台南・ダイアリー

台湾の台南市で3年、新竹市で2年駐在して、色々な所へ行ったり美味しいものを食べたりしました。

關鬼門 ( 番外編 )

2006年09月23日 | 風習・習慣



     



今日は、農暦の7月29日、
“  關鬼門 ( クァンクェイメン ) ”  といって、
前に “ 農暦中元節 ” で紹介した
農暦7月 ( 鬼 = さまよう霊  の月 )が終わる日だ。
 
今日、現世と死後の世界を 分ける門は閉まり、
この一ヶ月 さまよっていた霊は
死後の世界へ帰って行く。



このBLOGを書き始めて3年以上になるが、
毎年、農暦7月の終わり、
” 關鬼門 ” の日の頃には、
オレは、
オレの周りで起きた奇怪な現象のレポートを、書き続けてきた。





だが、
去年の暮れに新竹市に引っ越してきてからは、
さっぱり、不思議なものを見たりしなくなってしまった。

一方、
同じ時期に新竹にやってきた黒シャツ隊のT君は、
よく酒をのみながら、

「 今度のオレの部屋、色々おかしなことが多いんですよネー・・・ 」

と言う。

そこでオレは今年は、自分の話はあっさり放棄して、
關鬼門の夜に、
黒シャツT君の部屋にその
” おかしなこと ”
というのを検証に行くことにした。

一人で行ってもつまんないから、
飲み友達のモウさんも誘って一緒に行くことにした。



       



人っ子一人いない、夜の工事現場の向かいにある、
壊れた門からアパートの建物に入り、
暗いエレベーターに乗るとT君の部屋に着いた。






一見しただけでは、
どこといって変わったところの無い普通の部屋だ。

だが、
T君によると、この部屋では

(1)写真を撮ると変わったものが写ることがある
(2)誰も触らないのに電話の受話器が勝手に上がっていることがある
(3)風呂などを洗ってもしばらくすると変な模様が浮かんでくる

というようなことが起こる 
- らしい。



       



ちなみに上の写真は、
前にT君から見せられたものだが、
会社の仲間がT君の部屋で酒を飲んだときに、
たまたま撮ってしまった写真で、
暗いT君の部屋の床上30~40cm位のところに
青みがかった光と赤みがかった光が写っている。

これだけ見ると、
窓の外の灯りが写っているように見えるんだけど、
T君によれば

「 オレの部屋7階だし、窓の外にこんな街灯みたいなのないっすヨー。 」

なんだそうだ。
オレとモウさんはT君の部屋について早速、
その窓の方を調べてみた。






・・・・ すると、確かに
窓の外にはそんな光に見えるようなものは何も無かった。

 - って言うか、
T君の部屋のベランダは腰くらいの高さまで
タイル張りのコンクリート壁になっていて、
外の光が写真に写る可能性が無い!


             ・・・ げぇっ!



        


いきなり、
ちょっといや~な気分になったオレ達だったが、
根性を出して

” 勝手に受話器があがる電話 ”

というのを見てみた。
ところがまぁ、こっちの方は
ただの新しくて可愛い電話で、
何も変なことが無かった。

それと、
” 染みが浮かんでくる風呂 ”
というのも、続けて見たんだが、
ホーローの浴槽だったんで、
焼付け塗料に小さな穴が開いていて、
そこから錆びが広がってくるだけのようだった。

そこまで見て、
最初の光の写真が写ったベランダにはすごく驚いたけど、
全体的には

「 な~んだ大したことないね。 」
「 T君大げさだナ。 」

と、みんなで笑ってビールでも飲むことにした。





男3人で、
ビールを飲みながらテレビを見てたんだが、
ろくな番組がなくて、
T君のDVDを見ることにした。


      


しかし、
T君の持っているDVDと言えば、
ホラーかスプラッターばっかりだ。

どーいう性格してるんぢゃ!

しょーがないから、







       



こんなヤツとか、











こ~んなヤツを見ながら、
夜中まで、ビールを飲み続けていた。










いい加減飲み疲れて、
モウさんとオレが

「 帰ろうかな・・・。 」

と言った、 その時 !!


3人は同時に、
大げさなDVDの音に混ざって、
部屋のどこかから、
かすかに聞こえてくる変な音に気がついた。


そして、
それを確認をするため、でかい音のDVDのスイッチを切り、
いっせいに音がする方を向いた



すると ・・・・・・・














       



・・・・・ 誰も触っていないのに
さっき、
確かにしっかりセットされていたはずの
あの電話の受話器が少し浮き上がっている!


そして・・・・
DVDが消えて、
いきなり静かになった、暗い部屋の中には、
電話器のぼんやりした光が浮かびあがり、

” ビ・ビ・ビ・ビ・ビ・ビ・ビ・・・・・・ ”

という、
受話器を上げたままにした時の警告音が
小さいけどはっきりと響きわたっていたんだ。









「 おい! 」
「 ウワーッ。 」
「 なんだこれ! 」

とみんなは叫びだし、

「 ちょっと待ってヨ! 」

と引き止めるT君に対して、オレとモウさんは

「 オレやっぱり帰るわ。 」
「 オレも! 」

と、
友達がいもなく、
大急ぎでT君の部屋を飛び出してきてしまった。









わけもわからず、
オレとモウさんは走って、
一番近くの扉からアパートの外へ飛び出した。

すると、
入ってきた方角とは違う、
T君の部屋の裏手に当たるその場所には、
思いがけず、
大きな病院が建っていた。


それを見て

「 アッ! 」

とモウさんが大きな声を出した。

そしてそれから、
急にすべてを理解したように肩を落とし、
病院の方を気が抜けたように見つめながら、
つぶやいたんだ。


「 さっき来た時は、
  タクシーだったから気がつかなかったけど、
  ここは、
  前に友達が入院してた病院だ。 」


















「 ・・・・ それで
  T君の部屋のちょうど裏手が
  病院の霊安室に下りる階段のある所だよ ・・・・」







                  ・・・













それでは、今回はここらにてご無礼!