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TPPってそもそも何?・・・TPPが日常を変える? - 二次創作、薬、化粧品、みんな大好きお肉まで

2016-11-01 13:47:01 | TPP

POSThttp://sealdspost.com/archives/4939より転載

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TPPが日常を変える? - 二次創作、薬、化粧品、みんな大好きお肉まで

文: POST編集部:今村幸子

TPPが、ついに今週、採決されるみたいですね。
なんでも、与党は明日採決するつもりなんじゃないかという報道も。

「企業が儲かる!」とか言われているTPP。「アメリカとの関係がよくなる!」とか言われているTPP。正式名称は環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)と漢字がいっぱいなTPP。

でも実際のところ、TPPって、私たちの生活にどう関わってくるんでしょうか?

今回はTPPについて、ざっくり、私たちの生活に関わるところを解説していきます!

TPPってそもそも何?  非関税障壁って?

TPPとは簡単に言ってしまえば、太平洋の国々で、モノやサービスなどの売り買いに関するルールを作り、守りましょう、というものです。

現在、参加する予定の国は以下の12カ国となっています。
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オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム

さて、TPPによって、日本が守ることになるルールはどんなものがあるのでしょうか。

・関税をなくす
・非関税障壁をなくす
・外国の投資家が直接日本政府を訴えられるようになる
・決めたルールを嫌になっても変えられない
・著作権が親告罪(著作権を持ってる人に訴えられた場合、罪になる)から「著作権の権利者に訴えられなくても捕まる」ようになる

他にもたくさんあるんですが、とりあえず大枠としては、関税の撤廃と非関税障壁の撤廃が基軸となっています。

ところで、聞きなれない単語が出てきましたね。そう、非関税障壁です。非関税障壁というのは簡単にいうと、関税以外で、貿易や商売をするとき「障壁」となるとみなされるもの全てを指します。

それにしても、非関税障壁って、どういうものがあるんでしょう? 日本語を例にあげて説明してみます。

日本語、海外の人ってほとんど使わないですよね? そうなると、日本語それ自体が、貿易の際にちょっとした障壁になります。つまり、「翻訳者を雇わなければならないことも、コストが増えるので障壁だ!」と言われてしまえば、日本語が非関税障壁となってしまいます。TPPでいえば、太平洋の国々でのモノやサービスなどの売り買いに際して、日本語が非関税障壁となり、撤廃されるということですね。

TPPでは、何がこの非関税障壁、「貿易や商売の妨げになる」とされるかは、明確には決められていません。言ってしまえば、相手企業に「障壁だ!」みなされたら、非関税障壁とされる可能性もあるルールとなっているわけです。ここでは日本語を単なる例えとしてあげましたが、それが現実のものとなることもありえなくはないルールとなっているのです。

TPPで変わる! 身近なもの

このルールによって、他の国では認可されているけれども、日本では規制されているものが「非関税障壁」とみなされるようになるだろうと言われています。ここではその具体例として、私たちの生活や日常に一番関わりそうなところを取り上げてみます。

・薬

頭が痛いとき、お腹の調子が悪いとき、生理が重いとき、風邪を引いたとき。多くの人が、薬を飲んで治されると思います。でも、そんな私たちの日常を支えている薬が、高くなる可能性があるといわれています。

これまで、日本で流通している薬は、日本政府と日本の製薬会社が価格を決めていました。
しかしTPPが批准されると、その価格を決めるための手続きの規則・方法・ 指針を、TPPに加盟している国やその国の企業に、きちんと開示することが必要となります。このとき、手続きの決定に直接影響を受ける申請者(ようするに、当事者ですね)が不満をもてば、審査できるようになります。

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つまり、アメリカをはじめとしたTPP加盟国の製薬会社が、「透明性がない」「その価格では安すぎる」と言ってしまえば、価格の決定に影響を及ぼし、薬の値段が高くなっていくということです。こうなってしまう可能性は、非常に高いと言われています。

また、「知的財産」の章には、医薬品の特許やデータの保護を強める制度について書かれています。これによって、新薬ができても、長いあいだ高価格でしか手に入らなくなってしまいかねません。
そうなると国 の財政負担が重くなり、患者の負担する割合が増すようになると思われます。

