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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

一抹の淋しさを禁じ得ない小沢一郎先生の失脚&【追記あり】小沢先生、最後の国会演説

2011年01月31日 16時01分15秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
 1992年、自民党経世会から、改革フォーラム21(羽田孜代表)をつくり、1993年の通常国会終わりの「宮澤解散」で自民党を離党し、新生党を結党。第40回総選挙後に、細川護煕内閣(7党1会派)を樹立し、政治改革関連法案(小選挙区)が参院社会党の造反で否決された後、細川護煕首相と河野洋平自民党総裁の党首会談をセットした、小沢一郎先生が2011年1月31日、東京地裁が指名した指定弁護人から強制起訴されました。これにより、小沢先生は事実上失脚しました。私も元新生党学生部で政権交代ある二大政党政治の夢を追いかけた青春の思い出を持つ者として一抹の淋しさを禁じ得ません。


左から石川知裕さん(現衆院議員)、一人置いて、小沢一郎先生(当時新生党代表幹事)、筆者(宮崎信行)=石川知裕衆院議員のホームページから

 羽田孜さんが今期かぎりの引退を表明していますから、新生党の党首と代表幹事が同時に表舞台から去ることになってしまいました。「自立と共生」の「自立」の言葉の重みを感じます。

 もちろん、引き続き、恒三さん(渡部恒三さん)、参院に回ったピンさん(石井一さん)、前田武志さん、そして、当時1年生だった俊美さん(北澤俊美さん)は党派を超えて評価を集める名大臣に。私もまさかと思うけど、名大臣に。そして、最年少だった岡田克也さんも白髪交じりの57歳となりました。

 結党メンバーで、裏切って自民党に帰った人は、全員落選・引退しました。後から来て、自民党に帰った人は、今の同党の幹部の半分近くを占めています。大変な実力集団だったと感じます。光陰矢の如し、新進党を解党していなかったら、もっと早く政権交代が実現し、日本はここまでひどくなっていなかったと思います。

 離党勧告などと厳しいことを言う人がいますが、私はナントカ小沢先生を「党員資格停止」という穏便な処分にとどめていただけないかと思います。

 ありがとう、さようなら、小沢先生。「何一つやましいことはない」と主張する小沢先生。完全無罪が確定するまで、5年でも、10年でも、100年でもみっちりと時間をかけて法廷闘争に専念していただきたいと思います。

 日本医科大学附属病院の3つしかない特別室から見下ろす、根津神社の庭園を見るのが大好きな小沢先生。あと3ヶ月でツツジも咲くでしょう。一つの時代が終わりました。

陸山会土地取引を巡り、小沢氏を指定弁護士が強制起訴(朝日新聞) - goo ニュース

 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、検察審査会の「起訴議決」を受けて検察官役に指定された弁護士は31日、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で小沢氏を東京地裁に起訴した。市民の判断によって政治家が起訴されたのは初めて。小沢氏は起訴内容を否認して徹底的に争う方針だ。

 起訴状によると、陸山会は2004年10月、小沢氏からの借入金4億円で東京都内の土地を約3億5千万円で購入した。しかし、小沢氏は衆院議員・石川知裕被告(37)ら元秘書3人=同法違反罪で起訴=と共謀し、自身が貸し付けた4億円を、陸山会の04年分の政治資金収支報告書に収入(借入金)として記載しなかった。さらに土地代金は05年1月に支払ったと偽り、04年分ではなく05年分の収支報告書に約3億5千万円の支出と資産を記載した――とされる。

【追記 2011-1-31 20:00】

 私は前々から運命的なことが多く、そのことを何とも思いません。むしろもっと鈍感になりたいと思うこともあります。小沢一郎さんの最後の衆院本会議での演説を、実際に一般傍聴席から聞いており、その傍聴記を次のようにエントリーにまとめ、しめくくりました。

当ブログ内エントリーから引用はじめ]

 僕は1936年5月7日の衆議院本会議での
斎藤隆夫の粛軍演説と並ぶ歴史的な演説に立ち会えたのではないかという充足感を携えながら、窓から見える国会広場の噴水を眺め、3階傍聴席から傍聴受付へと降りる大理石の階段を踏みしめるように降りました。

 僕は日本は必ず甦れると思います。

当ブログ内エントリーから引用おわり]

