( 今回の内容は台南とは、全く関係ない私的なものだ )
昨晩、
四つ年上の従兄弟が、健康上の理由から突然他界した。
最近は、あまり会う機会がなかったが、
子供の頃から行き来のあった親戚で、
日本では同じ横浜市内に住んでいた。
結婚というものをしないまま、壮年になっていたが、
高度の教育を受け、社会的にも相当な高い位置にいて、
なにより、とても人当たりのよい温厚な人物だった。
( 子供には、特に良く好かれた )
今年の正月には、
やはり横浜市内に住んでいる姉の家に、
亡くなった従兄弟や、オレの家族が集まって食事をしたが、
その時は、特に変わった所は無かったそうで、
オレにとっても、
びっくりするような突然の死だった。
死因は、食道の静脈瘤破裂によるもので、
普段からよく酒を飲んでいたし、
仕事もかなりハードだったようで
肝臓が弱って、静脈瘤ができやすくなっていたらしい。
先週の金曜日までは普通に会社勤めをしていたが、
日曜の朝に、友人と約束していたゴルフに来なかった。
不審に思ったその友人が家まで行って、
意識がないまま倒れていた従兄弟を、発見してくれたそうだ。
オレもそうだが、
単身赴任だったり、独身だったりして一人で暮らしている男は、
ストレスや、過労や、酒のせいで体の異変をおこしても、
それがたまたま休日だと、
自分が倒れたあと 人に気づいてもらうまでに、
かなりの時間がかかってしまう。
以前会って食事をした時、
従兄弟がオレに、会社での話をしたことがある。
夜泣きをする赤ん坊のせいで、
若い奥さんが、夜中にヒステリーを起こしてしまい、
会社に遅刻してきた部下の話だ。
そして従兄弟は、
「 すごく深刻に、遅刻の理由を説明するんだが、
その話はボクには、ピンと来ない分野なんだよなー、
ハハハハハ。 」
と、長身の体を少し曲げながら快活に笑った。
そのときオレは、
この従兄弟が、
家庭をもった者の、思いがけない苦しい一面も
そういう苦しさが想像できないという、
自分の少し淋しい一人暮らしも、
どちらも、ただの軽い話題として扱えるような、
そんな、こだわりのない境地で暮らしているんだろうな。
と、そう感じたものだ。
小学校の夏休み、田舎の祖母の家で、
自転車に二人乗りして川へ釣りに行ったときのことなど、
他にも、色々沢山の、
生前の従兄弟の様子が、次々と頭に浮かんでくるんだが、
どういった回想も全て、最後には
「 何故、こんな急に。- 」
「 早すぎる。 」
という、同じ思いにだけ行き当たってしまうような
そんな突然の訃報だった。
そして、
遠く離れて、通夜にも葬儀にも参加できないオレは、
前には、ただ自分自身の胃炎の為にやっていた禁酒を、
今度は、
突然逝ってしまった、本当に好人物だった従兄弟への追悼の意味で、
今日また、始めることにした。