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引越しいたします。

朝日のウイグル報道を批判する高井潔司北大教授への疑問

2008-09-29 01:55:52 | ニュース

北海道大学大学院教授で元読売新聞北京支局長で著書には「中国報道の読み方」「現代中国を知るための60章」などがある高井潔司氏という方がいます。
高井氏は中国情報サイト「サーチナ」でマスコミの中国報道を論評するコラム「中国を読み解く視点」を連載しています。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0916&f=column_0916_006.shtml

9月16日の第70回のコラムで高井氏は“媚中報道”を止めた朝日新聞の気になる最近の報道と称して最近の朝日新聞がその特徴であった中国寄りの報道をネット右翼などに媚びているのではないかとの疑念を抱きつつ北京五輪を機に対中論調を変えたのではないだろうかと批判しています。その論拠の1つとしての9月11日付国際面の朝日新聞記事にいちばん驚いたと紹介しています。
その記事ではまず、国際面トップ記事のワシントン発の二週間前の北京でのオリンピックへの抗議活動の内幕をチベット民主活動家を礼賛する片寄った内容であると非難します。
そして返す刀で国際面の右側のページで「中国新疆ウイグル自治区、断食時も『営業せよ』」という記事について批判します。

その記事はウエブ上でも公開されています。
http://www.asahi.com/international/update/0911/TKY200809100310.html

批判では、情報源が書かれていないことが問題としてラマダン時における宗教抑圧が「公然とやるとは思えないから」内部情報に基づいて書かれたものであろうと判定します。そしてその情報の信憑性を高める為にいつどこでどのように得られたのであるかということを書き込む努力をするべきだとします。
そして、このような努力がなされないのは、デスクの力が落ちているか「ネット右翼の批判を受けて必要以上に中国の人権問題、少数民族問題に激しくしなければいけない」という意識が働いているためではないだろうかと判断しています。

朝日当該記事ではたしかにカシュガル近郊の各県政府などのラマダン時においての「宗教抑圧政策」が紹介されていますがそのソースははっきりとしません。
ただ、最終パラグラフで「同自治区民族事務委員会幹部は『新疆は少数民族地区だが、イスラム教徒以外の住民も多い。これらの措置はラマダンの大衆の社会生活への影響を少なくするために考えられた』と説明している。」という一応の裏取りがされています。
高井氏は「中国がそこまで公然とやるとは思えない」と書いています。しかしこのようなラマダン時の抑圧は報道がされなかっただけで新疆通の人からはよく聞く話なのですね。同じ問題を報道したAFP記事では2,3のクチャ周辺の県政府のウエブサイト上でこのような政策の布告がなされたことが報道されました。レコードチャイナでも同様です。

http://blog.goo.ne.jp/kokkok2014/d/20080907
http://www.recordchina.co.jp/group/g23685.html

このように朝日もきちんと情報源をなるべく詳しくするべきだったことは確かでしょう。
しかし新疆ウイグル自治区に関してのこのオリンピック期間前後の朝日の報道はこの記事に限りません。

民族の相克「ウイグルも似た境遇」
http://www2.asahi.com/olympic2008/column/TKY200806030292.html
「成功」五輪、遠い存在 チベット・ウイグル・北京
http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808250180.html
WUC転載:カシュガル旧市街に取り壊し通告 ウイグル族「横暴だ」

http://www.uyghurcongress.org/jp/news.asp?ItemID=1219714601&mid=-2139923529

などです。これらの記事はデスクがきちんとしていたからか、ちゃんと証言者のソースもできる限りだしています。
高井氏はこれらの記事にはいかなる判定をするつもりなのでしょうか。
たった一つの記事を元に高井氏が「デスクはたるんどる。ネット右翼に媚びているのでは」などと断定するのはいかがなものかと思います。

ウイグルのラマダン時抑圧政策の取材が可能だったのは朝日が中国に媚びたからではなく、オリンピック期間中の取材規制がある程度緩んだからだと考えます。それともまさか朝日が突っ込んだ取材をするはずがないと当局が油断したせいか。

当ブログも朝日に関してはネット右翼的に「人民日報築地営業所」などと揶揄してきましたが、それはウェブ上で人民日報記事を元にしたような記事が多かったからです。
朝日は以前の出版部(現在の朝日新聞出版)ではトフティさん事件の報道、船戸与一氏の小説「流沙の塔」の週刊朝日連載などかなり東トルキスタン報道のフロントラインに立ってきました。その辺は評価しています。
そして、今回のウイグル報道には感心しています。高井氏のような穿った見方ではなく中国に後ろめたさをかんじることなく、人権感覚が正常になってきたと肯定的にとらえるべきでしょう。
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