 斎藤隆夫先生の粛軍演説は議事録削除、斎藤先生は衆議院除名となります。政治とはかくも儚い(はかない)ものです小沢一郎さんも歴史の激動期に表舞台から去っていきます。その最後の、本会議演説を目撃したことになります。20分間の短いスッキリとした内容の名演説でした。これは憲政史に残る演説で、与党党首である麻生首相が所信表明演説で、野党第1党(政権準備党)に質問を浴びせかけるという異例の事態となり、野党第1党党首である小沢先生はネクスト総理(シャドウ総理)として“所信表明”をしたんです。私たちは2009年夏から、これから数百年間、この国が続く限り、政権交代可能な二大政党(プラスα)による議院内閣制デモクラシーで、国の方向性を決めていきます。日本だけでなく、アジア各国にもそのシステムを輸出していくことになります。この日から11ヶ月後に、日本は初めて選挙によって政権政党を変えることに成功します。日本人はもっと自信を持っていい。そういう、憲政史に限らず、アジア・アフリカ諸国にも伝播していくであろう歴史の一シーンだということになります。

 ここに小沢先生の最後の国会演説の全文をご紹介し、小沢先生へのはなむけとします。

第170臨時国会の衆議院議事録から引用]

平成二十年十月一日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成二十年十月一日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員尾身幸次君、伊吹文明君、二階俊博君、額賀福志郎君、町村信孝君、大島理森君、甘利明君及び中川昭一君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議

○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

(略)

○議長(河野洋平君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。小沢一郎君。
    〔小沢一郎君登壇〕

 