第26章 透明性及び腐敗行為の防止附属書 26-A. 3条
第18章 知的財産 48条2項、51条1項、53条1項

・お肉、フルーツ、野菜など食品
日本には、食の安全を守るために様々なルールがありますよね。たとえば遺伝子組み換えの場合はきちんとそう書く、産地を明らかにする、などなど……。

しかしTPPの中にある、食品表示のルールに関する章には、「義務表示など強制力のある表示に関するルールを作る場合は、輸出国や企業なども利害関係者として関与できる」とあります。
遺伝子組み換えと表示したほうが売り上げが減りそうなので、表示しなくていいなら企業は儲かります。国産品の方が信頼できるとして売れる確率が高いなら、輸出企業は産地表示がない方がいいなと思うでしょう。当然、義務表示には反対してくるものと見られます。

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つまり、今までは「この地域では最近自然汚染があったらしいからよしとこう」、「この国はきつい農薬も規制されてないみたいだから国産にしよう」と選択できていたのに、それができなくなるのです。

また、現在日本では、およそ92時間かけて輸入品の検疫をしています。しかしTPPでは、「原則48時間で輸入品を入れなければいけない」ことになります。今まで半分以下の時間では、安全性が低下するおそれが高いと言われています。

第2章 内国民待遇及び物品の市場ア
クセス7条1項
第5章 税関当局及び貿易円滑化 10条1項、項
第7章 衛生植物検疫(SPS)措置 5条1項、9条2項
第8章 貿易の技術的障害(TBT)4条1項
第18章 知的財産 32条1項

・化粧品
健康に配慮して、なるべくオーガニック表示のある化粧品を選びたいという方、多いんじゃないでしょうか。

体内に入ると有害だとして、食物では禁止されているタール色素。ほとんどの化粧品は、このタール色素によって着色されています。多くが口に入ってしまう口紅も、タール色素が使われています。また最近は、パラベンやアルコールが体に悪いという話も広がっていますよね。

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体にいい成分で作られているものを買いたい時、オーガニック認証のコスメを買うことがオススメされています。しかしそのオーガニック認証さえも、上の項目で挙げたような表示に関するルールなどを使い、「非関税障壁=商売の妨げになる、儲けにくくなるもの」だとして廃止される可能性があるといわれています。
アレルギー体質で、乳液やシャンプーなどもオーガニックでないと駄目だという人には、死活問題となりかねません。

第8章 貿易の技術的障害(TBT)4条1項

・二次創作
これは、著作権に関するルール改正に関わるところです。

今まで著作権は親告罪でした。つまり、著作権の権利を持っている人から直接訴えられなければ、捕まりませんでした。

しかしTPPのルールでは、非親告罪、すなわち著作権の権利者が「良い」と思い訴えなくても、罪になります。

先日国会で、政府は「逮捕されることはあまりない」と答弁しました。「あまりない」・・・ということは、逮捕される人も出てくるだろう、ということですね。

pixivやニコニコ動画、Youtubeなどで活気づいている漫画やイラスト、歌ってみた/踊ってみた動画、MAD、ツイッターのキャラbotなどなど……今まで親しまれてきた様々なコンテンツが違法となるということです。

 

まとめ

このように、TPPは貿易業や農業を営む人だけでなく、多くの人々の日常にありふれているもの、それこそ趣味や病気、食べ物や化粧品の選択に関わってくるものなのです。

TPPの影響は、上で説明したものだけではありません。たとえば労働環境悪化の懸念(日本は強制労働の廃止と、差別禁止を定めた条項を批准していない )、地元の環境汚染より企業の利益が優先される、国民の生活を守るための金融政策はNG、企業が消費者の情報(個人情報を含む)を海外の拠点に送信できるという規定はできて、個人情報を保護しなかったときの罰則規定がない….などなど、私たち個人の暮らしに関わってきそうなルールはたくさんあります。

