【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

令和6年人事院勧告は「初任給月23万円」の衝撃、配偶者手当廃止断言で2年掛かりで、通勤手当上限引き上げ 地域手当は格差見直し検討

2024年08月08日 23時32分17秒 | 第214回国会
[写真]令和6年人勧をプリントアウトしたらすごい枚数に=宮崎信行撮影。

 人事院の川本裕子総裁は、きょう2024年8月8日(木)、首相、衆議院議長、参議院議長に「令和6年人事院勧告」を手交し、発表しました。

 政府は給与関係閣僚会議をへて、第214回国会召集初日に、「一般職国家公務員給与法改正案」「特別職国家公務員給与法改正案」「防衛省職員給与法改正案」「裁判官給与法改正案」「検察官給与法改正案」などを提出。「育児・介護休業法の改正の条項案」、「国家公務員の寒冷地手当に関する法律の改正条項の案」、「一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の改正条項の案」「一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律の改正条項の案」なども出ます。

 衆議院議員運営委員長が「国会議員秘書給与法改正案」などを起草し、審議し、成立のはこび。衆・議運が「歳費法改正案」を作成するかどうかは政治案件となります。「防衛省」は海自の潜水手当水増しによる警務隊逮捕の大臣報告大幅遅れ事件とあわせた審議になります。都道府県市町村の人事委員会・公平委員会も準じた改定をし、一部条例案を各々の議会にはかります。 

 首相に対する人勧は、翌日の長崎出張を勘案した繰り上げ定例閣議の後に手交しました。

 初任給を、総合職試験(大卒程度)で月23万0000円とし、14・6%(2万9300円)引き上げるとした衝撃の内容となりました。

 俸給表は、1級は11・1%アップと大幅に引き上げながら、8級ないし10級は1・1%アップにとどめました。

 人勧は「4月まで実質賃金はマイナスだった」とし、民間に合わせるべきだとのニュアンスをにじませました。

 労働基準法24条「賃金支払いの5原則」で使用者は「手当」を払う義務はありませんが、JTC(上場一流企業)の多くは「配偶者手当」「通勤手当」を支給しており、それがないとJTC正社員も生活が成り立たないのが実態です。人事院は企業のうち配偶者手当を払う企業の割合が平成28年調査では66・8%だったのに、今回は53・5%となり、さらに廃止を検討中の企業が多いことから、今年で廃止すると断定し、その実施は2年をかけて実施するとしました。

 通勤手当は、新幹線通勤者も多いことから、上限を月15万円に引き上げることにしました。

 地域手当は、指定を市町村別から県別にすることにしてこれから検討するほか、地域手当の格差が20%があることから、見直しの検討を始めるとしました。

 人勧は衆参の与野党議員らによる質問通告を受けた国会待機に関して、この一年間で一定の負担軽減などの改革の成果がみられたとしました。

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