちが満ちてくる。

だのに。魔女は。たゆたう空気を、笹(←ずっと象徴的に使われていた)をもって振り払う。それは、また惨劇を繰り返すことを暗示するかのようで。左右に大きく払われて、何もなくなってしまった舞台を、見つめるのは寂しい。。
特筆は。出ずっぱりの、魔女たち。傾いたきりの体、上げたきりの腕。からくり人形で居続けた彼女たちが、舞台を完成させてくれていた。

マクベス 1/2

2006-02-20 00:37:38 | 演劇:2006年観劇感想編
りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 『マクベス』
劇場:大槻能楽堂
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
構成/演出:栗田芳宏
衣裳:時広真吾
出演:市川右近,市川笑也, 菅生隆之,谷田歩,市川喜之助,藤間紫 他


幕開けに現れたのは、笹を掲げもつ3人の童女。これが魔女だと思えるほどには、マクベスは見ている。乾いた歯車の音響と、いびつな所作のすべては、からくり人形のそれで。西洋風のおどろおどろしさでなく、厳粛な恐れを伝えてくる。彼女らの、主(あるじ)なのであろう威厳を示すヘカテは。老女の姿でありながら、人としての空気をもたず。マクベス夫妻が現れるにあたって、ようやく舞台から生気が流れてくる。

数あるシェイクスピアの作品で、マクベスから感じる異国性は強く。親指がチクチクするから、何かが起ころうとしているだとか。心の痛みは、すべてをぶちまけ叫ぶことで治めるだとか。感情垂れ流しの台詞の数々は、耳障りで仕方がない。そんなこんなの拒否本能で、ふと眠気が襲うころに耳に飛び込んでくる、「起きろーーっ」という名言(←大間違い)。今回も、しっかりお世話になり(←恒例なのかよ)。。

大槻能楽堂では、狂言を楽しんだことがある。ここに立つ、歌舞伎役者たちの芝居を楽しんだことがある。入場するなり、これらの記憶に支配され。果たして、どんな舞台が繰り広げられるのかと。どんどんと、緊張の度合いが高くなる。
揺らぎのある、絞りきった照明。崩しをかけた、それでも本格的な和装。能らしい登場ながら、現代的かつクラッシックな台詞まわし。様式美とは、感情を内へ内へと追い込む性質の伝統芸能。これを保ったまま、外へ外へ向かう海外芸術へ。美しく融合した舞台。

解釈が斬新だったと思う。どこがといえば、マクベス夫人が怖くない(←稚拙な表現だね)。観劇の目的の大半は、笑也くんだったので、これは嬉しい。悪役を観たい気持ちより、観たくない気持ちが大きかったことに、いまさら気づく。
役者さんのことを書きたいので、久しぶりに続けます。できるだけ早めに(汗)。

ナチュラルハイ

2006-02-18 23:41:06 | なんでもないこと
生きてます。
いきなり、誰に向かって言ってるんだか。

久しぶりに、1日4時間睡眠が続きました。まだ東京の疲労も抜けてないのにぃ。木曜の夜あたりが、妙にハイでした。このあたりで送信したメールを確認していて、それを実感。本日は、久しぶりに昼前まで寝(←昼から観劇~)。明日は、早朝起床で東京へ(←終わったんじゃなかったか?)。これから、一週間分の荷造りを(←めんどい)。
  • 2月に入って、観劇生活復活。文章構成元気が無いけども。いちお、アタマのなかで原稿を書く。
  • チョコも、いろいろ試してる。疲労頂点のときに、一個で気分が浮上したヒットものがあるんだけど。商品名が思い出せない(←ダメダメ)。
  • あとは・・・。・・・仕事だけか? orz
  • オリンピック観戦は、女子フィギュアにかけてたのに。ホテル暮らしじゃ、キツイな。
あと少しだけ、落ち着いたら。ここへ戻ってきたいと思います。。

クラウディアからの手紙 3/3

2006-02-17 02:14:48 | 演劇:2006年観劇感想編
2/17のつづき>
祖国を想う気持ちに迷いはないのに、記憶は薄れゆくのだと。諦めるように呟いた彼が。突然、実現可能になった帰国に迷う。追憶と現在のはざまで、気持ちを引き裂かれ、揺れに揺れたあと。板切れを家に持ち込んで、「ふたりの棺おけをつくろう」と、クラウディアに言う。愛する人への、究極のプロポーズ。これを断る言葉なんて、知りたくもない。のに。。

クラウディア役の斎藤由貴氏は、底抜けな気丈さと可愛げをもっていらして。スカーフで顔を覆って泣き顔を隠し。身を切る別れの辛さより、彼のこれから先の幸福を願う姿を見せ。失明した片目での運転で、事故などおこしてはいけないと。最後の駅まで、しっかりと見送る。彼女のまっすぐの強さが、羨ましくもあり恨めしくもある。このひとは、きっと。ただ、ひたすら彼のために動けた自身を誇りに思い。この先、すごく暖かい気持ちを、胸に大事に持って生きていくことができるのだろう。

