手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

エロい手話通訳者?

2015-01-03 21:02:21 | 日記
毎年、秋が深まる頃、地域の公民館で秋祭りが行われる。

祭りと言っても非常に小規模なもの。
公民館で活動しているサークルが、地域の人たちをもてなす、というものだ。

例えば、大正琴サークルは演奏を披露する。
マジック・サークルは手品を披露。

手話サークル「ダ・カーポ」はミニ手話教室を開く。
俺は会員ではないが、設立の時に関わった縁があり、頼まれて手伝いに行った。
ヒマだった。
「10分間手話レッスン」
と掲げているが、あまり人が来ないので、希望する方は1時間でも2時間でも勉強していける状況だった。
ま、そんなに熱心な人はいなかったが・・・。

珍しく、若い女性グループがきた。
ごく簡単なものではあるが、久しぶりに指導役をやらせていただいた。
帰り際、メンバーの一人が言った言葉に、固まってしまった。
「たいしさん、エロい」







ろう者の視線は鋭い。
手話サークル会長のQさんが心配して、声をかけてくれた。

「たいしさん、どうしたの? 怒ってるみたいだけど・・・」
最近の若い奴は礼儀を知らん。
「嫌なこと、言われたん?」
エロい、て言われた・・・
「あははは! たいしさん、それ、褒めてるんやで」
は?
「若者言葉やん」
へ?
「男性として魅力がある、ていうような意味や」
えー!!!


若者と話す時は、通訳してくれる人が必要である。



ヤングたいし/カリスマ手話通訳者との出会い

2015-01-03 03:09:11 | 日記
学生時代に、手話を学び始めた。
しかし、当時は今とは違い、手話を教えてくれる人がいなかった。
手話講習会に参加するためには、田舎で暮らす人間は、遠くまで出かけていかなければならなかった。
さらに、当時はろう者に会うことさえ、難しかった。

ろう者と話ができなければ、手話を学ぶ意味はない。

よし、自分自身を、手話世界に放り込んでしまおう。
「手話通訳ボランティア」を始めた。
手話通訳ボランティアは、資格ではない。
役所に登録すれば、誰でもなれた。
若さ故の無鉄砲やろな。
手話通訳なんかできるわけがない初心者なのに、「手話通訳ボランティア」なんて・・・

手話通訳ボランティアの活動は、観光地に限られた。
当然ながら、有資格者たちがやっているような、責任の重い仕事はさせてもらえない。

地元で大きな観光イベントが始まった。
地域の活性化をスローガンに市長主導で始まった大イベントであり、会場入口近くに設置された案内所には手話通訳ボランティアと、有資格手話通訳者が常駐することになった。
俺は手話通訳ボランティアとして、この案内所に通うことになった。

ある日のこと。
「おはようございます!」と元気に挨拶して案内所に入っていくと、既に有資格手話通訳者が来ていた。

おはようございます。手話通訳ボランティアのたいしと申します。よろしくお願いします。
「Sです。よろしく。こんな若い男性が手話を勉強しているなんて、珍しいね。頑張ってね」


この人が、あの有名な「カリスマ手話通訳者」か!
驚いた。
普通のオバチャンにしか見えない。
全く、威張ったところがない。
やはり、そうなのだ。
一流の手話通訳者は、決して、威張らない。


あれから30年の月日が流れた。
カリスマ手話通訳者は、もう高齢である。
介護認定を受けてヘルパーさんに来てもらってもおかしくない年齢である。
しかし、とてもそんな年には見えない。
そして、今でも現役である。

やはり、常人ではない。