【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第179回臨時国会がきょう召集 参・議運委員長にやり手・鶴保庸介さん 会期末は12月9日

2011年10月20日 17時57分58秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]鶴保庸介・参院決算委員長、2010年12月、参議院インターネット審議中継から

【参議院本会議 2011年10月20日(木)】

 詔書にもとづき、第179回臨時国会が召集されました。衆議院規則および参議院規則第1条では、召集日は午前10時に国会に参集することになっており、参議院では10時から本会議を開きました。衆議院本会議は召集日は衆規則1条に基づき毎召集日、午前10時に設定されますが、実際には午後12時以降に開かれています。

 尾辻秀久・副議長(全国比例)がギャベル(木づち)を叩いて、召集の旨と開会を宣言。おそらく尾辻さんがギャベルを叩いたのは就任後初めてだと思います。

 
[画像]開会から議長席にすわった尾辻秀久さん

 自民党の定例人事に伴う、常任委員長の辞任が報告され、新しい常任委員長を尾辻さんが指名し、新委員長は起立し、議場内にあいさつしました。会派離脱中の尾辻さんも含めて全員が自民党員ですので、あたかも自民党1党独裁時代にかえったかのような本会議でした。

 
[画像]委員長に指名されてあいさつする自民党議員たち

 いったん休憩ののち、衆院本会議での議決を受けて、「会期は12月9日(金)までの51日間」を全会一致で可決しました。国会法12条で会期の衆院優越規定があるため、衆院本会議がさきに議決するわけです。前国会では、会期4日間について自民党が反対討論に立つ異例の展開でしたので、会期の全会一致はよかったです。

 このうち、参院・議院運営委員長にはやり手の当選3回生、鶴保庸介(つるほ・ようすけ)さん(和歌山選挙区、2010年3選)が起用されました。

 逆転の夏(2007年7月)で江田五月さんが民主党から初めて議長になり、議運委員長に西岡武夫さんが就きましたが、予算委員長は自民党から出ていました。衆院での政権交代(2009年8月)により、議運と予算をトレードし、予算委員長に簗瀬進さん、前田武志さん、石井一さんら民主党議員が就く一方、議運委員長は自民党から鈴木政二さんが就き、2年間務めてきました。

 鶴保さんは東大法学部卒で、二階俊博衆院議員の秘書をしていましたが、東大同級生の同僚秘書がさきに衆院議員になってしまい、悔しさを込めて参院議員になりました。衆院議員になった同級生は、内閣府副大臣を務めましたが、前回の衆院選で落選後、政界引退を表明しています。

 鶴保さんは1年前、2010年10月18日の就任後最初の決算委員会(TV入り総括質疑)で次のように発言しており、発信力が落ちていた野党の自民党が大いに先制パンチを浴びせました。この後、仙谷由人官房長官は問責され、内閣を外れることになりました。そのコワモテの一方で、ことし3月11日の午後2時46分は決算委員会中でしたが、すぐに休憩を宣言し、菅直人総理や枝野幸男官房長官に官邸に戻ってもらい、理事懇談会などで散会する柔軟な処理をしました。

 ◇

第176臨時国会 平成22年10月18日

○委員長(鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る一日の本会議におきまして、本委員会の委員長に選任されました鶴保庸介でございます。

(略)

○委員長(鶴保庸介君) 平成二十年度決算外二件を議題とし、本日は締めくくり総括質疑を行います。
 まず、私が決算委員長として若干の質疑をいたしますが、その前に、一言申し上げたいと思います。
 去る十四日、本院予算委員会において、内閣官房長官仙谷由人君は、新聞記事を確認する質問なんというのは私、聞いたことがないですよ等と答弁をされましたが、これは事実に反し、仙谷長官自身、過去累次にわたって報道の真偽を問う質疑を行ったとの指摘がなされております。
 また、十五日の予算委員会においても、委員会で決定された政府参考人の出席に関して、仙谷長官は、こういう場に呼び出す、こういうやり方は甚だ彼の将来を傷つけると思いますと述べましたが、これは委員会運営、ひいては国会を冒涜する答弁であり、かつ、当該政府参考人に圧力を加える発言ではないかとの指摘もあります。
 これらの件については、予算委員会理事会においても協議されることとなっておりますが、当決算委員会においても、閣僚、とりわけ仙谷長官が委員会運営のルールに従っていただくことを旨として、国務大臣としての品位を汚すことなく、真摯かつ適切な答弁に努めることを強く望みたいと思います。
 それでは、質疑に移りたいと思いますが、その前に、冒頭一言申し上げたいと思います。
 私は、今国会から決算委員長の重責を担うことになりました。平成二十年度決算審査の最終盤からかかわることになった次第ですが、参議院は、決算の参議院として決算審査を充実するため、これまで与野党の壁を乗り越えて、長年の努力により、平成十三年度決算以降、通常国会の会期中に審査を終了し、次の年度の予算編成に反映するという仕組みをつくり上げてまいりました。
 しかし、今般、平成二十年度決算も現在もなお審査を終了できずにいることは、参議院の決算委員長として誠に遺憾であります。平成二十年度決算等の審査を早期に終了することはもちろんのことですが、次年度以降の決算等について早期審査が実現するよう政府・与党の責任者である菅総理には格段の協力をお願いをいたしたいと思います。
 それでは、質疑に移らせていただきたいと思いますが、まず、これは通告外のことで大変恐縮でありますが、週末、中国で相次いで反日デモが起きました。日系の店の幾つかには具体的な被害が出ているようにも見えます。当委員会においても対中ODAの是非について何度も議論がなされてきた経緯もございますので、その過程で北京オリンピックまでに対中ODAの新規供与をやめるというような政府答弁がなされておるようにも見受けられました。
 菅総理におかれましては、こうした方針の下ODA政策を進めていかれるおつもりか、現下の日中関係を総覧して所感をお述べをいただきたいと思います。

 ◇

 このようにテレビ入りで、「仙谷批判」、「決算審査の遅れに対して菅総理に苦言」を発言した上で、質問の冒頭が「通告外で恐縮ですが」と3連発でパンチを浴びせました。かなり能力が高いといえます。

 また、参院自民党は脇雅史・国対委員長が続投しますので、鶴保・脇は強硬コンビで、衆院側を解散を横にらみしながらイッパツ仕掛けてくる場面もこれから例年の通常国会にかけて出てくるかもしれません。

 一方、本会議では、参院憲法審査会のメンバーが会派の届け出通りに机上配布されました。ただし、社民党(社会民主党・護憲連合、4議席)は名簿を提出せず、後日指名することになりました。鶴保・議運委員長や、社民党、輿石民主党がアクセルをふかしすぎると、日本国憲法第42条「国会は、衆議院および参議院の両院でこれを構成する」から「参議院」の文字を削除する憲法改正案を支持する国民輿論が高まることになりそうです。



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