【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【閣法】「共同親権法案」が来年通常国会に早々に提出との日程感が浮上、さすれば「自民党岩盤保守層との大熟議法務委員会」になるかも

2023年08月30日 06時44分08秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]法務省・検察庁の向かい側(皇居桜田門傍)に立つ筆者、おととしの11月。

 きのうの法制審議会家族法制部会第30回部会から「離婚後の共同親権」を盛り込んだ「たたき台」の検討が始まりました。

 これについて、「共同親権を盛り込んだ民法改正法案」を、来年の通常国会に早々提出して成立させる日程感が与党にあることが分かりました。

 読売新聞がイラストで示した今後の予定では来年通常国会に提出されるとし、東京新聞は与党内で提出を求める声があるが政府与党で異論があると報じました。

 きのう、令和5年2023年8月29日の「法制審議会家族法制部会第30回会議」に法務省民事局はA4判7ページの「家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けたたたき台(1)」を提示。この中で「子との関係での父母の責務を明確するための規律を整備するものとする」「父母双方が親権者となるときは親権は父母が共同して行うものとする」とし、共同親権が本則だと受け取れる案を出しました。そのうえで「ただし、次に掲げるときは、その一方が行うものとする」とし「他の一方が親権を行うことができないとき、この利益のため急迫の事情があるとき」は例外として単独親権にできるとの文章が提示されました。

 たたき台は、養育費の先取特権を新設することも机上にあげました。民法第306条第2号の雇用関係の先取特権に次ぐ順位とすべきだとしています。民法の根幹部分に改め文が入ることになるかもしれません。

 さらに「法定養育費」を新設し、「費用の分担の定めをすることなく協議離婚をした場合に対応する仕組み」として、一定の要件・離婚から一定の期間・
法定養育費を請求できるとしました。拒むには、「その支払いによってその生活が著しく窮迫することを証明」する必要があるとしました。こちらは、執行官法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法に改め文が入ることも予想されます。

 いずれにせよ、(1)共同親権を本則とする(2)養育費の先取特権を加える(3)法定養育費を入れるーーの3点について、法務省民事局は「タカ派」のたたき台を出してきた印象があります。

 第49回衆院選と第26回参院選を終えた「黄金の3年間」を2年間残す、岸田文雄自公政権ですが、先の第211回通常国会で「LGBT理解増進法」で岩盤保守層が自民支持から剥がれ落ちたとみられます。共同親権に関しても、岩盤保守層から「女性などの親が不倫をしなければそもそも離婚後の単独親権・共同親権の議論が不要だ」といった保守的な意見がこだまして、自民党支持から剥がれることも想定されます。が、そのことが来年9月の自民党総裁選で岸田さんに不利に働くともいえないことから、与党主流派も来年の前半に一気に決めてしまった方がいいとの思惑があるのでしょう。

 が、法務委員会をめぐっては去年葉梨康弘法相が辞任。先の通常国会では、後任の斎藤健法相のもとで2年前の廃案と大きく変わらない「改正入管難民法」が成立し、国会内外を通じたシュプレヒコールは「原発60年超」「防衛財源」の審議をも凌駕しました。

 前々の法相の古川禎久さんが設けた外国人技能実習生法の見直しの勉強会のとりまとめの国会審議も控えていることから、衆参法務委員会が、共謀から5年以上、炎上警報のなか運営されることにもなりそうです。

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