こうして、このブログを開いたのは、1年半ぶりになる。暫く開いていなかったので、パスワードを忘れてしまっていた。メモを取りだして、ログインして見ると、2010年5月に書いた断片が残っていた。以下の部分は、その時に書いたものだが、結局、その後慌ただしく、さまざまな出来事が起こる中で手付かずのままになり、時が流れ去ってしまった。
台湾に来て1年目に生まれた長男は今年高校受験の歳になった。試験が迫 . . . 本文を読む
”原典を恣意的に非本来的な対象に関連づけたり、拡大したりする”。こうした読書は、楽しい。私達の生きる時代も、今、”今まで関連のなかった空間や主体に自分の生活空間が関連づけられたり、拡大したりされる”ようになっている。関連や配置のわざと技法であるレトリックが、こうして再び問われる時代になり、関連や配置が変わることで再び戦争が起こる時代を迎えた。
暫く、恣意的な関連づけによって、いろいろな原典を読んで、私と私達の生きる時代を、考えてみたい。 . . . 本文を読む
桜が散り躑躅や皐月の花の季節は過ぎた。台湾は不順な天候の中にも、新緑が濃くなり、夏を迎えようとしている。ここまで書く間にまた2ヵ月近く経ってしまった。時がこうして移ろっていく中で、人の思考は同じところを往復するばかりだが、そうした中にも僅かながら、光が見えてくるときがある。
十年一日
十年一日(中)
筆がなかなか進まないが、最初に書いていた、志賀直哉の話題に話を戻し、一先ず、まとめをつける . . . 本文を読む
年末に書き加えたあと、続きを書けないままに年を越して、旧正月も明けてしまった。もう新学期だ。十年一日─過ぎゆく時を知るには(前)─
季節は移って、既に今年の春の訪れが、不穏な天候の中にも感じられる。台湾の春を告げる花は、”避寒桜”だ。梅も同じ頃に咲くが、台北周辺では”避寒桜”の開花のほうが目立つ気がする。緋色の山桜のような八重の大ぶりな花を、鉛色にたれ込めた雲から降る冬の雨の中でも、決まった . . . 本文を読む
今年の台湾は気候の変動が激しかった。春先から初夏にかけては大雨が続いた。例年、台湾の梅雨は、しとしとした小雨が続くことが多い。春霞のおだやかな曇り空に湿った温かい雨粒が大地を潤した。台風が来なければ、日本のような梅雨明けの集中豪雨はそれほどなかった。しかし、今年の梅雨は、台風の雨量以上に大粒の激しい雨が降った。わずか二三日で3000ミリという記録的な大雨になった地域もある。洪水もひどいところは二 . . . 本文を読む
「子供も食べたいと言っているから」と家内が言うので、月に一度、義母の薬をもらいに行っている天母の病院からの帰り道、高島屋の駐車場に車を置き、通りの向かいにある話題の店に行ってみた。
奧の二列は椅子に腰掛け、前の歩道には四列ほどの行列ができていた。私達も後についた。列を作っている年齢もさまざまな人々は、雑談したり、新聞を広げたりして、順番を待っている。2時頃だったが、勤め鞄を抱えた男性が携帯電話 . . . 本文を読む
ある作家の全集を通して読んでいくと、繰り返し似たような内容に出会うことがある。志賀直哉を対象にしばらく作品全部を繰り返して読む機会があったので、志賀直哉の場合を取り上げる。幾つか繰り返し出る話題があるが、目立つのは、霊性への関心、あるいは超感覚へのこだわりとも言うべき話題だ。この「超感覚」と組みになってよく現れるのが、「夢」である。
『夢』という作品では、何十年も合っていない友人が突然、夢に現 . . . 本文を読む
以下の内容は、まったく個人的な感想、暫定的分析に過ぎない。きちんとした調査、研究の結果として、報告するものではないので、こんな捉え方もできるだろうというアイディアの提供だけである。また、特定の作家、個人などを誹謗中傷したり、あるいは、顕揚したりする意図はない。「ことば」の問題として、社会の話題になっている現象を取りだして見ようとしたものにすぎない。
ベストセラーにはベストセラーになる何らかの . . . 本文を読む
昨年のことだったが、日本にいる両親から電話でこんな依頼があった。「家に置いてあるコンピューターだけど、今度、大型ゴミが有料化されるから、今の内に処分してもいいか」一瞬考えたが、「もう今の時代では使えない物ばかりだから、適当に片づけて」と答えた。
10年前は新型だったPCも、今では、もう無用の長物だった。
台湾に引っ越すとき持って来られずに家に置いてきたPCは二台あった。
一台は、94年頃発 . . . 本文を読む
燕は突然やってきた。ある夕方(2005年3月19日)、溝川脇の駐車場の道を歩いていると、素早く動く黒い影が辺りを飛び回っていた。寒気で葉を落としてしまった鳳凰樹の並木が右手にのびている。蝙蝠かと思ったが、舞い上がったかと思うと、素早く旋回して、また川の上に戻ってくる。飛び方を見ていると、燕だと分かった。百羽は超えていただろうか。溝川に集まっている羽蟲を狙っているのか、鳴き声も立てず、ひたすらに円 . . . 本文を読む