手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

引退準備

2016-03-31 06:49:08 | 手話
3月も派遣者からの連絡は一切なかった。
いろいろ思うことはあるが、公的派遣への未練はない。
公的な通訳など、手話通訳の一部に過ぎない。
だから、引退と言っても、公的な「手話通訳者派遣」の舞台から下りるだけや。

さて、どのように舞台を降りるか。

資格そのものをお返ししようかと思ったが、それはやめようと思う。
派遣者側の責任者が変われば、もしかしたら、また必要とされることもあるかもしれない。

派遣者と向き合うと、感情が出てくる。
派遣者側の責任者の面前に資格者証を叩き付けて、
「じゃーな」
と背中を向けたくなる。

しかし、手話通訳者の資格とは、それこそ、私的なものではない。
個人の感情は後回しにすべきである。

思い出せ。
現場で初めて会ったろう者から、
「あなたに会えてよかった」
と言われたこと、一度や二度ではなかった。

必要としてくれる人が一人でもいるなら、自分から辞めるべきではなかろう。



現場はもう終わり?

2016-03-30 05:44:13 | 手話
手話通訳でよくお邪魔する接骨院の院長先生が、
「たいしさん、もう現場に出るのはやめて、若い手話通訳者を育てることに注力すべきですよ」
とおっしゃった。
なるほど・・・
確かに、外の世界の人から見れば、俺は古株のベテランであり、若い人たちを指導すべき立場に見えても不思議はない。

手話通訳界で嫌われ、村八分にされていることなんて、ご存じないのは当然だ。

ふむ・・・


会社/手話通訳/たいし株

2016-03-29 04:58:07 | 手話
以前、会社での手話通訳で「最悪」の実例を紹介させていただいた。
当然ながら、そんなひどい状況ばかりではなく、うまくいったケースもある。
今回はたいし株が上がった実例。

S社の受付で「手話通訳に来ました」と名乗ると、会議室に通された。
ろう者のCさん、その上司、社長の3人が既に着席している。
固く緊張した、嫌な雰囲気。

しかし、話し合いが始まると、だんだんと緊張がとけてきて、和やかな雰囲気になってきた。
あー、よかった・・・

無事終了。
社長が声をかけてきた。

「あんたの技術は大したもんやな」
えっ? 社長、手話できるんですか?
「いや、俺はど素人や。でも、見ていれば判る。実は、手話通訳者にきてもらうん、あんたが3人目や」
3人目・・・今日が3回目の話し合いだったんですか?
「そう。前の2人は・・・・・俺が話し始めても、手は動かさない。ただじっと、聞いている。俺が話し終わると、手話でCさんに伝えてくれるんやけど、異常に短い。要約して伝えとったんやと思う。でも、あんたは違う。俺が話し始めるとすぐにあんたの手も動き始める。俺が話している間ずっと、あんたの手は動きっぱなしや。で、俺が話し終わると、あんたの手も止まる。つまり、同時通訳してくれていたわけや。今回みたいにトラブルを解決するための話し合いでは、“言い方”がとても大切。相手に伝わるように、言葉を選んで、慎重に話しているわけや。ろう者に伝える時に“要約”されては困るんや」
おっしゃる通りです。聴者の話をただじっと聞いて、あとで要約して伝えるような場合、必ず手話通訳者の主観が入ってしまいます。会話も途切れてしまう。
「そのとおりや。おい、Cさん、もし今度話し合うことがあったら、たいしさんに来てもらえや」


社長が褒めてくれたのは嬉しいが、実は、社長以上に、Cさんが非常に高く評価してくれた。Cさんには持病があり、定期的に通院している。
この時以来、Cさんが通院される時は指名で手話通訳者派遣申込が来るようになった。