goo blog サービス終了のお知らせ 

宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

【法案】2022年提出のはこび「旅館業法改正案」5条改正ヒアリングは感染症等団体「反発」業界「段階的でも改正を」民泊新法・特区法はてつかずか

2021年11月16日 17時00分24秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
 「旅館業法改正案」の来年令和4年通常国会への提出に向けてヒアリングが続いています。

 「平成29年改正旅館業法」は施行後3年見直し規定があります。平成29年改正は「民泊新法」とあわせて議論され、その後、地方公共団体「大田区」の提案で、特区法による「特区民泊」もできました。コロナ禍のため、旅館業法の改正だけになりそう。

 争点は「第5条」。

第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。

 に絞られました。

 このうち「伝染性の疾病」という表現は平成11年に人間に対しては廃止され、家畜伝染病法しか使っていませんので、改正される公算が高いとみられます。

 そして、「明らかにかかっている」ではなく「コロナ禍で微熱がある客」も拒めるように、法文を変えようというのが最大の議題となっています。

 厚生労働大臣官房に置かれた「旅館業法の見直しに係る検討会」(玉井和博座長)の第2回会合で、日本旅館協会が改正を要望。「アメリカにはサービスを拒む権利の看板が店頭に表示され、労働者を守るための営業者の権利がある」とヒアリングにこたえました。ただし、協会は改正を要望しつつ「発展的な改正」にも言及し、例えば「他の利用者及び従業員の公衆衛生上の安全を妨げる虞があるとき」という法文を、本則や、政省令に代替案も示しました。

 しかし、第3回会合以降は改正への懸念が相次ぎます。「全国B型肝炎訴訟原告団」を含む関係各団体は「ウイルス性肝炎に限らず偏見、差別が繰り返されてきた負の歴史を踏まえて、5条本文を維持してください」と要望しました。

 他にも、「ハンセン病」「HIV」の感染症患者・差別被害者団体のみならず、「身体障害者」「視覚障害者」「補助犬」の各団体から意見書が出されています。

 このため「検討会」のヒアリングは2巡目に入っています。

 一方、第6条で、宿帳の作成に「職業」があり、詐称を見抜けなかったことへの罰則があることについては、「職業」を削除する方向性が確認されたようです。

 前回の改正法は初めて、国土交通省の「民泊新法」、内閣府の「改正特区法による特区民泊」とのセット議論となり、事務局が第1回会合でレクチャーしましたが、コロナ禍でのインバウンド激減や、保健所・県警からの報告半減も踏まえて、今回の改正作業では手つかずとなりそうです。

 但し、改正案そのものの提出が見送られる公算があります。

 岸田内閣最初の第208回通常国会は、会期末に2022年6月公示・7月投開票の第26回参院選になだれ込みます。「雇用保険法改正案」として労働保険料率を戻す(引き上げる)法案が政治日程として優先されるため、旅館業法改正案の提出そのものが見送られることも考えられます。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第206回特別国会が閉会 ... | トップ | 立憲民主党の党員が10万人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。