
” 鹹酥雞(シェンスーヂー)、魯味(ルーウェイ)、碳烤(タンガオ)は、
台湾路邉攤小吃( 台湾屋台スナック )の代表選手だ”
とオレは思っていて、
魯味については前に結構沢山書いたんだけど、
鹹酥雞については
2004年09月06日 ” 友愛鹽酥鶏 ”
の時に少し取り上げただけだった。
それで、9年ぶりにブログを更新し、
(ここの所大変なことが有って、流れを変えられれば良いなとも思い)
鹹酥雞の記事を投稿することにした。
みんなも知ってる
(食べログとかRettyでも紹介されている)
桃園空港地下フードコートの
” 熊厚呷(ションホーチャー) ”
を題材にして、 前に撮った写真を使って
(今は新型コロナのせいで何処へも行けないから)
簡単に書いてみる。
鹹酥雞は、塩/鹹酥雞(イェンスーヂー)と言うこともあるが、要は台湾の鶏唐揚げだ。
調味は、主に塩で、ニンニク、香辛料(多分味の素も)なんかが使ってあるので、
日本の唐揚げに比べると甘味が少なく、例えて言うと、
ハンバーガー屋のフライドポテト系統の味がする。
ソルティーで、ドライな口感の、スナックっぽい食い物だ。
ご飯のおかずにはなりにくいが、ビールのアテにはぴったりだぞ。
衣は、地瓜粉(ティークワフン)という、サツマイモ粉や米粉を混ぜたもので出来ていて、
スゴいサクサクしているし、しっかりと鶏肉にくっついてズル剥けたりしないからイイ。
これがKFCの衣みたいに小麦粉主体のものだと、グルテンが多いから
揚げた時に硬くなったり肉から剥がれちゃったりするわけだ。
本当の台湾の街なかの小さな路邉攤(ルーベンタン、屋台)だと、
この鶏唐揚げ一品だけを売ってるとか、
あとは鶏排(ヂーパイ、大きなムネ肉の唐揚げ)しか無い、とかで商売している店が多い。

でも熊厚呷は、大手の新東陽社が、飛行場内で経営している立派な店なので、
上のメニュー表みたいに、魚、肉、野菜等、色々な食材をフルラインアップで扱っている。
全部、客が注文してから揚げ始めるので、ちょっとは待つけれど
いつ行っても、揚げたてでアチアチサクサクのヤツが食べられる。
メニューには “份(フン)“ ていう単位毎に値段が書いてあるんだけど、これは
鶏排みたいな大きいものは、1份 が1個で、
その他のものは、1份 は大体、一人が数口であっさり食えるぐらいの量、
と思っとけば間違いが無い。
空港内の店なのに、街なかとあまり変わらない、良心的な値段設定だ。

食材は、大体2グループに分けられていて、上の写真は、
衣がついていて、あらかじめ下揚げが済んでいる物のグループだ。
各々に名前の札がついて無いので、判りにくいかもしれないが、ここには
鹽酥雞(エンスーヂー) = 鶏唐揚げ
鶏排(ヂーパイ) = 鶏胸肉の大きな唐揚げ
鱿鱼(ヨウユイ) = イカ切り身
花郷菜(ホアシャンツァイ) = カリフラワー
蘿蔔糕(ルオポーガオ) = ダイコン餅
黄金薯條(ホァンジンスーティアオ) = サツマイモスティック
が並んでいる。

