こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

雷光で暗闇から浮き出た瞬間的光景 (7月)

2024-07-31 | 夕景

いよいよ、我が街の名が全国ニュースに何回か登場する時季が到来した。今日は薄曇りでそれほど暑くないが、先週金曜日(26日)には当地のアメダス測候所が全国第2位の最高気温を記録した。それでも、雲ファンのわたくしたちにとって、いまは興味の尽きない時季である。雲が浮かんでいればこその美しい朝焼けと夕焼け、そして興味深い出来事などに出会えるからだ。

 

さて、26日のことであったが、18時頃から頭上に黒い雲(積乱雲)が広がった。そして、日中での異常な暑さの起因するものであろうか、その有様は戦慄が走るほど不気味であった。

 

 

積乱雲は遠くから見ると太陽光を反射して白く輝いているが、直下では雲が黒く見える。雲が厚いために、雲を構成している氷や水の粒が太陽光を遮断するからである。

 

 

そして、19時頃、わたくしたちは激しい雷雨に襲われた。雷雨が通り過ぎるまで安全を確保しつつ、雷光で近くの山頂が浮き出る瞬間を撮ってみた。ちなみに、この山は「雨降山」(360 m )と地元で呼ばれている。

 

動画から切り出した静止画をアップする。

雷光が現れる直前にて

 

つぎの画像は雷光で雨降山の山頂よりも高い位置が明るくなった瞬間である。画像では明暗の境界が水平方向に伸びている。

この光景は、わたくしたちにとって全く見えなかったものである。あまりにも短時間での出来事であったからだ。

 

 

光の速さは真空中において一秒間に30万キロメール、水中では22万キロメートルである。ともかく、あまりにも速いので、稲妻から光が広がる有様をわたくしたちは意識できない。動画からこの場面が現れたことをはじめて知った。

境界は、稲妻から光が雲から下層(雨滴の集まり)へと走ったときに、屈折や反射が起こり生まれたであろうか。さらなる考察には高速度カメラによる撮影が求められるが、手持ちの一眼レフでもこのようなシーンを記録した動画が撮れることを、この画像はわたくしたちに教えてくれた。

 

次の瞬間、山全体が浮き出た。わたくしたちには、この場面が見えただけであった。

 

雷光が消えると、山体は再び暗闇に沈んだ。

 

このときの雷雨の範囲(気象庁ナウキャストから引用)

 

 

ー 撮影:7月26日 ー

 

 


今月の満月、 尾根から昇った橙赤の月 (7月)

2024-07-23 | 月、月光彩雲

今月は、月が21日19時17分に満月(望)となりました。月の出は19時17分(群馬)でしたが、当地では20時頃、月が近くの尾根から昇りました。この時刻において、尾根の上空は薄布のカーテンを想わせる雲で覆われていました。結果として、美しい橙赤(だいだいあか)を帯びた月面が周辺のカーテンを赤く染めながら現れました。

 

 

自分の酷使してきた眼でも、月面の模様と赤く染まった雲の両方が良く見えました。ところが、手持ちのカメラにおいて、模様(クレーターなど)がはっきりと写る露出条件では、赤く染まっている雲がほとんど写りませんでした。逆に雲の色をはっきりと撮ろうとすると、月面の色が写りませんでした(白飛びのために)。月面が赤く染まった雲にくらべて著しく明るかったからです。明暗でのダイナミックレンジが「自分の眼の視機能  >> カメラの撮像センサー」であることを実感しながら、月面の色と雲の色の両方が写る条件を探しました。

 

月の光は月面の周辺のみを赤く染めました。雲がないときは、月の輝きで上空全体が明るくなってしまいます。

 

画像は月が尾根からある程度離れたときに撮ったものです。橙赤の月面のみならず、雲での模様が印象的でした

 

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月が昇る直前にて

 

ー 7月21日 ー

比較的強い風が吹いていましたので、蚊に刺されることはありませんでした。

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昨夜もそうでしたが、今夜は上空が厚い雲で覆われています。

 

 


太陽とうろこ雲が織りなす光景、昨日の美しい光環(光冠)

2024-07-19 | 

昨日、この時季においては珍しいほど強い太陽光のもとで青空が広がることがありました。そして、太陽の位置までうろこ雲などの薄い高層雲が流れてきましたとき、太陽の周りに光環(光冠)が現れました。

 

 

太陽の明るさに露出条件をあわせたときの画像です(ISO感度 200、絞り f 値 18、シャッター速度 1/1600 秒)。これまで何度か光環を撮りましたが、昨日の光環は自分にとってチャンピオンデータになるほど美しいものでした。

 

