僕達の小さくて大きな森(8)

2018-02-11 09:44:58 | 童話
それから、お母さん達は梅の花が咲いているのを楽しんでいるが、僕達は花が咲き終わるのを楽しみにしている。
『温かくなって来て、梅のお花も散ってしまったわね。』
『お母さん、梅の枝を挿し木するから僕に頂戴。』
『約束していたから良いわよ。』
『大事にするね。』

僕は梅の枝を庭に植えて、元気になるんだよと声をかけた。
そして、僕は友達の家に行って梅の枝を庭に植えたことを言った。
『良かったね、これで動物達が引越しをしなくてよくなるね。』
『そうだね。その事を動物達に教えてあげようよ。』
『そうしようか。』

僕達はエンピツを持って庭の梅の枝の所に来た。
『うわっ。』
『うわっ。』
僕達はお花畑を抜けて動物達がいる所にやって来た。
『お~い、動物君達、もう引越しをしなくてよくなったよ。梅の枝を庭に植えてきたからね。』
動物達が拍手をして僕達を喜んでくれた。
『うわっ。』
『うわっ。』
僕達は動物に伝えたので家に戻ってきた。

庭の梅の木が大きくなり、今はエンピツを近付けてもブルブルとなることも無くなった。  しかし、動物達はみんな元気だと思う。
できれば、もう一度ブルブルとなり、『うわっ。』となって動物達に会いに行きたい。
僕達は高校生になり、友達も僕と同じ高等学校に行っている。
そして、挿し木した梅の木も大きく育ち、たくさんの実を付けるようになっていた。
僕達は勉強とクラブ活動で、あの小さくて大きな森の事は忘れてしまっていた。