
第23回参院選の比例代表で民主党(政党名および個人名)の得票率が最も高かったのは、三重県の23・2%(19万4999票)だったことがわかりました。全国平均は13・4%。
一方、日教組組織内で比例代表7人中5位(全党の個人名では26位)で3選した元文科政務官の神本美恵子さんの得票数が三重県で1万6053票。神本さんは全国で17万6248票なので、10分の1を三重県で獲得していたことが分かりました。
これについて、岡田筋は、参院選中に、「三教組(さんきょうそ)は山梨の山教組(さんきょうそ)同様に強いから、独自に闘ってもらっている」とし、三重選挙区の選対とは無関係にお互いに尊重して選挙運動していることを明らかにしています。ただ、山梨県教職員組合(山教組)での神本さんの得票は7073票で、全国10位にとどまっており、輿石東元委員長の権勢が衰えたようです。
日教組の組合員の中には、「選挙でがんばったのに、政権交代で民主党が与党期に所得が下がった」との不満があり、神本さんの得票数が注目されていました。岡田さんは副総理・公務員制度改革担当大臣時代に、(国家)公務員に労働協約締結権(自律的労使関係)を与え、人勧(人事院勧告)を廃止する法案の成立に向けて、人事院総裁を更迭してまで公務員改革をすすめたことがから一定の評価を得たのかもしれません。法案はねじれ国会の野党・自民党の抵抗で廃案となりました。自律的労使関係を教員、公務員が得れば、春闘(春期生活闘争)の要求作りを通じて、各職場の要望・不満を吸い上げたうえで、給料や労働環境を決めることができます。ただ、春闘を政治活動より優先するのは働く者として当たり前なので、日教組と自治労の2つの産別の集票力が落ちると考えられます。
日本最初の労働組合であるUAゼンセンの現職が次点で落選しました。現時点で、データを持っていませんが、ゼンセンは食品スーパーのあるところには、どこでも組合員がいます。ということは、47都道府県どこでも人が住んでいれば、広く薄く組合員がいることになり、非拘束名簿式比例代表だとどうしても踏ん張りがきかないところがあります。
自動車総連では、民主党比例代表トップ(個人名は全体で14位)の磯崎哲史さんは、27万1553票のうち、愛知で7・6万票、神奈川で3・2万票、静岡で2・4万票と3県だけで半数弱を集票しました。いうまでもなく、トヨタ自動車、日産自動車、スズキの地元になります。とはいえ、磯崎さんは日産社員ですから、やはり、労働運動は団結が始まりであり、団結がすべてだと感じます。
最も多くの非正規雇用者が加入しているUAゼンセンの国会へのルートが1本減ってしまったことは、アベノミクスの中不安が残ります。これから3年間の「働き方国会」での論客を一人失いました。
いわば、自動車総連は「小さな声を聞く力」があるわけですが、UAゼンセンは「声なき声を聞く力」がぎりぎり踏ん張れなかったことになります。
自民党竹下派の岡田さんと日教組の神本さんが、相互不可侵で、集票する「寄り合い所帯」の民主党が、お互いのことをもっと知って、「小さな声を聞きながら声なき声を想像すること」が大事です。UAゼンセンも第18回統一地方選で、大選挙区の市町村議員1人を推薦して当選させる力はいくらでもあります。その思いやり。
昨日、「民主党支持者は党内リベラルを否定した」と書いたところ、一部反論がありました。しかし反論した人はみんな落選者でした。そのような偉そうな態度が否定されたのです。
神本さんは先の通常国会でTV入り予算委員会でパネルを使ったところ、同僚が誰も手伝わず、一人でパネルをさしかえながら話す姿がNHK全国ネットで放送されました。民主党にありがちな「いじめ」です。
しかし、神本さんはしっかり当選したのです。
その現実を当然ととらえたうえで、いじめを止めたら民主党は野党各党を糾合することができます。
私は「民主党は寄り合い所帯」は褒め言葉だとずっと思っています。
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