手話通訳者のブログ

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手話本紹介/新しい国語表記ハンドブック

2016-09-30 18:13:01 | 手話
国語の本である。
なぜ「手話本」として紹介したか。
手話通訳士試験の参考図書として公開されている本だから。

手話通訳者に国語力は不可欠。

なぜ、国語力が必要か。
相手が言っている意味が理解できなければ通訳などできないから。
手話語彙のみでなく、国語の語彙も常に増やしていくべし。

漢字能力も不可欠。
通訳現場で、資料が出されてそれを中心にやりとりが行われることもある。
通訳内容によっては、難解な言葉が使われている場合もある。
事前資料なら、あらかじめ調べておくことができるが、現場で突然そういう資料が出されることもある。

手話通訳者の漢字能力として、高校生に負けているようでは話にならない。




尊敬する先輩手話通訳者

2016-09-29 08:29:27 | 手話
Wさんは、本当に、手話通訳者派遣制度が始まった時から活動している。
制度そのものを作るための運動を、ろう者たちと共にやってきた人。
その人が、今も現役。
80代である。立派としか言いようがない。
そして、でしゃばったり、威張ったりすることは一切ない。

この方も、地元手話世界では「Wさんを知らない人はいない」という方。
しかも男性である。
制度創設時、男性手話通訳者はWさんだけだった。

ろう者からの支持は絶大。
年配のろう者は尊敬を込めて「W先生」と呼ぶ。
俺はあの方のことも、カリスマ手話通訳者のことも、さん付けで呼ぶ。
先日、地元ろう者と話していてWさんの話題となった時、
「先生と呼ばんかい!」
と叱られた。

もちろん、かの先生方が講師となって手話通訳者研修に来られた時は、当然ながら、「先生」と呼ぶ。


Wさんから、直接教えを受けたことはない。
でも、間接的に、常に指導していただいている。
ろう者から彼の悪口を聞いたことはなく、常に尊敬、賞賛の噂を聞く。
今、80代のWさんは公的手話通訳現場にはほとんど姿を現さなくなった。
でも、相変わらず超多忙らしい。

Wさんの週末は、朝一番で知り合いのろう者の葬儀に参列し、終わったら急いで帰って着替えて、若いろう者カップルの結婚式に出てスピーチ、みんながお祝い会に移動する時、Wさんだけは遠方まで電車で出かけ、ろう者の相談に乗る。
こんな様子らしい。
聖人と言ってよい。


年配のろう者から、
「あんた、まだまだやで。W先生みたいにならな」
と言われることがある。

Wさんの足元にも及ばないが、まあ焦らず、できることをやっていこうと思う。



切れる手話通訳者

2016-09-28 12:09:50 | 手話
「相変わらず、切れるな」
久しぶりに会った、地元ろう協元会長のWさんに言われた。
この「切れる」というのは「ブチ切れる」という意味ではなく、いい方の意味。
頭がよい、と褒めてくれているのだ。

本当のことを言えば、俺は頭が悪い。悲しくなるほど、悪い。
つまり、Wさんの誤解である。

しかし、俺にとっては「頭が切れる」というのは最高の褒め言葉。

Wさんが気づくまで、誤解させておこう。




外国語が話せる人に質問したい

2016-09-27 12:46:47 | 手話
外国語。
話を解りやすくするために、「英語」にしよう。

英語が話せる人は多い。手話ができる人の数十倍はいるのではなかろうか。
「英語なら話せるよ」
と今、思った方、教えて欲しい。

もし、口が二つあったら、英語と日本語で同時に話すことができる?
単語とかセンテンスとか、短いものなら可能だろう。
でもそうではなく、「話す」ということ。

例えば、1分間スピーチをする、と想定していただきたい。
この時、口が二つあったら、英語と日本語で同時に1分間、喋り続けることができるだろうか?

おそらく、できないと思う。
口が二つあっても、脳が二つないと無理やないかな。



で、手話の話。
日本語対応手話(以下、対応手話)ってのは、すごく、無理がある。
上記と同じ理屈である。
日本語を話しながら同時に手話を現すことは、不可能である。

ただ、誤解しないでいただきたいので、補足する。
対応手話は必要なものだし、自分自身、手話通訳者として、対応手話を使う時もある。
ただし、対応手話は記号的なものであり、言語ではない。

蛇足ながら書き加えるが、手話は言語である。




漢字からできた手話表現

2016-09-26 08:40:34 | 手話
たくさん、あるよね。
ただ、ろう者の間で実際に使われている表現を見ると、ん? と思うことがある。

例えば、「坂田」という人名を表す場合、
「坂」+「田」
なら、迷うことはない。

しかし、名前の漢字にはこだわらず、
「酒」+「田」
と表現する人も少なくない。
こういう人は、今話題にしている人を「サカタ」と認識しており、漢字はあまり意識していない。
特に年配のろう者はこういう傾向があると思う。

だからと言って、「手話が間違っている」と言う気はない。
手話世界の人たちの中には、「正しい手話」に強いこだわりを持つ人もいるが、
手話通訳者は「正しい手話」にはこだわらない方がいい。
と思っている。

もちろん、手話の試験を受ける場合、上記の「酒」+「田」を表したら、間違いとなり、不合格となる。
だから、手話の試験を受ける時だけは、「正しい手話」を大切にするべき。

試験に合格して、手話通訳者として活動を始めたら、「正しい手話」よりも、「わかりやすい手話」を大切にしていただきたい。

正しいかどうか、よりも、通じるかどうか、が重要なのだ。