手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

あの手話通訳者はあかんで!

2015-01-12 21:26:16 | 日記
ろう者と親しくなると、こういう話をよく聞くようになる。
興味津々(笑)

ただし、自戒しなければならないことがある。
人のうわさ話を聞く、ということは自分の噂も、同様に、誰かが誰かに話している、ということだ。
手話通訳者を批判するような言葉を聞いた(見た)ら、自分に向けられた批判として受け止める姿勢が必要だろう。
先日もろう者のFさんと、こういう話題で話した。

「手話通訳者A、知ってるか?」
知ってる。
「あいつはあかん!」
なんで?
「俺の手話、全然読めへんのや」
ふーむ・・・
「この間、通訳にきてくれたんやけど、俺の手話、全然わからんらしい。え、え・・・という感じ」
そりゃ、困ったな。
「はっきり、言ってやった。よく試験に合格したな、って」
うわー・・・きついな・・・
「一応、通訳終わって、別れる時、“手話通訳者として未熟でごめんなさい。できれば、時々、会ってくれませんか?あなたの手話、ちゃんと理解できるようになりたいのです”って、言われた」
で、何て答えたん?
「忙しいから無理、って」
・・・・・


まず、ろう者の立場に立って考える。
自分が話していることを手話通訳者が理解できていない場合、がっかりするだろう。腹が立つだろう。「それでも手話通訳者か!」と言いたいだろう。
だから、Fさんの気持ちはよく解る。だから、Fさんを責める気はない。

しかし・・・
Fさんにも、ちょっと、考えて欲しい。
手話通訳者を育てることができるのは、ろう者だけだ。
研修を受けたって、手話世界の有名な偉い先生の講演を聞いた(見た)って、急に手話がうまくなるわけではない。

手話が下手ということは、「ろう者との会話経験が少ない」こととイコールである。
逆もまた真なり。
手話がうまいということは、「ろう者との会話経験が豊富」であることとイコールである。

「手話通訳者のレベルが低い」と嘆いているだけでは、何も変わらない。
手話通訳者を育てることができるのは、ろう者だけだ。
手話通訳者が謙虚に教えを乞うているなら、教えてやって欲しい。
「指導」なんて難しく考えなくていいのだ。
時々会ってやるだけでいい。
話す内容も自由だ。
「あんたは手話通訳者失格。理由は云々・・・」
という内容でよい。


ただの嘆きから一歩踏み出して、手話通訳者を育てていただきたい。



派遣者(コーディネーター)

2015-01-12 07:27:05 | 日記
手話通訳者派遣制度の登場人物三者のうち、最も地味で目立たない存在。
手話通訳者は黒子だと思っているが、通訳者以上に影の存在、縁の下の力持ちや。
とても、大変な仕事。

例えば福祉課が担当部署だとする。
課長はまあええ。
管理職としての苦労は当然あるけど、それはどこの組織でも同じこと。
最前線、すなわち申請者(聴覚障害者やその他派遣申込者)や、手話通訳者と直接接する職員は大変なんやで。

昼休み、自分の机で弁当を食べていると、ろう者がひょいと入ってくる。
「夕方、病院、行く。通訳必要。5時、山田医院」

えっ、5時? 今日の?
もう弁当どころではない。
急いで、登録手話通訳者の携帯に電話する。
鈴木さんの携帯ですか? お世話になっております。 お昼休みにすみません。 今日の5時からなんですが、通訳お願いできますか?
「はあ? 今日? 行けるわけないでしょ、仕事中なんだから。」
ブチ(電話が切れる)

電話する時間、コールして待っている時間、通訳者と話している時間・・・
1回の電話で1分使うとして、10人の通訳者に連絡すれば、それだけで10分、使ってしまう。

相手の立場に立ってみる。大切なことや。
相手というのは申請者だけやない。
むしろ、申請者は制度のユーザーなんや。
通訳者と派遣者が協力して、手話通訳いう行政サービスを提供しているんや。
パートナーは大切にせなあかん。