手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

手話通訳問題研究会

2016-08-31 12:35:56 | 手話
いろいろわけがあって、昨年の3月末に手話通訳問題研究会(以下、通研)を退会したので、下記は思い出話(笑)


通研の研修は分科会形式がとられることが多い。
グループに分かれて、それぞれのグループで、
(1) 司会進行
(2) 発表
(3) 記録
の係を選出する。
記録係は、グループ内でどんな意見が出たか、まとめる。
だから、記録係はずっと下を向いて、書いている。
よって、手話通訳者が発言する時は声を出しながら(つまり日本語対応手話)発言する必要があるし、ろう者が発言する時は読み取り通訳が必要なわけ。
俺は手話で話す時、声を出さない。いつから、こうなったんだろう。記憶がない。いつの間にか、や。
で、怒られる。
「たいしさん、声!」
怒るのは、記録係の人。記録係に対して、特に不満はない。
記録する係で、下を向いているのだから、当然の要求であろう。

ただ、この形式、ずーっと同じことやっているけど、そろそろ、見直した方がええんちゃうか。
通研の役員もろう協役員も2年程度で代わるから、今までの研修でどんなことをやってきたか、記録が必要だ、という考え方も理解できる。
しかし・・・
手話通訳者研修会なのだ。
記録係の人は、ちっとも研修にならへん。

記録なんか、なくしてもいいと思う。
あるいは、記録の仕方を変える。一つ一つの発言を記録する必要はない。
どのような目的で、どのような形式で研修を行ったか。要旨の記録で十分だろう。
確かに、詳細な記録がない場合、新たに役員に選出された人は、苦労するだろう。
でも、その苦労は、後で生きてくる。
現役員たち、後輩に苦労させないようにという優しさは、かえって人を育てず、よくない。
むしろ、どのように苦労させるか、を考えるべきだろう。


長所と短所はうらはらのもの

2016-08-30 13:04:55 | 手話
手話通訳者として活動を続けていくなら、精神的に強くないと難しい。
手話通訳そのものも難しいし、相手のろう者との人間関係や、通訳者同士の人間関係もある。

しかし・・・
長所と短所はうらはらのものである。
精神的に強いが故に、人の意見に耳を貸さない。
そういう手話通訳者、少なくない。

弱いということは、敏感ということだ。
敏感だからこそ、人の痛みを自分の痛みとして感じることができる。

むしろ、「向いていない人」の方が、良い通訳者になるのではなかろうか。


手話の学習方法

2016-08-29 08:19:47 | 手話
手話サークルや手話講習会などでよく行われている、ゲーム形式の学習方法。

手話による伝言ゲーム
例えば、サークル会員が30人いるとする。
10人ずつ、1列に並ぶ。3列になる。
この列の前に、出題者のろう者が立つ。
先頭の人だけ、前を向いて出題者を見る。
他の全員は後ろを向く。

出題者が手話で短いスピーチをする。
先頭の人はひたすら見る。
見たら、次の人に手話で伝える。声を出すことは禁止。
手話で話している人と、それを見ている人以外は全員、後ろを向いたまま。

こうやって順番に伝えていって、最後の人が、
「こういう話でした」
と発表する。

「伝言」が最後までいくと、内容が変わってしまったり、伝えるべき情報が抜けてしまったりする。


広く行われている学習方法だけど、できれば、時間を区切るとよい。
「ええと・・・」なんて考えていたりすると、時間が長くなり、ダラけたり、しらけたりする。
上記のケースなら、
「グループ全体で制限時間3分。3分以内に最後の人まで伝える」
という形で、時間を区切る。
そうすると、一人あたり18秒しかない。
考えている時間はない。
3分で最後の人まで伝えることができなかったら、そのグループは失格。それでよい。

それと、このゲームは最後に文章に書いて答え合わせするケースも多いが、これはやらない方がよい。
時間がかかって冗長になりがちだから。
最後の人(10人目)が、
「こういう話でした」
と手話で表し、出題者であるろう者がコメントする形式がいいと思う


手話サークルなどで初心者が混じっている場合は、この形式はちょっと無理がある。
手話通訳者養成コースの最終日に、これを入れてみるとよいのではなかろうか。



ろう者と敬称

2016-08-28 10:22:27 | 手話
ろう者にもいろいろな方がおられるから、決め付けるのはよくないが、ろう者たち(特に親しい間柄では)は敬称を使わないケースが多い。
俺なんか、街中で知り合いのろう者に目撃されると、いきなり、
「たいし!」
と大声で呼ばれる。
「たいしさん」ではなく、「たいし」。
今ではすっかり慣れてしまい、腹を立てることもなく、当たり前のこととして受け入れている。

また、ろう者と会話していて、今ここにはいない鈴木さんの話題になったとする。
こういう時、鈴木さんのことは「鈴木」と呼び捨てである。
別に、鈴木さんを馬鹿にしているわけではなく、これが当たり前になっている。


あなた発音が上手ね

2016-08-27 20:14:35 | 手話
今日は30年前の思い出話。
大学生の時、親友のK(ろう者)に誘われた。
「たいし、僕の後輩たちがろう学校で交流会をやるんだ。一緒に行かないか?」

高校生たちに混じって楽しく交流した。
保護者の方々も参加しておられた。

ふいに、トントンと肩を叩かれて振り返ると、生徒のお母さんらしいおばちゃんが、口を大きく、ゆっくりとあける話し方で、
「あなた、はつおんが、じょうずね」


あれが、ろう者に間違えられた最初の経験。