【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

自民党、「政党法」を検討 平成6年細川・羽田政治改革4法の包括化

2014年01月05日 12時59分04秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

 2014年1月5日の日経新聞は「自民党が政党法の検討を通常国会にあわせて始める」と報じました。

 この政党法とは、政党助成法、政党法人格付与法のほか、おのおの国会法、公職選挙法、政治資金規正法に定められた規定を包括化するものです。

 包括的な政党法はドイツ、オーストラリアにあり、政党の定義・設立要件・党則・法人格・国庫補助・収支公表などについて包括的に規律するものです(参考文献・大石真著「議会法」41ページ)。

 平成6年細川・羽田政治改革4法(衆院小選挙区を導入する改正公職選挙法、政党助成法、衆院小選挙区区割り審議会設置法、改正政治資金規正法)では、比例代表当選者が新党に参加できるという抜け穴があります。言うまでもなく比例代表当選者の新党参加は、民主政治への裏切りであり、国庫に対する詐欺ですが、法的な制裁がありません。

 なお、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」(平成6年11月25日法律106号)の第5条「政党は、次に掲げる事項を中央選挙管理会に届け出て、中央選挙管理会の確認を受けることができる」とあり、この中に「綱領その他の当該政党の目的、基本政策などを記載した文書」が定められています。民主党は立党以来、政党法人格付与法第5条にもとづき、毎年「私たちの基本理念」を提出してきています。

 ですから、第2次野党期・自民党の「民主党には党綱領がない」との批判は的外れです。菅首相、野田首相とも衆参本会議で、これを根拠に反論していますが、全国会議員に浸透していたわけではありません。もちろん自民党の批判が的外れというよりも、民主党が反論できなかったことの方が問題です。

 民主党は第2次野党期にあたって、昨年「民主党綱領」をつくりました。

 政党法案では、党首の選出方法、政党助成金の党内での配分方法、最大野党(政権準備党)の次の内閣の定義を規定し、政権交代ある二大政党政治をスムーズに動かすような仕組みづくりが必要です。

関連エントリー)

[当ブログ内から引用はじめ] 

野田首相(民主党代表)「民主党綱領はある」との新解釈 すべて一人で答弁のスタート 各党代表質問

2011年09月14日 15時53分47秒 | 第178臨時国会(2011年9月)野田内閣

[画像]野田佳彦首相の所信表明演説に対する各党代表質問に立った谷垣禎一シャドウ首相(自民党総裁)、衆議院インターネット審議中継から。

【衆院本会議 2011年9月14日(水) 各党代表質問】

 野田佳彦首相の所信表明演説に対する各党代表質問の1日目として、自民党総裁でシャドウ首相の谷垣禎一さんと3期生の古川禎久(ふるかわ・よしひさ)さん=宮崎3区=らが質問しました。これに対して、野田佳彦首相はすべての質問をひとりで答弁しました。関係閣僚が一切答弁せず、首相ひとりがすべて答えるのは極めて異例のことです。答弁者を首相ひとりに絞ることで、答弁ミスなどがないよう、慎重運転する姿勢が見えました。

 野田首相は、谷垣さんから「東アジア共同体構想」について質された部分への答弁で、「私の政権では大きな構想よりも、震災対応などの当面の懸案を解決していく」として、構想そのものは維持しながらも、諸課題を処理する内閣であることを強調しました。

 谷垣さんは「代表選で3党合意を白紙に戻すかのような候補がいた」と海江田万里候補を擁立した小沢グループを暗に批判したうえで、「その候補者は相当数の得票を得て、投票した人が政権(政務三役・党幹部)入りしている」と指摘し、「いくら野田総理が誠実そうに見えても疑わざるを得ない」と不信感を強調しました。また「日教組のドンでである輿石東氏を幹事長に起用した」として、「民主党には構造的な隠蔽体質がある」と指摘し、民主党内への不信を強調しました。これについては、民主党から質問に立った樽床伸二・幹事長代行も「民主党のガバナンスを確立させなければならない」として、党内の統治・被統治能力に懸念があることで谷垣さんと認識が一致する場面もありました。

 谷垣さんは質問演説の最後に、これまでは小沢問題などを念頭に置いて使っていた「信無くば立たず」という言葉を引き合いに出しながら、これを「信無き、正統性なき政権だ」として、総選挙から党内の代表交代に伴う3つめの内閣だとして、解散(「信を問う」)を求めました。

