時間の番人(4)

2017-10-13 21:24:47 | 童話
今度は、学校で試してみた。
公園と同じように、家を出る時に時計を見て、学校から帰った時に時計を見たら15分だった。そして、あと2回、時間を調べたら13分と16分だった。
『やっぱり、3回とも同じような時間だなぁ。よしっ、家の中で探してみよう。』
僕は違う部屋や、1階と2階とでも試してみたけれど、同じ時間だった。

ある日、お母さんが
『3時のオヤツを食べるから手を洗いなさい。』
と言ったので、オヤツは何なのかなあと思った見に行った時に時計を見ると3時5分だった。そして、手を洗ってくると、時計は4時になっていた。
『遅いから先に食べたわよ。』
母さんが言った。
『おかしいなぁ、僕は手を洗ってすぐ来たのに、不思議だなぁ。』
僕は家の中に時間が変化する場所があるのだと思った。
そして、今度は時計のある部屋から手を洗いに行って、また時計のある部屋に戻って来るまで、時計を持って歩いてみた。
すると、手を洗いに行く時と、手を洗って帰って来る時に、部屋の戸の敷居をまたいだ時に、僕が持っている時計が30分ずつ2回進んだ。
『あっ、ここだ。』

僕は試しに敷居の上で立ち止まった。すると、まわりが暗くなったので、僕は少し歩いた。
そうすると、まわりが明るくなって、僕が持っている時計の針が急に回った。
『わぁ、すごい。ここだ、ここだ。』
だけれど、オヤツを食べてから敷居の上に来ても、何の変化が無かった。
『同じ場所でも、時間が変わる時と、変らない時が有るのかなぁ?』

そして、僕が忘れかけていた時に敷居の上にいると、急にまわりが暗くなった。
『あっ、またなった。』
前の時は歩いて行って、1時間進んだ所に出たので、今回は歩かないでじっとしていた。すると、少しずつ明るくなってきた。