光環が現れるのは太陽光がうろこ雲などを構成している細かい氷の粒によって回折されるからです(回り込むからです)。たとえば、太陽光に含まれている赤系の光(波長の長い光)と青系の光(波長の短い光)との間で回折の程度が異なりますので、これらの光は分離して地上に届くことになります。通常、太陽からの光は分離されないで届きます(白色光として)。

また、太陽光を回折する粒のサイズ、形、そして並ぶ方向が整っているほど、美しい虹色の光環が現れます。その典型的な例はスギ花粉による光環です。当然のことながら、氷粒のサイズと形は花粉においてほど整っていません。

それでも、昨日は長く記録メディアに残しておきたい光環が現れました。いわば奇跡的に、氷粒のサイズなどが整っていたのでしょう。

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ところで、うろこ雲が太陽の位置から移動するにつれて、光環の形は大きく変化しました。雲が浮かんでいない部分において、太陽光は回折されないからです。

 

この後、上空はやや厚めの低層雲で覆われました。そして、上の画像のような光環は現れませんでした。

撮影・現像条件は最初の画像の場合とほぼ同じに設定しています

 

関東地方も梅雨明けになったとのことですが、今日は青空が見えない天気になりました。夕刻に雲間から日差しが届きましたが、光環は現れませんでした。

撮影・現像条件は最初の画像の場合とほぼ同じに設定しています

 

太陽による光環は撮ることによってのみ確認できる美しい自然現象です(直視では視覚機能に重大な障害を招く恐れがあります)。これからも太陽とうろこ雲などが織りなす光景を機会あるごとに追いたいと思っています。

 

ー 7月18、19日、桐生市にて ー

 


ネジバナの花で吸蜜するミツバチ、そして受粉後

2024-07-12 | 
今日は雨模様にて気温は高くありませんが、今週は日差しがないのにかかわらず蒸し暑い天気が続いています。さて、育てているネジバナでは、開花と受粉が終わり、花茎にタネを放出した果実の残骸(裂開果実)のみが残っています。
 
花が盛りのときは、アリやアブのみならずミツバチ、そしてチョウなどが小さな花の列を訪れました。アップした画像はミツバチやシジミチョウが訪れたときにマクロレンズで撮ったものです(忙しく動く訪花者に振り回されましたが)。
 
 
 
個々の花とミツバチ、両者の大きさが不釣合であることにおいてユーモラスです。それにしても、ハチは花びらをしっかりと掴んで吸蜜しています。そして、後ろ肢には花粉が付着しています。
 
 
ミツバチ(体重、約100 mg)は花蜜(20〜40 mg)のみならず15〜50 mg の花粉を着けて巣に戻ると言われています(日本養蜂協会 HP)。
 
他家受粉を成功させるために、花から花ヘと飛び回るミツバチはネジバナにとって格好の訪花者です。ネジバナは、花粉運び屋(花粉媒介者、ポリネーター)を巧みに誘うことにおいて、他のラン類に劣らずしたたかです。
 
 
 
 
受粉後、タネをつくっている子房(果実)は次第に膨らみます。そして、膨らむにつれて、花期が終わるまでの捻じれはは小さくなります。花の列での捻れは自家受粉を避ける手段としての役割を担っています。
 
 
 
一つの花に数千から数万個のタネができます(東京学芸大学 HP、学芸の森)。この画像は強い風が吹いてくる前の姿です。放出された小粒のタネが、成熟し開裂した果実の表面と花茎に付着しています。
 
 
 
風を受けた後、表面と花茎についていたタネの大部分は飛び散ってしまいました。
 
 
 
タネは、発芽に必要なタンパク質や他の栄養素を貯える仕組み「胚乳」を持っていません(東京学芸大学 HP )。ネジバナの根元に共生する菌類からそれらを得て、タネは発芽します。この点において、ネジバナは一種の寄生植物です。
 
ネジバナを実生でふやすためには、果実が黄色を帯びた状態で花茎ごと袋に入れて集めたタネを、根元近くに蒔くことが求められます(みんなの趣味の園芸、NHK出版)。余談ながら、なんとなく花茎を切り取ることが嫌で、わたくしはこの方法を実行したことがありません。花茎が枯れて折れるまで、そのままにして置きます。
 
ー 6月下旬〜7月上旬 ー
 
 

日の出前のブルータイムでの彩り(その2)

2024-07-08 | 朝景

 

 

 

日の出前の透明で濃いブルーの彩りに、わたくしは惹かれています。そして、自分達の街を囲む山並みは広大な日本庭園での借景であり、その借景の上に浮かぶ雲は何にも換えがたい自然の造形であると想像しています

この日、墨で描かれたような雲が浮かぶ構図が自分には印象的でした。コロナ禍以来できなかった美術館巡りを再開したいと思いながら、わたくしはブルータイムでの彩りにレンズを向けました。

