【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

何かある?政策活動費の廃止・透明化法案で、自民党本部職員が質問通告同席を、委員部に問い合わせたうえで拒否して、鈴木馨祐センセイが委員会で謝罪

2024年05月23日 18時21分21秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]自民党本部職員の選定で、新総裁(新首相)を決定する党大会の取材を許可された記者の姿を、うらやましそうに撮影した写真。

 政策活動費の廃止・透明化を盛り込んだ政治改革法案の審議が始まりました。

●自民党本部職員が質問通告同席拒み、センセイが謝罪、政策活動費の着服ばれ懸念か

【衆議院政治改革特別委員会 きょう令和6年2024年5月23日(木)】
 法案は「213衆法13号」「213衆法14号」「208衆法48号」「213衆法15号」「213衆法16号」
 質疑の中で、有志の会の緒方林太郎さんは「各党から政党職員または議員の方も質問通告に来ていただきたいというふうに通告をいたしました」とし立憲と維新は党職員も来たとしました。が、「自由民主党からは何の連絡もなく、ただただこなかった」としました。自民党の鈴木馨祐座長は答弁で「私どもの不手際ということであります。私ども職員の方からも(衆議院事務局)委員部を通じて趣旨を確認したところ、議員や党職員の出席が必須というわけではなくて、同席することも排除しないという趣旨だとの連絡があったために、同席をしなかったということでございますが、そこは大変申し訳ございませんでした、お詫びを申し上げたいと思います」と語りました。

 甘利明幹事長の政策活動費が4億円で、衆院選候補に100万円ずつ陣中見舞いを配ったにしても、1億円余ります。これを、自民党職員が懐に入れていたら、一発で実刑5年乃至8年になります。おそらく、自民党職員が懐に入れているから、質問通告にも出てこられないのでしょう。

 50歳になって隠しきれなくなった私の深層心理は「議論は無駄だ、相手を経済的に消せばいい」との私の考えの通り、大規模取材妨害をされた宏池会は解散式と総務省届け出の日程が決まりました。もう一つの当事者、自民党本部は、私が「すいません、震える声で私に対応する女性のあなたは、自民党本部の正社員なのか、契約社員なのか、広報委託先の会社の社員なのか、それだけでも教えてもらえますか」「ごめんなさい」「元宿仁さんに代わってください」とのやりとりにも取材拒否を続けて、よほど探られたくない腹があるのでしょう。下野時の月給25%カットが骨身にしみて頑張るベテラン職員のほとんどは合法的に選挙を闘っていますが、理由は謎ですが、当時の山本有二・経理局長が再登板しました。昔なら、いずれにせよ、「鈴木センセイ」一人に頭を下げさせただけで党職員は先輩のご指導を受けたはずです。見えない裏金で、見えない党職員によるテクノクラート一党独裁のソビエト共産党のような政党が自民党だということを、言語化して伝えられたらいいのになあ、と隔靴掻痒です。

【衆議院本会議】
 「食料増産命令法案」(213閣法27号)は委員会で修正案が否決されたため、政府原案が本会議で採決され、可決しました。
 「農地法など改正案」(213閣法28号)、「スマート農業推進法案」(213閣法48号)も可決し、参議院に送られました。先行して送られた「基本法」はまだ参議院で採決されていません。
 「日本版DBS法案」(213閣法61号)が全会一致で通過しました。
 「スマホのアプリのプラットフォーマー優位の規制法案」(213閣法62号)が可決し、参に送られました。
 「建設業法改正案」(213閣法51号)が可決し、参に送られました。
 「公共事業品質確保法改正案」(213衆法17号)が可決し、参に送られました。
 きょうの議題のうち、食料増産は「事態」で農業者が目標計画を出さないと前科(罰金)がつく内容。農地転用を許可された者が、転用した後も、農業委員会に定期報告をしないといけない規定があります。建設業法は公共事業を請け負った際に必要な台帳が簡素化されますが、2024年問題対応で現場監督がつくるペーパーは増えそうです。

【参・経済産業委員会】
 「産業競争力強化法改正案」(213閣法23号)の対政府質疑。
 全国比例で1議席を得た「商工会青年部」は「青年会議所」とは全くの別の組織ですから、どの党の関係者も頭の片隅に入れるべきです。きょうは前回初当選した建設会社副社長でもある自民党の越智俊之参議院議員が質問しました。越智さんは質問の冒頭「平成25年に創設された産業競争力強化法は時代の変化に寄り添って、規制の特例を活用して新規事業を始めたり、税制の優遇措置をいかしてスタートアップの投融資や事業再編をすすめたりした」と評価しました。私は商工会青年部のある県のスピーチコンテストの審査員をしたことがあり、このブログを探せばそれがどこかすぐにわかるでしょうが、一番興味深かった話は、仲間に触発され、建設会社の事業承継後に背広を着て外回りする時期をつくり、夫婦で励ましあったら、軒並み、三次下請けから一次下請けに昇格し、以前と同じ日常でも利益率が大幅に上がり生活や経営が楽になったという話で、特例や優遇の話ではなかったようです。