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yui hasegawa

現在、日本の野党は「国民の生活を守れない」ということで反対しています。
一方、与党である自民党は乗り気です。今週にも国会で採決を行い、可決するかもしれません。

一見私たちと関係ないもののように見える政治は、私たちの日常を変えることができるものです。そして、それが必ずしもいい方向に変えるとは限りません。知らないうちにいつも食べてるものが、毎日の息抜きが、がらっと変えられてしまわないよう、ぜひぜひ政治のニュースもチェックしてみてください。

 

TPPに参加する国々-とくに日本とアメリカ

さっき、参加する予定の国は12カ国だと言いました。もう一度、どんな国が参加するのか見てみましょう。

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム

このなかで超重要国が二つあります。それは、日本とアメリカです。

TPPの発効要件、つまりTPPがスタートするための条件をみると、この二つがあることに気づきます。

・6カ国以上が批准していて、
・TPP域内の国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占めている

どういうこっちゃ、って話ですよね。実はそんなに難しい話ではありません。

【TPPでこう変わる】(9)発効条件と見通し 批准手続き難航も – 産経ニュース
http://www.sankei.com/economy/news/151030/ecn1510300064-n1.html

GDPでいうとアメリカは60%、日本は18%ほどを占めています。つまり、日本とアメリカ、どちらかが「やーめた」となった瞬間に、TPPは発効できないんです。

つまりTPPを発効したがっているオバマ政権にとっては、日本が非常に重要な存在になるんですね。何せ、アメリカにとっても日本がいなければTPPは発効できないわけですから。互いが互いを必要としているわけで、日米関係のためにこそTPP、と言っても、あながち嘘ではなかったわけです。

が、しかし。いま、大きな話題となっているアメリカ大統領選。そのアメリカの大統領候補のドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏は、なんと二人とも反対しているんです。

http://sealdspost.com/archives/4660
http://sealdspost.com/archives/4740

つまり、日本がどう頑張ってもTPPは実現しない可能性が高いのが現状である、ということです。どうやらまだオバマが諦めていないという噂もあり、両大統領候補が反対しているからといってTPPの発効はありえない、とは言い切れません。しかし、日本国内におけるTPP採決に関する大きな正当性の根拠は紛れもなく削られていることは間違いありません。

政府には、明確な説明と時間をかけた熟慮が求められるはずです。

 

関税ってそもそも何だろう

そもそも、関税って、何でしょう? ここではさらっと解説します。

たとえば、日本にアメリカの製品Aが入ってくるとします。アメリカはAをたくさん生産していて、価格も安いです。

そのアメリカ価格のまま、日本に大量のアメリカ製品Aが入ってくるとします。そうすると、日本で似たような製品を生産している工場などが、競争に負けてしまいかねません。なぜなら日本では、アメリカに比べて、その製品Aを生産するのにコストがかかるからです。値段が高くなり、より安いアメリカ製品Aに負けてしまい、国内産業に大きなダメージが出ていまいかねません。

そこで関税の出番です。アメリカの製品Aが日本に入ってくるときに、税金をかけます。アメリカの製品Aの値段を税金分高くします。そうすると、

①値段が高くなるので需要が減ります。
②そのうえで、需要が減るため、輸出量が減ります。

これらのことによって、価格競争に際して、日本の類似製品の生存可能性がぐっと高まります。関税を設定することによって、自国の産業を守ることができるのです。このことは当然、人々の雇用の保障にもつながります。

さて、見て明らかなように、関税は、輸出をする人にとっては紛れもなく「障壁」になります。だって、せっかく作って輸出する製品が、国境をまたぐと高くなっちゃうんですから。本当はたくさん輸出したいのに、それができない。関税は自分にとっては非常に重要でも、相手にとっては厄介なシロモノです。

その関税を取っ払おう!という流れが、ものすごくざっくり言うと、「自由化」と呼ばれる潮流だと言えるでしょう。そしてTPPは、12カ国のなかでそれを行おうというものです。そして、取っ払おうとするもののなかには、関税のみならず非関税障壁も含まれています。

なんにせよ、TPPは今週採決されると言われています。

審議が足りているのか、足りていないのかもよくわからないTPP。それでも、私たちの生活に大きな影響が与えることが予想される内容であることに変わりはありません。

今後の政治を注視する必要がありそうですね。

 

 

 

 


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