○小沢一郎君 麻生総理大臣の所信表明に対し、民主党・無所属クラブを代表して、私の所信を申し上げながら、総理の御見解をお伺いいたします。(拍手)
 まず最初に、総理大臣というもののあり方についてお伺いいたします。
 そもそも、一年足らずの間に二人続けて政権を投げ出した自民党の総裁が、総選挙を経ないで三たび、ここにこうして総理の座に座っておられるのは、信じがたい光景であります。
 与党が政権を担う能力を失ったならば、直ちに野党に政権を渡し、総選挙を行うのが議会制民主主義の筋道だと心得ますが、総理は憲政の常道というものをいかがお考えでしょうか、お答え願います。
 さて、総理の所信表明演説とは、総理自身の政治理念と、それに基づくビジョン、政策を明らかにするものであると理解しておりましたが、麻生総理の演説には、明白な理念も、具体的なビジョンや政策も、全く示されておりません。唯一はっきりしていたことは、民主党に対する誹謗中傷だけであります。
 また、演説の中で、総理が逆に野党に対していろいろと質問なさるというのも、私の三十九年間の議員生活において初めての経験であります。しかしながら、総理からのせっかくの御質問でありますので、私の所信を申し上げることにより、総理への答弁といたしたいと思います。
 近く行われるであろう総選挙は、国民の皆様に、今後も自公政権を続けるのか、あるいは民主党を中心とする政権にかえるのか、政権を選択することで国民生活の仕組みを選んでいただく、極めて重要な機会であります。
 すなわち、官僚に任せっ切りで、官僚の言うがままに莫大な税金の無駄遣いを続ける自民党政治の旧来の仕組みを継続させるのか、それとも、ここで大なたを振るい無駄遣いを徹底的になくして、国民生活を直すことに税金を振り向ける民主党政治の新しい仕組みに転換するのか、それを主権者たる国民自身に決めていただく選挙なのであります。
 では、なぜ今仕組みの選択なのか。
 私は、この二年半、北海道から沖縄まで、移動距離にして十八万キロ余りを行脚し、各地域の皆さんの生活をこの目で見て、お話を直接伺ってまいりました。
 その行脚を通じて、日本は既に中国、ロシア、米国に次いで、主要国では下から四番目の格差大国になっていることを実感いたしました。ほとんどの地域では、お年寄りも若者も、抜け出しようのないジレンマと将来不安を抱えています。小泉政権以来の、市場万能と弱肉強食の政治で生じたこの格差と不公正を放置すれば、日本の経済社会は根底から崩れ、国民生活が崩壊してしまいます。
 だからこそ、今、日本を変えなければならないのであります。坂道を転げ落ちる前のラストチャンスと言っても過言ではありません。そしてそれは、格差大国を生み出した自公政権に終止符を打ち、政治を変えることでしか実現することができません。(拍手)
 では、どう変えるのか。私たちの掲げる「国民の生活が第一。」の理念に基づいて、政治、行政の仕組みそのものをつくりかえるのであります。
 明治以来の官僚を中心とする国の統治機構を根本的に改革し、国民自身が政治、行政を行うようにする。同時に、国民生活を守るセーフティーネットをきめ細かくつくり上げます。
 具体的には、政治、行政と国民生活の新しい仕組みをつくることで、格差がなく公正で、ともに生きていける社会を築くのであります。その基本政策案は既に発表しておりますので、その柱だけを申し上げます。
 つまり、年金・医療・介護、子育て・教育、雇用、農林漁業・中小企業、生活コストの五つの分野でセーフティーネットをつくるとともに、財政構造の転換、国民主導政治の実現、そして、真の地方分権により日本の統治機構を根本的に改革し、その上に立って日本を地球に貢献する国にするというビジョンであります。
 こうした仕組みをつくることで、新しい国民生活を切り開き、その結果として、本当の内需拡大が進み、地域経済の再生から日本経済を立て直すことができると私たちは考えております。
 この新しい仕組みづくりの核心は、税金の無駄遣いを際限なく再生産している官僚任せの財政運営構造を大転換して、国の予算の総組み替えを断行することであります。
 そもそも税金は、国民のものであり、国民のために使われなければなりません。世界に例を見ない、今日までの日本の財政運営構造こそが異常なのであります。それを放置したまま、財源が足りないとか財源の裏づけがないなどと言うのは、税金の無駄遣いをしてきた側の論理にすぎません。
 国民の生活にとって何が大事か、私たちの新政権の目標である新しい国民生活をつくるために何が必要かという基準で予算の優先順位を決めることにより、私たちの政策を実現するのに必要な財源は十分に確保できるのであります。
 今こそ、国民の意思に基づき、国民の手によって、国民のための予算に全面的に組み替える、そのようにして税金の使い方を変えることが、国民生活を変え、日本を変える要諦であると私は確信しております。
 その意味において、近く行われるであろう総選挙の最大の争点は、無駄遣いを続ける今の税金の使い方を許すのか、それとも、民主党を中心とする政権にかえ、税金の使い方を根本的に変えるのかという選択であります。
 以上の考え方に基づき、私たち民主党は、総選挙のマニフェスト、政権公約を取りまとめました。この場をおかりして、「新しい生活をつくる五つの約束」を中心とするその骨格を国民の皆様に発表いたしたいと思います。
 第一の約束は、官僚の天下りと税金の無駄遣いをなくし、税金を官僚から国民の手に取り戻すことであります。
 一般会計と特別会計とを合わせた国の総予算二百十二兆円を全面的に組み替え、また、過去の税金などの蓄積であるいわゆる埋蔵金も活用して、国民生活を立て直すための財源を捻出します。国からのひもつき補助金は廃止して、地方に自主財源として一括交付するとともに、特別会計、独立行政法人などは原則廃止することといたします。また、当面は、特別会計の積立金や政府資産の売却なども活用いたします。
 それらにより、平成二十一年度には八兆四千億、二十二年度と二十三年度はそれぞれ十四兆円、四年後の二十四年度には総予算の一割に当たる二十兆五千億の新財源を生み出すことができます。また、このように税金の使い方を変えることを担保するために、多数の与党議員が政府に入り、政治が役所をコントロールできる制度に改めます。
