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【平和ボケのタカ派!】北への武力行使を支持47% 戦争を現実として考えない日本 2018.1.07 日刊ゲンダイ

2018-01-08 17:50:10 | 平和 戦争 自衛隊

【平和ボケのタカ派!】

北への武力行使を支持47% 戦争を現実として考えない日本

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220830/1

田岡俊次:軍事評論家、ジャーナリスト  2018年1月7日

日本への発射はあるのか(朝鮮通信=共同) 日本への発射はあるのか(朝鮮通信=共同)

 

 昨年12月20日、読売新聞に掲載された日米共同世論調査の結果には仰天した。米国が北朝鮮に対し軍事力を行使することについて、米国では支持63%、支持しないが32%、日本では支持47%、支持しないが46%、と報じられていた。

 米国が北朝鮮に対し武力行使をすれば、北朝鮮は滅亡必至だから自暴自棄となり、核ミサイルを韓国、日本に向けて発射する公算は極めて高く、米国防長官J・マティス海兵隊大将(退役)は「第2次世界大戦後、最悪の惨事となる」と述べた。米軍の攻撃の発進基地、補給拠点となる在日米軍基地だけでなく「死なばもろとも」の心境で最大の報復効果を狙い、東京を核攻撃する可能性も高い。

 その場合、水爆弾頭なら被害半径は約7キロ、昼間なら死傷者は400万人程度と計算される。 北朝鮮は米国東海岸を射程に入れるICBM「火星15」の試射を11月29日に行ったが、大気圏に再突入する際の高熱で、戦時に核弾頭を入れる先端部分が分解した様子で、まだ実戦配備に至っていない。

 このため米国のタカ派議員から「ICBMが完成する前に北朝鮮を壊滅させ、米国人の命を守るべきだ。他国の人命にかまってはおれない」との論が出て、「米国第一」を唱えるトランプ大統領もそれに一定の理解を示している。これは冷酷な説だが、米国にとっては合理性もあるだけに、米国人の63%が支持するのも仕方ない。

■平和ボケのタカ派

 だが日本人の47%がそれを支持するのは、北朝鮮が日本を核攻撃することを望むのと同然だ。

 北朝鮮はほぼ日本全域を射程に入れる「ノドン」約300発、核弾頭は約30発を実戦配備しているとみられ、即時発射が可能なものも開発している。武力行使を支持する日本人は「米軍が一挙に北朝鮮の核ミサイルを破壊する」と思っているかもしれないが、北朝鮮北部、中国との国境に近い山岳地帯の谷間に掘った無数のトンネルに隠されている移動式発射機の位置を精密に知ることは困難だ。

 偵察衛星は約90分で地球を南北方向に周回し、時速約2万7000キロだから、1日約1回、北朝鮮上空を約1分で通過する。固定目標は撮影できるが、移動目標の監視は不可能だ。

 米統合参謀本部は下院議員16人の質問主意書に対し、11月4日文書で回答。「北朝鮮の核兵器は地下深くに保管されており、全てを確実に破壊するには地上侵攻が唯一の手段」と述べた。航空攻撃やミサイル攻撃で弾道ミサイルの一部を破壊できても、相手は急いで残った物を発射するだろう。相手は通信・指揮系統を複数、多様化しているだろうから、それを麻痺させるのも容易ではない。

 政府はミサイル防衛に「万全の備え」と言うが、実はイージス艦は「SM3」ミサイルを各艦8発しか搭載していない。不発や故障もあるから1目標に2発を発射するのが普通で、4目標にしか対処できない。短射程(約15キロ)のパトリオットPAC3も1地点に発射機2両が各4発を積んでいるから8発だ。ミサイル防衛は形ばかりにすぎない。
 この状況で、米軍の武力行使を望むのは、戦争を現実のこととして考えない「平和ボケのタカ派」が47%もいることを示している。

 

田岡俊次田岡俊次軍事評論家、ジャーナリスト

1941年生まれ。早大卒業後、朝日新聞社。米ジョージタウン大戦略国際問題研究所(CSIS)主任研究員兼同大学外交学部講師、朝日新聞編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員、「AERA」副編集長兼シニアスタッフライターなどを

 

 

 

 

 


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