【衆・憲法審】
 自由討議の6回目。選挙期日の延期の特例法の議論が、北側一雄さんと逢坂誠二さんとの間で交わされました。

【衆・総務委】
 「地方自治法改正案」(213閣法31号)について、自公維教の修正案が出されました。維新で実質的な「国対委員長代理」の役回りを持つ1期生・中司宏議員は、修正の趣旨として「国の自治体に対する指示権を、個別法で定めるのではなく、緊急時の対応として地方自治法に一般的に指示権を作ることは理解できる」としつつも、修正内容として「各大臣の生命等の保護に関する命令は、事後に国会報告をすることを求める」と法案に書き込むことにしました。質疑・採決は次回。

【参・厚生労働委】「育児・介護休業法改正案」(213閣法54号)を全会一致で政府原案通りに可決すべきだと決めました。
【参・内閣委】「子ども子育て支援法改正案」(213閣法22号衆議院修正)の対政府質疑と、参考人質疑がありました。今回も筆者が知らない人ばかりで、論壇がない時代に、専門分野のオピニオン・リーダーの名前はどうやって知ればいいんでしょう。国会ウォッチャーとしての宮崎信行も他分野では全然知られていないんだろうなと思いました。
【参・農林水産委】「食料・農業・農村基本法改正案」(213閣法26号)の参考人質疑で、カロリーベース食料自給率を指標として格下げする条項への懸念が、参考人と議員で共有されました。
【参・環境委】マイク3分切り問題があった水俣病問題の集中審議がありました。
【参・法務委】一般質疑。来週以降は入管2法案になります。

以上です。

【英国の事例】2024年7月4日(木)総選挙へ、政権交代か チャールズ国王のもと、歴代党首相次ぎ引退の陰湿密室政治も、首相暗殺1人だけの英国政治の安定性発揮か

2024年05月23日 02時44分13秒 | 英国の事例
[写真]おそらく日英同盟の歴史的経緯からか、アメリカを含むすべての国家で、最も皇居(最寄りは半蔵門)に近い、駐日英国大使館と看板に写り込んだ筆者、きょねん8月4日、

 リシ・スナク英首相(保守党党首)は、庶民院(定数650=完全小選挙区制)を解散して、2024年7月4日(木)に総選挙を行うと発表しました。

 「英国の事例」カテゴリーでは、7年ぶりの記事となります。改革フォーラム21(羽田孜代表)に参画してから「政権交代ある二大政党政治が必要だ」と30年以上、内心で思っていますが、「言語化」がうまくなく、共産党・公明党組織員と思われる人物から心無い書き込みを受けたり、「宮崎信行の問題点は、政権交代ある二大政党政治が必要だと言いながら、それを説明できないことだ」との批判を真に受け、心が折れてしまいました。2019年総選挙の記事を書かないまま、チャールズ国王の時代になりました。なお、英国は日本と違って、内閣より早く議会が発足していますが、暗殺された首相は1人だけで、日本よりも政治的な安定性に優れているという見方もできそうです。

 目に見えない「裏金」に支配された自民党政治のもと、言語化できるわけがなかったのですが。

 政権交代ある二大政党政治が必要だという言葉が通じなくなってからも、英国の事例の研究は続けていて、2019年総選挙の議員要覧も購入して勉強していました。

[写真]筆者が過去半世紀研究している「タイムズ新聞社」(ロンドン)の「庶民院議員要覧」の前回総選挙分。

 今回の選挙では、首相退任後もバックベンチャーとして本会議で質問をして驚かせた、保守党のテリーザ・メイさん、急進左派として若者の投票率を全体と同じ投票率にあげて、半世紀ぶりに二大政党の得票率ををともに40%以上に引き上げた、ジェレミー・コービン元労働党首(元・影の首相)が庶民院議員として立候補せず引退します。非常に陰湿な「自称・貴族」の政治が続いていて、日本の比じゃなくなっています。3代目の女性首相、リズ・トラスさんも、1期生で史上最年少大臣に抜擢されたときに党内有力者と不倫していたことが明らかになり、海を隔ててうんざりといったところです。

 一方、スターマー労働党首は61歳。仮に首相になれば、1997年のブレア首相以降、二大政党がともに40代前半の若手を党首に担いで政権交代するモデルからは、四半世紀ぶりに脱却することになります。スターマーさんはまだ当選3回です。

 スコットランド州民投票、EU離脱国民投票など、総選挙以外の「選挙」に大きく左右された英国民主主義の10年で、首相や議長がすぐに辞めさせられる陰湿な不透明さは日本より悪い印象ですが、完全小選挙区における党内組織の盤石さといったところは、日本からもチェックしたいところです。

 以上です。