ぽろろ、ぽろろ(8)

2016-04-27 21:31:36 | 童話
駅の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』
と声が聞こえてくる。

『だぁれ?』
電車が僕を呼んでいる。
『電車に乗って遠くへ行こうよだって、だめだよ、今日はね、お父さんの自動車で買い物に行くんだ。何を買いに行くのだって、お花を植え替えるので、植木鉢を買いに行くんだよ。大きな植木鉢を買うから電車に乗せられないんだ。また今度、デパートへ行く時に電車君に乗せてもらうね。』

庭の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』
と声が聞こえてくる。

『だぁれ?』
誰が僕を呼んでいるのか判らない。

『だぁれ? あっ、お花に小さなテントウ虫が止まっている。今度はこっちから『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』と聞こえる。

また今度はあっちから聞こえてくる。テントウ虫君が3匹、僕の方に集まって来た。
何をするの? そうか、3匹で背中の模様のファッションショーをやるんだ。
うーん困ったなぁ、3匹は模様が違うけれど、全部きれいだからね。
そうだ、3匹全部が一番だ。』

 たくさんの友達ができて楽しいな、もっとたくさんの友達を作ろうよ。

『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』

小さな声で
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』

もっと小さな声で
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』

大きな声で
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』

             おしまい