手話通訳者のブログ

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手話通訳者のブログ/報告とお礼

2015-01-20 04:11:01 | 日記
日記・雑談カテゴリで346位にランクインしました。
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ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

ヤングたいし/Kの結婚

2015-01-20 03:54:52 | 日記
大学を卒業後、数年の間、Kは隣町に住んでいた。
Kとは、同じ大学に通っていたろう者の友人である。
Kは学生時代からすごい秀才だった。
地元の大企業に勤めて数年後に昇進して転勤となり、遠方の町に転居した。
しょっちゅう会っていた親友だが、住む場所が遠くなり、めったに会えなくなった。

そんなKが、久しぶりに、訪ねてきた。数年ぶりの再会となった。

「結婚することになったんだ」
あの、美人の、元CAの彼女?
「うん」
へえー。
「で、頼みがあるんだ」
何や、改まって・・・
「立会人をやって欲しい」

後にも先にも、結婚式で立会人を務めたのは、あの時だけ。


結婚式当日。
手話通訳は、あの、カリスマ手話通訳者。
さすがK。
大学在学中からろう協青年部長として数年活躍していたから、地元の手話通訳者にも顔なじみが多い。
結婚式の手話通訳、今なら公的派遣で対応してもらえると思うが、当時は無理だった。
カリスマ手話通訳者は、全くのボランティアで、個人的に手話通訳を引き受けてくれた。
もし、立会人を頼まれなければ、俺が手話通訳をやることになったかもしれないが、当時は手話通訳者としてはヒヨッコだったから、ベテラン中のベテランが通訳してくれることは、親友としてもうれしかった。


豪華な結婚式だった。
料理も最高。
和気藹々の、とてもいい結婚式だった。
なんだか嬉しくて、気持ちよく酔っ払ってしまった。
手話通訳をやっていたら、酒なんか飲めない。
立会人でよかった(笑)


新郎新婦のご両親の挨拶。
Kのお父さんが挨拶に立たれた。

「みなさん、本日は誠にありがとうございます。ご存じのとおり、Kは耳が聞こえません。皆様の温かいご支援がなければ、このような幸せな結婚式を挙げることもできなかったと思います。本当にありがとうございます。特に、学生時代からずっとお世話になっているたいし様には、感謝してもしきれません」

酔いがぶっとんだ。

おいおいおいおい!
ここにはあのカリスマ手話通訳者をはじめ、地元ろう協会長、手話通訳問題研究会役員などのお歴々がおられるというのに・・・なんで俺だけ名指しで・・・

穴があったら入りたい・・・
まさに、そういう気分だった。


お父さんのお気持ちは大変うれしいが・・・
なんだか、違和感が・・・
何も知らない皆さんが、お父さんの話を聞いたら、「たいし」は立派な人物のように聞こえるのではないだろうか・・・
実際はそうではない。
学生時代の講義の手話通訳だって、自分が聞きたい講義の通訳をやっただけである。
「つまらん講義の通訳なんか、やらへんで」
と言っていた。
地元主流派手話通訳者たちが現実を知ったら、
「やっぱり、たいしは手話通訳者失格!」
と、目を吊り上げるに違いない。



ただ・・・
あの当時は若造で何もわからず、ただただ困惑してオロオロしていたが、あれから数十年の時が流れ、自分自身、親となってみると、今は、Kのお父さんの気持ちが、少しはわかるような気がする。
親から見れば、子供はいくつになっても子供なんや。
いつも心配しているに違いない。
親として、素直に、感謝の気持ちを表してくださったのだろう。

ありがたいことやな。