一方上の写真は、衣が無くて素揚げにする食材のグループだ。
各々に名前の札がついてるし、上のメニュー表には英語訳も書いてあるから、
こっちは誰でも、どれが何か判るんじゃないかな。
でも、少しだけ説明すると
米血糕(ミーシェガオ)は、豚の血を混ぜてもち米を固めた物だ。
(今は豚の血は使ってないのが多いけど)
食ってみれば、別に何の臭みもクセも無い、ただのもち米のかたまりだね。
百頁豆腐(パイイエトウフ)は、正しいヤツは、湯葉を重ねて(百頁も)
圧縮した豆腐だ。 普通の豆腐より味が濃くて、オレのおすすめの食材だ。
花枝丸(ホアツーワン)はイカのすり身の団子のこと。
だが、衣付き食材の方にあった “鱿鱼(ヨウユイ)“ と、 この ”花枝(ホアツー)“ では、
イカの種類が違う。
一般的な台湾の食堂とか屋台では、割と大きくて色がついてるのを
” 鱿鱼“ と言い、
小さめで白いのを
”花枝“
と呼んでいる様な気がするが、ちゃんと “台湾魚類図鑑” を見ると、
鱿鱼(ヨウユイ) = アカイカ/ケンサキイカ
透抽(トウルー) = ヤリイカ
花枝(ホアツー) = コウイカ
軟絲(ランスー) = アオリイカ
小巻(シャオジェン) = 小型のヤリイカ
みたいに見える。
日本で一番多いスルメイカ/真イカは、ぴったりのが図鑑に無いみたいだ。
あと、メニュー表で 鱿鱼 の前に 深海 って書いてあるけど、
これは台湾では、日本語で言う 海の深い所 のことじゃ無い。
沿岸の汚染された海じゃなくて、沖の方のきれいな海 ー 程度の意味だ。

適当に色々注文してお金を払うと、かわいいクマの絵が書いてあるブザーをくれる。
これが ブブー と鳴ったら出来上がりなんで、揚げたてをとりに行くんだ。
店の人は、揚げた食材を、鶏排以外は何でもかんでも一緒に紙袋に入れ、
九層塔(ジョウツェンタオ、台湾のバジル)の葉っぱを加えて、
香辛料混じりの塩を サササ とかけてから品物を渡してくれる。
箸の代わりに、串を2〜3本つけてくれるのが普通だ。
辛いのが苦手な人は、こうなる前に
「小辣(シャオラー)」 とか 「不要辣(プーヤオラー)」 とか
言っておいた方が良いぞ。

オレはこの日、
鹹酥雞、鱿鱼、百頁豆腐、四季豆 を食った。
上に乗っかってる緑のモノが、熱でクタッとした九層塔。
そこそこクセが有るにおいだが、
やっぱり、鹹酥雞には九層塔がないとね。
最後になるが、
この店については、スゴく沢山ネットで書かれているけれど、
店名のことは、今日までのところ、まだ誰も触れていないので、
そこをちょっと書いておく。
熊厚呷(ションホーチャー)
という、この店の名前は、
当然我々日本人には、意味が判らないんだけれど
実は、同じ中国語を使ってる大陸中国の人だって、
多分、どういう名前なんだか理解出来ないだろう。
( 台湾人にしか判らないわけだ )
「 ションホーチャー 」 と口で発音すれば、
それは 台湾語 では、
「 一番美味しい 」 の意味だ。
ちゃんと漢字で書けば 「 尚好吃 (サンハオツー) 」 なんだが、
台湾語の発音に、音だけ合わせて中国語の漢字を当てはめると、
漢字そのものは全然意味をなさないんだけれど、とりあえず
「 熊厚呷 (この店の名前) 」 と書くことができる。
そんなことで、台湾の人だけは、この店の名前を見て
「 一番美味しい の語呂合わせだね 」
と判るけれど、外国人は
「 熊と関係がある店なのかな 」
なんて勘違いをしちゃう訳なのさ。
本当にすごい久しぶりに、こういう記事を書いたんだけど、
どうにかまとまって良かったよ。
では。
たまたま覗いたら新規更新が有って驚愕('ー') フフ
あれから何処にいらっしゃいましたか?
私はと言えば、中国3地点でトータル5年ほど仕事したあと、台南のローカル企業で働いてましたが、新型コロナ大流行の少し前に帰国しました。
大歓喜が移転したようだし、首相飯店前のお店はなくなってるみたいだし…
歳と共に薄れていく記憶の中でいろいろと知っている話で楽しみました。
みんな元気かな?
僕は2011年から、九州→東京で勤務して、2013年から5年弱インドのど田舎で受変電所とかボイラーを建設してました。ここ3年位は福島県のエンジ会社にいます。コロナが収束したら又台湾にも行こうかと思ってます。
お元気で。ではでは。
僕らが台南にいた頃は奇美の液晶工場やUMCの半導体工場の建設がメインの仕事でした。あの時から奇美はイノルックスに買収され、シャープは鴻海傘下になり、日本ではもう液晶事業が成立し難くなってきています。びっくりするほどの変化でホントびっくりしています。
ではでは。