スクリーンに、本物の再会の映像が流れる。懐かしい故郷の列車のホームで、涙ながらに妻にキスの雨を降らせる夫の姿。。あぁ、そうか。ここで、思い知らされる。この人は。この妻のためだけに、あの生き地獄を生き抜いてきたのだったと。生きるための念は、久子のためだけにあったのだ。クラウディアは、それを誰より(本人よりも)よく理解していたのだと。クラウディアは言った。「私たちは、未来についてだけは語ることがなかった」と。それが、すべて。やはり映しだされた、本物のクラウディアの肖像は。見も知らぬ女性のために生きている彼を、愛したのは。決して寂しさからではないことも、知らせてくれる。

ふたりの女性からの、無償の愛を受けるのに。佐々木蔵ノ介氏の蜂谷は、ふさわしい男性だった。どちらへの愛も、偽りのかけらもなくて、選べないだろうに。どちらも尊重し、きちんと選んだ彼も、やはりすごい人なのだ。
運命に翻弄されるなかに、刻まれた真実の愛。人が人を愛することの奥深さを、しみじみと考えさせられる。辛すぎて、泣くこともできなかった本編。カーテンコールで思い出したように、号泣。おしまいのコールで。ぴょんと跳んじゃった蔵りんに。ようよう、現実復帰。

これは、美談じゃない。人権の踏みにじってしまう戦争というものが、産み落とした悲談のひとつ。けれど。役者さんの、凄烈に生きられたお三方への敬意が。作品を美しくしてた。

クラウディアからの手紙 2/3

2006-02-17 02:04:40 | 演劇:2006年観劇感想編
2/16のつづき> 以下、役柄として語るので。敬称略にて。
ソビエト連邦が、崩壊する。体制は消失したはずなのに、蜂谷に自由の日は来ない。。彼を日本に戻すべく、彼のために行動しはじめたのは。なんと、クラウディア。

日本には、50年間もの間、彼を待ち続けた妻・久子がいる。「この子を死なせてはならない」と言った夫との約束を守り、幼子を抱え、命からがら38度線を越え。再婚話も断りとおし、女手ひとつで娘を育て上げ。生死もわからぬ夫を、信じて待ち続けた妻がいる。「よくぞ生きていてくださいました。ぜひ帰国して顔を見せてください」という、久子からの手紙。それが、老いた彼女の最後の願いだという。

ロシアのクラウディアは、彼に「帰国の日まで、私が妻になる」と言ったのだ。でも、それは。彼女が彼を、日本に返すという約束ではないはずなのに。それは、かの地で自身が独りになってしまうということなのに。「私は、人の不幸の上に私だけの幸せを築くことはできない」と。彼を帰すための活動に、情熱をかたむける。

現在の久子には、娘と、その夫と、孫に囲まれる生活だという。それなりに幸せではないのか? と考え。なおも夫を取り戻したいか、クラウディアから奪いたいかと考えてしまう。
舞台では。久子役の高橋惠子氏は、常に同じ板の上にいて。夫の苦しみの日々、再生の苦労の日々の、すべてを助けられない無力さに涙していた。彼女が真実の涙を流し続ける姿には、充分揺さぶられているけれど。。本物の奥様は、クラウディアの存在を深く知らずに、帰国を望んだのだと思うけれど。

もうじゅうぶん、幸せな時間は過ごせたから。あとの時間は、待ち続けた久子さんにどうぞ。こう言って笑うクラウディアに。このあと、あなたはたった独りで生きていくことになり。寂しさに泣いても、もう誰も居てくれないのよ? と。心の中で叫ぶ。二人で居ることの居心地の良さを知ったあとに、おとずれる孤独へ恐怖し。クラウディアの行動を、止めたくて止めたくて仕方がない。

あとは、彼の望みを聞くしかない。10数年を幸せに暮らし、生き別れてしまった元妻と。37年間、辛い生活と互いの気持ちを支え合った妻と。果たして、どちらがより大切なのかを。

クラウディアからの手紙 1/3

2006-02-16 00:06:26 | 演劇:2006年観劇感想編
原著:村尾靖子 『クラウディア 奇蹟の愛』
脚本/演出:鐘下辰男
振付:井手茂太
出演:佐々木蔵之介,斉藤由貴,高橋惠子,小林勝也,山西惇 他


朝鮮半島でむかえる、太平洋戦争の終戦。蜂谷弥三郎氏は、軍関連施設に働く民間人で。日本へ引き上げる間際に、スパイ容疑でソ連軍に捕らえられてしまう。妻と乳飲み子と生き別れ、身の潔白を晴らすすべもなく。シベリア強制収容所への抑留。辿らざるをえない過酷な運命。事実を元に描かれるすべては、圧倒的な説得力で迫ってくる。

