【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[6月5日]会期延長論が浮上するなか閣法56本中55本が審議入り、改正国有林野経営管理法が成立

2019年06月05日 18時15分53秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘
[写真]東京メトロ千代田線「国会議事堂前駅」、先月2019年5月、宮崎信行撮影。

 水曜朝の「2幹2国」で、森山裕・自民党国対委員長が、先週と打って変わって、会期延長論に言及。ほとんど報道されていませんが、きょねん、野党の抵抗戦術で審議未了のまま廃案に追い込んだ、国家戦略特区法改正案を、「スーパーシティー」と言い換えて提出する構想。

 けさ新聞を読んでいたら、存亡の危機の社民党が、特区廃止を公約に打ち出すようで、私は熱烈支持したい。旧民主党系は、内閣官房の特区担当室出向でめざめて立候補した人がいて、なかなか特区廃止を公約に入れるのは難しいか。

 衆議院では内閣提出法案56本中55本目が衆議院で審議入りしました。いまだに審議入りしないつるしになっているのは、「地域再生法改正案」(198閣法48号)。野党全会派が審議入り(内閣委員会へ付託)に反対していますが、だからといって、与党も、議院運営委員会で、一度も審議入りをお願いしていません。地方創生と内閣委員会をめぐる膠着のなか、森山委員長が、同じところの、スーパーシティー法案に言及したことになります。そうすると、地方創生の審議で会期延長して衆議院解散というシナリオが浮上したことになります。但し、これらの法案は、まったく国民生活とはなんの関係もなく、政権与党のごく一部の幹部が国会と解散を弄んでいるにすぎません。ねらいは小刻み解散で、資金力に劣る野党をつぶしてしまって、残り2年半、自民党総裁任期をまっとうしたい、というだけです。

【衆議院厚生労働委員会 令和元年2019年6月5日(水)】

 まず一般質疑。対決型委員会なので「6月の厚労委」らしい景色。G20保険大臣会合で、根本匠大臣ではなく、新谷正義政務官が出張した経緯について、与野党の罵声が飛び交う、国会クラスタも唖然とする光景がありました。大臣官房の官僚が「重要法案があるから」と政務官が行く日程をつくったと明言しました。これについて、大臣、政務官、役所、与党、野党の間で、理事会などでもめ事があったようです。突然の罵声が飛び交う展開に驚きました。

 この後、法案。

 日本看護協会政治連盟に属する、自民党清和会議員は、ずっとがんばっている印象です。石田昌宏・参議院厚生労働委員長が2つの法案を説明しました。

 「自殺対策の総合調査法案」(198参法27号)は、全会一致で可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。山本孝史、尾辻秀久両参院議員らの議員立法「自殺対策基本法」第15条の調査を後押しする法案。

「死因究明等推進基本法案」(198参法28号)。政権交代直後の内閣と一体になった死因究明が2年間で失効して、それから5年。再び法制化し、厚生労働省に本部を設ける法案です。こちらも全会一致で可決すべきだと決まりました。

 そして、最後に、内閣提出の「薬機法などの包括改正法案」(198閣法54号)が根本匠厚生労働大臣から趣旨説明されました。これで、政府提出の56法案中55法案が衆議院で審議入りしました。厚生労働委の次回開催は未定。


 竹下派所属の前佐賀県知事、古川康さん。選挙区は佐賀2区で、大串博志さんのところです。衆院では2期になる古川さんが趣旨説明し、「棚田地域振興法案」(198衆法 号)が可決すべきだと決まりました。

 法案と関係がないかもしれませんが、竹下派の梶山元地方創生大臣も県の農業土地改良の団体から訪問を受けた、とSNSで発信。改めて予算書をひもとくと、農水省の農業土木関係の予算は少し増え過ぎ。民主党政権が削り過ぎた面はありますが、棚田は大事ですが、できるだけ平野部の耕作放棄地をなくすべきです。棚田での生活維持は大事です。ちなみに、美しい棚田だと紹介される写真の中には、私の本籍地のすぐ近くのものもあるんですよ。しかし、安倍晋三首相が「棚田はみずほの国の文化だ」というのは行き過ぎだと、私は考えます。

【参議院本会議 同日】

 「児童虐待防止法改正案」(198閣法55号)の趣旨説明があり、安倍晋三首相らが答弁。伊達忠一議長、郡司彰副議長がとりおこないました。

 「予備費使用総調書平成29年度その1」は投票総数224、賛成208、反対16の賛成多数で両院で承諾されました。「同その2」は226、214、14で両院で承諾されました。

 この後、対決した、定数6増(半数改選3増)の見返りとしての歳費削減について。

 復興財源ねん出のための2年間2割削減法は、いわば、当時の与党幹事長岡田克也さんの名前をとって「岡田法」と呼ぶべきものです。しかし、山口那津男・公明党代表らも賛成して恒久化しようとした際に、下野後の民主党は一部議員がはぐらかして、恒久化はできませんでした。このとき、はぐらかした幹部議員は、落選しました。はぐらかさなかった方が生涯収入は多くなったでしょう。維新の法案は、実は、岡田法の再現であり、維新の結党メンバー、浅田均さんや、同党の会計責任者を長く務める、東徹さんらが言及し始めました。浅田さん、東さんらが、岡田法を仰ぎ見ていた、というのはなんとなく不思議な気分。

 維新の「歳費法改正案」(198参法3号)は投票総数225、賛成15、反対210の反対多数で否決され、廃案となりました。

 自公の「歳費法と公職選挙法の改正案」(198参法26号)は投票総数224、賛成166、反対58で可決し、衆議院に送られました。

 立憲の「歳費法、特別職国家公務員給与法、裁判官報酬法などの改正案」(198参法29号)は投票総数221、賛成42、反対179の反対多数で否決され、廃案となりました。

 維新、立憲の法案が否決されたのは残念です。しかし、全議員一律の歳費について、党が激しく対立し、オープンな場で議論されたことは頼もしい限り。これが、地方議会だったら、第三者委員会の立ち上げとかわけのわからないことをいって任期切れをねらったでしょう。地方議会や地方議会事務局など、人間が働く場所ではありません。私は歳費を上げようと下げようとかまわないのですが、歳費のことが透明な健康的な日光のもとで行われたことに、さすがは良識の府だと感じた次第です。きょう本会議場にいたおよそ2割~3割の議員があと1か月で本会議場を去るわけですが。

 「改正国有林野経営管理法」(198閣法31号)は樹木採取権をつくり金融支援などを盛り込んだ法律で、投票総数225、賛成182、反対43の賛成多数で可決し、成立しました。

 「建設業法の働き方改革関連法」(198閣法52号)は投票総数225、賛成225、反対0の全会一致で可決し、成立しました。

 この後、3つの調査会のうち1つだけ遅れていた、資源エネルギーに関する調査会の最終報告書が提出されました。さあいよいよ、夏の半数改選です。

【衆議院外務委員会 同日】

 付託議案の審議フィニッシュ後では初めて、一般質疑、国際情勢に関する件がありました。質問の機会は、岡田克也さんは後輩の山川百合子さん、桜井周さんに譲りましたが、「社会保障を立て直す国民会議」からは玄葉光一郎さんが質問に立ちました。

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