 

ー 7月2日、桐生市にて ー

 


この数日間での空模様(夕焼け、雷、穴あき雲) (7月)

2024-07-06 | 夕景
今日は午後から小雨が降り梅雨時らしい空模様になっているが、今週では日差しの強い日々が続いた。結果として、一作日(4日)、全国版TVニュースに自分達の街の名が登場した。市内のアメダス測候所が 37.2℃ との最高気温を記録したからだ。
 
ところで、この時季ならではの自然からのプレゼントとして、梅雨の晴れ間に現れる空と雲による光景を、わたくしは追っている。
 
「今日19時頃、夕焼け」 
雨雲(下層雲)の隙間で、上・中層雲の夕焼けが見られた。
 

 
 
「一作日(5日)19時頃、夕焼けと稲妻」
周囲が暗くなり始めると、異様な状態の夕焼けが山並みの上を明るくした。
 
 
暗い雲は積乱雲であるように見えなかったが、突然にも稲妻がその雲から山並みに向かって走った。
 
 
 

 
稲妻の持続時間は 1/10000 秒程度であると言われている。アップした画像はファインダーを覗いているときに稲妻が走ったので、条件反射的にシャッターボタンを押した結果である(シャッター速度優先、露出 1/400 秒)。稲妻は 1 秒ほど持続したような気がする。今更ながらに、山での雷は極めて危険であることを再認識した。急いで自宅に避難したが、直後に自宅周囲は直撃雷来襲の状態になった。
 
「4日19時頃、夕焼け」
日没時刻を過ぎてから、積乱雲の夕焼けが現れた。
 
 
 
「3日17時頃、穴あき雲」
雲の中にぽっかりと穴が空いている「穴あき雲」を想わせるタイプの雲が北関東ブルーの空に現れた。
 
 
「穴あき雲」とは薄く広がっている雲(巻積雲(うろこ雲)や高積雲(ひつじ雲))に円形の隙間ができている状態のものである。この雲は、0℃においても凍らない(過冷却)状態の雲を構成している水滴」が何かの衝動で急に凍ることによって生まれるとのこと(ウェザーニュース 2023/12/9)。
 
 
 
「穴あき雲」は珍しい気象現象であるとされているので、透明な青空を囲んでいる周りの雲がさらに発達して完全な穴あき状態になるまでの過程を記録したかったが、僅かの間この場を離れたとき、下層雲が「穴あき雲」を隠してしまった。
 
明日は朝から晴れて、最高気温が 38℃に達するだろうとの予報が出されている (O_O)。
 
 

梅雨の晴れ間に(その2)、 日の出前(ブルーアワー)での彩り(7月)

2024-07-02 | 朝景
今日は午後から梅雨時らしい空模様が続いている。しかし、日の出前のひととき、現在の天気からは想像できないほど濃いブルーを基調する彩りが上空に広がった。
 
4時頃から晴れるとの予報を信じて、わたくしはまだ暗い時間帯に散策路での展望所に向かった。昨夜からの雲が残っていて、地平線の彼方から届く赤い太陽光に染まることを期待したからだ(日の出(群馬)、4時29分)。ところが、上空には雲が全く浮かんでいなかった。半ば唖然としてつぶやいた。梅雨時でも、これほどまでに透明な空が現れることもあるのかと!
 
3時50分
日の出前、いわゆる「ブルーアワー」の時間帯である。4日後に新月となる月と木星と思われる天体が濃いブルーの空で輝いていた。なお、朝日はこの山頂付近から昇る。
 
 
 
三日月型の月は地球照(地球からの反射)を伴っていた。画像では、月面に露出を合わせているので地球照が写っていない(正午月齢 25.6、月の出 0:56)。
 
 
4時頃
朝焼けがはじまった。北東から北方向の山並みの上が濃い赤橙色に染まった。あまり高くない位置で進行しているように見えるが、朝焼けは奥の深い山並み上空での出来事である。より高い山上で眺めたくなったが、今回はこれ以上の移動を止めて、シャッターボタンを押した。
無限を想わせる濃いブルー、そして視覚に深く訴える濃い赤橙色。これらは自分にとってきわめて印象的であった。
 
 

 
 
4時20分
突然、山頂付近に薄い雲が発生して朝焼け色を帯びた。雲は風が吹きはじめて気温が下がったことによるものである。昨夜の願いが通じたのであろうか。
 
 
4時21分」 月が入るアングルで
 
 
 
4時25分
薄く広がる雲とそれに囲まれた月(他の展望所にて)
 
 
 
この後は、周囲が明るくなったので、撮影を止めて帰宅した。
 
 
ー7月2日 、桐生市にて ー