無機質なセットは、寒々しく。時には極寒の大地を、時には殺風景な収容所を連想させる。キャストが、すべて居並ぶままの芝居は。いま誰が物語に存在し、誰が居ないのか、片時も気が抜けない。けれど、浸り込んでしまうには痛すぎる舞台。時を告げる濁る鐘の音や、人の心の歪みを表現するかのダンスは不快で。蜂谷氏が受ける陰湿な暴力と、痛みを深めていく肉体からは、できれば目を背けていたい。誰ひとり信じてはならず、行動のひとつにさえ命を賭けて選ばなくてはならないさまに、息が詰まる。

幾度も死線をさまよい、現実も未来にすら絶望しかないのに。彼は、ただただ残した妻子のため、自尊心のために。方便も使わず、潔癖に。自ら死を選ばず、狂気に逃れることもなく。欠け落ちていく同胞を悼みながらも。想像を絶する精神力で、日々の命を繋いでいく。

時が過ぎ、刑期を終えて出所しても。無実のはずの容疑が、帰国はおろか身の移動すら許されない生活を強いられて。果てのない絶望の中で見つけた憩いは、同じ境遇のロシア女性・クラウディア氏と出遭い。彼女と暮らすため、この先も生き続けるために、ロシア国籍を取得し。底辺の暮らしではありながら、支え合える相手のいる喜びを得る姿に。ようやく、少し安堵する。彼の潔白を、心底信じてくれる彼女。銃砲の前に身をさらしてまでも、彼をかばってくれる彼女の存在は。どれほど心強かったことだろう。

なのに、運命は。まだ彼に、究極の選択を迫る

ナナ 7

2006-02-12 02:27:08 | 演劇:2006年観劇感想編
JOE Company  Another Play vol.2  『7』―ナナ―
劇場:アートコンプレックス 1928
作/演出/出演:小野寺丈
出演:山内としお,宮本大誠,清水拓蔵,藤村忠生,大場達也,平川真司


雑居ビルの5階。急ごしらえの保育園を仕切るのは、やけに迫力のある兄さんたちで。どうやら、本日開園なのらしい。どうやら昨日までの商売は、ヤクザなのらしい。。
ある日、親分が植物人間に。戻る確約はなく、かさむ入院費用。極道稼業に見切りをつけ、かたぎの商売を始め。とりあえず、かわいいエプロンを着けてみる。一生懸命、笑顔の練習をしてみる。だけども消せない、筋金入りの極道仕草。ワカガシラだ、アニキだと。出てくるセリフは不穏なものばかり。

それにしても。この役者陣の、堂に入った極道ぶりはどうよ? ほぼ、皆さまを初見なのだけど。清水氏は、『THE WINDS OF GOD ~零のかなたへ~』に出演されてたよね。もしや、Vシネマだとかで有名な方だったりする? よりどりみどりな、イイ男っぷりで。

破門になった子分が、舞い戻り。ヒットマンが、鉄砲玉の子分を追って現われ。保育スタッフとして雇い入れた善意の一般市民までが、こちゃこちゃに絡み合い。「ナナ」と名乗る謎の女からの、謎の電話。「7」は、倒れた親分が最後に書き残したメッセージ。もう、なにがなんだかのなかに。極道一筋の親分が戻ってくるものだから、混乱は最高潮。

ドタバタのシチュエーションコメディを。ドタバタだけで無くしているのは、若頭役の小野寺氏。苦肉の策で、ひねり出した保育園業。絶対に許してくれるはずもない親分を、ごまかすために汗みずくになる姿は。小ずるさはなくて、イイヤツすぎるくらいで。小心者なくせに、けっこう行き当たりばったりで。それじゃいかんだろうと、笑いがこみあげる。これを受ける、親分役の山内氏の芝居も。迫力のなかに、子分たちがかわいくて仕方がない様子を含むから。冒頭で流れた『仁義なき戦い』のテーマ曲(←タイトルは知らない)に、似合いの結末に(←宮本氏、大熱演!)。後味の悪さは、残らない。

JOE Companyとは、小野寺丈氏のプロデュースユニットで。Another Playとは、本流と世界観を異ならせる実験公演なのだという。男性7名のみで構成された、シンプルでいて力強い舞台。このところ、ユニットものの公演に当たりが多くて楽しい。

ラドンナ

2006-02-06 00:19:37 | チョコレート
LA DONNA ラドンナ <ビターオランジュ>
森永製菓より、期間限定で新発売


カカオ豆や素材にこだわったチョコレート
カカオ分57%の本格ビターチョコレートにほんのり広がるオレンジの香り
薄さが生みだす上質な口どけ 大人のための贅沢な1枚


アンティークなデザインのキーが、印象的なパッケージ。
だから、オレンジチョコには目がないんだってば。期間限定の文字に、ただいまリピート中。

売り文句に違わず、大人向け。ビターチョコは、おもわず「にがっ」っていうくらい。オレンジはパウダーで入っているので、甘さは一切なし。細かく砕いたクレープチップが、ほんの少しさわやかさを演出しているかな。
パッケージの写真は、表面がざらついているのだけど。本物は、すっきり平面で。舌触りがこの上なく良い。絶妙な薄さで、これが癖になる。

姉妹品に、<イタリアンバニラ>。こちらは、ホワイトチョコで。うってかわって、濃厚。