【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2012年8月1日、友愛会創設100周年 今週の当ブログは「民社協会ウィーク」に

2012年07月29日 10時19分35秒 | その他

[写真]友愛会を創設した鈴木文治、友愛労働歴史館ホームページからお借りしました。

 今週2012年8月1日(水)は、鈴木文治(すずき・ぶんじ)が「友愛会」を創立してから100周年になります。東京帝国大学政治学科を卒業し、東京朝日新聞記者になった鈴木文治は、フラタニティー(Fraternity)を友愛と翻訳し、労働組合・協同組合としての「友愛会」をユニテリアン協会に設立しました。それが1912年(大正元年)8月1日です。その後、高額納税者に限っていた選挙権を、25歳以上の男性全体に広げた普通選挙(普選)となった第16回衆院選で、鈴木文治は衆議院議員に初当選しました。

 
[写真]第16回衆院選への初出馬の準備をする鈴木文治、「目で見る議会制度百年史」から。 

 第16回衆院選は定数466のうち、二大政党がともに過半数に届かないハングパーラメント(宙ぶらりん議会)となりました。今との大きな違いは、無産階級者がわずか8人(翌年の山本宣治議員暗殺後は7人)しかいなかったということです。それと男性だけだったということです。

 さて直接歴史をつなげるわけには行きませんが、民社党結党は1960年1月24日です。簡単に言えば、「自由主義を前提とした労働組合」の応援を受けていたのが民社党です。党勢は低迷し、長く野党第3党の地位にとどまりましたが、 細川・羽田内閣で1年弱与党を経験し、1994年12月に新進党結党のため、民社党は解党し、民社協会が結成されました。総務省届け出済みの政治資金収支報告書の平成22年定期公表分によると、民社協会の会員数は6080人です。

 民社協会の田中慶秋会長や直嶋正行国会議員団長らはかねてから、「民主党綱領をつくれ」「ついては自分たちにやらせろ」ということで、直嶋正行さんが民主党綱領策定委員長を務めています。「党綱領をつくれ」「ついては自分たちにやらせろ」という人が党を割って出るようなことがあるでしょうか。国会議員以前に社会人として相手にされません。「マニフェストを守るために離党する」というあの人たちとはDNAが違うのです。

 そして、社会保障と税の一体改革関連8法案の採決をめぐるこの1ヶ月半の政局で、民主党が分裂した中で、民社協会員は、城島光力・民主党国対委員長、池口修次・参院民主党国対委員長、平田健二参議院議長、川端達夫総務大臣、小平忠正衆議院議院運営委員長、中野寛成衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員長、中井洽・衆議院予算委員長、柳田稔・参議院予算委員長、古本伸一郎衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会理事、三日月大造民主党国対筆頭副委員長とまさに民主党の支柱となっています。離党したり、造反したりしないので、小沢グループのようにテレビや夕刊紙に取り上げてもらえず、注目度も低いのですが、実は民主党が分裂しながらも壊れないのは、民社協会のおかげだと、私は思っています。

 民主党を応援する労働組合には、民社協会系(旧同盟系)のほかにも、中立労連系、旧総評系があることも申し添えておきます。今週の当ブログは「民社協会ウィーク」と銘打ち、民社協会や民社協会所属議員になるべく注目してお伝えしていこうと思いますが、一体改革法案をはじめ諸法案の審議が進んでいますので、取り上げた民主党議員が民社協会員とは限りませんので、その辺勘違いなさらないようにご留意いただきたく存じます。

 また、正直言って、連休明けから一体改革法案に集中していたので、正直、事前にあまり準備していなかったので、民社協会ウィークは尻すぼみになるかもしれませんが、何かございましたら、メールなどもいただけたらうれしく思います。


[写真]西尾末広民社党初代党首と西村栄一2代目党首、議会制度百年史から、肩書きは同誌についているものをそのまま掲載しました。

 民社党は西尾末広委員長と西村栄一書記長で結党しました。西尾は片山内閣で官房長官、芦田内閣で副総理、西村は芦田内閣で現在の内閣府副大臣(経済財政政策担当)を務めていますが、すぐに吉田茂自由党内閣になっていますので、与党経験は1年ほどです。55年体制になってから民社党は結党されたのですから、当然にして、その後政権の重荷を背負ったことはありません。55年体制崩壊後の1993年の細川・羽田内閣も1年弱で倒されました。

 ですから、第45期衆議院で、民社協会が与党を3年連続でやっていることは初めての経験になるのです。

 責任政治家だった西尾末広は、民社協会の後輩たちを誇りに思っているでしょう。「よく頑張ってるな」。「民社精神を引き継いで与党で頑張れ、後輩たち」ーーそういう声が聞こえてきそうです。

 すべての労働者が幸福に過ごせる社会。それは見果てぬ理想郷かも知れません。昨年の震災では、電力会社の働く仲間の環境が大きく変わりました。民社協会は民主党の枠組みの中で、大きなグランドデザインを描いていかなければなりません。

 産業革命の地、英国ロンドンでオリンピック(五輪)が始まりました。今週を民社協会ウィークと位置づけても、あまり関心を呼ばないでしょうが、それも民社協会らしいと思います。

 今や政権政党国会議員の9割が無産階級者という鈴木文治もビックリのすごい時代になりました。

 責任ある政治を態度で示す。そのお手本が民社協会員です。

 さあ、民社協会の次の百年が始まります。

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