 自公政権のもとで所得の減少と不景気の物価高にあえいでいるほとんどの国民は、家計のやりくりでも、まずは無駄を省くことを心がけ、実践しているのではないでしょうか。それと同様のことを国ができないはずはありません。それができないなどというのは、既得権益を守ろうとせんがための、へ理屈にすぎません。
 第二の約束は、年金加入者全員に年金通帳を交付し、消えない年金、消されない年金へとシステムを改めることであります。もちろん、消えた年金記録は国の総力を挙げて正しい記録に訂正し、国が責任を持って全額支払います。
 また、年齢で国民を差別する後期高齢者医療制度は廃止し、被用者保険と国民健康保険を段階的に統合して、将来の一元化を目指します。さらに、医療を機能させるため、医師は五割ふやし、看護師、介護従事者などの不足を解消いたします。
 第三に、子育ての心配をなくして、みんなに教育のチャンスをつくるために、子供一人当たり月額二万六千円の子ども手当を中学校卒業まで支給いたします。公立高校の授業料を無料化するとともに、私立高校、大学なども学費負担を軽減いたします。また、働き方や家庭の実情に応じた多様な保育サービスを支援していきます。
 第四の約束は、雇用の不平等をなくし、まじめに働く人が報われるような社会にいたします。
 具体的には、パートや契約社員を正規社員と均等の待遇にすると同時に、二カ月以下の派遣労働は禁止いたします。また、中小企業を支援しながら、最低賃金の全国平均を時給千円に引き上げてまいります。
 第五の約束として、農林漁業の生活不安をなくし、食と地域を再生いたします。
 そのために、農業の戸別所得補償制度を創設し、林業と漁業についても独自の所得補償制度を検討いたします。また、汚染米の全容解明と責任の追及はもちろん、食品安全行政を総点検、一元化して、食の安全を確実なものにいたします。中小企業については、法人税率を原則半減することなどによって再生させます。
 以上のうち、新しい政権の初の予算編成となる第一段階の平成二十一年度には、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、二兆六千億円の減税を実施します。
 また、高速道路の無料化、子ども手当の創設、医療改革などは、二十一年度に一部実施した上、第二段階の二十二年度、二十三年度に完全に実施いたします。このような思い切った政策の実行こそ、緊急経済対策として最も有効でもあると考えております。
 農業の戸別所得補償は、二十一年度に法律を制定し、二十二年度から一部実施、第三段階の二十四年度に完全実施する予定であります。
 さらに、消費税の税収全額を年金財源として最低保障年金を確立する年金改革は、三年かけて新制度の詳細設計、法案化、法律制定を行い、二十四年度に完全に実施いたします。
 このように三段階に分けて着実に政権公約を実現し、私たちの政権が次に国民の審判を仰ぐ期限である四年後までに日本の新しい仕組みづくりを完了させる方針であります。(拍手)
 最後に、民主党の外交、安全保障の基本方針を申し上げます。
 第一の原則は、言うまでもなく、日米同盟の維持発展であります。ただし、同盟とはあくまでも対等の関係であり、米国の言うがままに追随するのでは同盟とは言えません。民主党は、米国と対等のパートナーシップを確立し、より強固な日米関係を築きます。
 第二の原則は、韓国、中国を初めとするアジア太平洋諸国と本当の友好・信頼関係を構築することであります。特に日韓、日中両国との関係の強化は、日本が平和と繁栄を続けていく上で極めて重要であると考えております。
 第三の原則は、日本の安全保障は日米同盟を基軸としつつも、最終的には国連の平和活動によって担保されるということであります。日本国憲法は、国連憲章とその理念を共有しており、また日米安全保障条約は、条文に明記されているとおり、国連憲章の理念と枠組みに基づいて制定されておるのであります。したがって、日米同盟と国連中心主義とは何ら矛盾するものではありません。
 民主党は、以上の三原則に基づいて、日本の平和を守り、主体性ある外交を確立、展開してまいります。
 私には二つの信念があります。
 第一は、政治とは生活であるということであります。先ほど来申し上げているように、政治は国民の生活を守るためのものだからであります。
 もう一つの信念は、政治とは意志であるということであります。主権者たる国民の皆様が決意をすれば、政治は変えることができるのであります。そして、日本国民はみんなで力を合わせれば、どのような困難でも必ず乗り越えることができると私はかたく信じております。
 その国民の力を最大限に発揮できるようにするのが政治の役割であり、私たち民主党の使命なのであります。(拍手)
 以上、民主党の基本政策と私の所信を申し上げました。総理の御見解を伺います。
 最後になりましたが、国会運営について申し上げます。
 米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、世界恐慌に発展しかねない状況になっております。当然、我が国においても緊急経済対策と各国との政策協調が必要でありますが、同時に、どのような事態にも対応できるようにするためには、政治、行政、経済の仕組みそのものの大転換を実行しなければなりません。
 したがって、日本の進路について、国会で十分に議論し、各党の主張を明確にした上で、速やかに総選挙を実施し、主権者たる国民の審判を仰ぐ必要があると思います。そして、国民の支持を得た政権が強力なリーダーシップを発揮して、このような危機に対処していくのが憲政の常道だと考えます。
 総理のお考えをお伺いし、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

[引用おわり]


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