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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

2015年日米ガイドライン国内実施のための安保2法案、衆議院特別委員会で可決、今週本会議で可決へ

2015年07月15日 12時25分31秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年7月15日(水)衆議院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 5月15日に提出された、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」(189閣法72号)

 「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」 (189閣法73号)

 が採決され、自公の賛成多数で可決しました。あすないしあさっての衆議院本会議でも可決し、参議院に送られる見通し。

  しめくくり総括質疑では、民維共3党が質疑。

 この後、討論。維新の党の柿沢幹事長は「岸内閣が退陣した日だから、7月15日に採決するのではないか」と指摘しました。


●きょう委員会可決した法律(案)の経緯

 これは、4月27日に、ニューヨークで開いた日米合同委員会で、中谷防衛相、岸田外相、アシュ・カーター国防長官、ケリー国務長官の4名が署名し、ただちに発効した

 「2015年日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドライン」を国内法に落とし込む法案です。

 1960年日米安全保障条約は、ソビエト連邦の脅威の前に、日本領土領海領空を越えて、1978年ガイドラインで変質。

 1978年ガイドラインで、いわゆる「極東事態条項」として、「日本以外の極東における事態で、日本の安全に重要な影響を与える場合に、日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方」を定め、日本自衛隊が日本以外でも活動する余地が生まれました。

 1997年ガイドラインでは、「極東」の文字が完全に消えました。これはソビエト連邦が崩壊したものの、北朝鮮が核実験をしたことに呼応した改定のため、「周辺事態」という言葉が登場し、「周辺事態は日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である」とし「周辺事態における協力の対象となる機能および分野ならびに協力項目例」が具体的に定められました。この中には「後方地域支援としての自衛隊施設や米軍施設内で、日本自衛隊は、米軍に対して、物資(武器、弾薬を除く)および燃料、油脂、潤滑油を提供する」ことになりました。

 1997年ガイドラインは、1999年周辺事態法として、国内法に落とし込まれました。

 そして、航空自衛隊がバグダッド空港から米軍兵士を輸送したり、インド洋で海上自衛隊が補給艦「ときわ」から米軍補給艦「ペコス」に補給活動をしました。

 そして、2015年ガイドラインは、中国の軍事力台頭を念頭にし再改定。「周辺事態」を削除し、「平時から緊急事態までのいかなる状況においても、日本、アジア太平洋地域、これを越えた地域が安定し、平和で反映したものとなるよう」「切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対処」「日米同盟のグローバルな性質」を書き込みました。

 この国内法への落とし込みがきょう委員会で可決した法案です。自衛隊法の改正条文として「内閣総理大臣が自衛隊の全部または一部の出動を命じることができる事態として、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」が挿入されました。この「幸福追求の権利」は日本国憲法第13条に書き込まれ「包括的基本権」として、「憲法でもっとも大事な条文」(民主党の小西洋之参議院議員)です。政府は1972年統一見解で、「日本国は幸福追求の権利により集団的自衛権を持つが、行使しない」としてきました。

 これに「歯止め3原則」をかけるために、幸福追求の権利のためなら、米軍の武力攻撃に際して、平素から有事まで、日本周辺のみならず地球の裏側まで、首相が自衛隊に防衛出動を命令することができるようにしたのが、今回の法律案です。 


 委員会は、維新の党が提出した「政府案から存立危機事態を削除する、独自案」(189衆法25号、189衆法26号)と、民主党・維新の党が共同提出した「政府案にない、尖閣諸島などでのグレーゾーン事態で海上自衛隊、海上保安庁、警察が情報共有して協力する、領域警備法案」(189衆法27号)も採決。起立少数で否決しました。浜田委員長が本会議に報告し、本会議でも否決され、衆議院段階で廃案となり、参議院には送付されない運び。

 第189回通常国会は、95日間延長し、245日のロングラン国会となっており、9月27日(日)までの会期内に参議院でも可決し、成立する見通し。公布の日から起算して6か月以内に施行するため、今年度中に施行する見通し。 

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 流会しました。

【同日 公布法律】

 「改正特区法」(189閣法65号、平成27年7月15日法律56号)が公布されました。

 「改正官公需法」(189閣法40号、平成27年7月15日法律57号)が公布されました。3か月以内の政令で定める日に施行。

 このエントリー記事は以上です。 


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