 野田さんは、政党の結成届けには綱領が必要とされているとし、1998年4月の結党時に、綱領にかわる物として、「私たちの基本理念」を届け出ているとしました。これは今までの民主党代表としては初めて示した解釈だと思われます。これについて、私が手元で、調べてみましたら、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」の第5条で、「政党は(略)届け出る場合には、次に掲げる文書を併せて提出しなければならない」「綱領その他の当該政党の目的、基本政策などを記載した文書」と定められてあり、この手続きで、「私たちの基本理念」を中央選挙管理会(事務局は総務省)に出していることになります。また条文を読むと、ほぼ毎年提出していることになります。野田さんは新しい政党として綱領という言葉を使わず「私たちの基本理念」としたと答弁しており、実は結党時には野田さんは落選していましたが、あくまでも法人としての政党党首ですから、この新解釈は今後、定着していく可能性が高いと考えられます。

 議場内交渉の結果、2つの答弁漏れがあり、野田首相が「谷垣総裁、ご無礼いたしました」として、答弁を追加する場面もありました。

 自民党は、第177通常国会で積み残しになった3つの東日本大震災対策の議員立法(二重ローン対策法案、私立学校の建物の復旧のための特別措置法案、国会への原子力事故調査委員会設置法案)の審議をするためにも、今国会を延長すべきだとしました。

 自民党が総理以外の閣僚に答弁を求めなかったことや、会派の持ち時間内で可能な再質問・再々質問をしなかったことは、自民党が各党代表質問に「不完全燃焼感」を醸し出して、早期の予算委員会開催への世論を高めたいねらいが見え隠れしているようにも感じました。

 [民主党綱領である私たちの基本理念]

私たちの基本理念

~自由で安心な社会の実現をめざして~

1998年4月27日民主党統一(第1回)大会決定より

●私たちの現状認識

日本は、いま、官主導の保護主義・画一主義と、もたれあい・癒着の構造が行き詰まり、時代の変化に対応できていません。旧来の思考と権利構造から抜け出せない旧体制を打ち破り、当面する諸課題を解決することによって、本格的な少子・高齢社会を迎える21世紀初頭までに、「ゆとりと豊かさ」の中で人々の個性と活力が生きる新しい社会を創造しなければなりません。

●私たちの立場

私たちは、これまで既得権益の構造から排除されてきた人々、まじめに働き税金を納めている人々、困難な状況にありながら自立をめざす人々の立場に立ちます。すなわち、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表します。「市場万能主義」と「福祉至上主義」の対立概念を乗り越え、自立した個人が共生する社会をめざし、政府の役割をそのためのシステムづくりに限定する、「民主中道」の新しい道を創造します。

●私たちのめざすもの

第1に、透明・公平・公正なルールにもとづく社会をめざします。
 
第2に、経済社会においては市場原理を徹底する一方で、あらゆる人々に安心・安全を保障し、公平な機会の均等を保障する、共生社会の実現をめざします。
 
第3に、中央集権的な政府を「市民へ・市場へ・地方へ」との視点で分権社会へ再構築し、共同参画社会をめざします。
 
第4に、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」という憲法の基本精神をさらに具現化します。
 
第5に、地球社会の一員として、自立と共生の友愛精神に基づいた国際関係を確立し、信頼される国をめざします。

●理念の実現に向けて

私たちは、政権交代可能な政治勢力の結集をその中心となって進め、国民に政権選択を求めることにより、この理念を実現する政府を樹立します。(了)

[当ブログ内から引用おわり]

[国会会議録データベースから引用はじめ]

178 - 衆 - 本会議 - 2号 平成23年09月14日

 ○内閣総理大臣(野田佳彦君)

(略)

法的に、政党届を提出する際には、綱領、基本政策、党規約等の提出が義務づけられており、民主党は、綱領として「私たちの基本理念」を届け出ております。これは、一九九八年四月二十七日に現在の民主党を結成した際に、結党に参加した議員が熱心な議論を重ねた上に、既成の政党の綱領も吟味、検討した上で、新しい政党として綱領という古い概念と既成観念を乗り越えていくと結論し、あえて「私たちの基本理念」という簡潔な文章にまとめ上げたものでございます。

[国会会議録データベースから引用おわり] 

[お知らせ1 はじめ]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けています。交通費、資料代に充当したく存じます。日本唯一の国会傍聴ブログにご協力ください。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 よろしくお願いします。

[おわり]

[お知らせ2 はじめ]

 会員制ブログ(有料)で今後の政治日程とポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。購読方法はシステムを提供している「レジまぐ」へお問い合わせください。

[おわり]

[お知らせ3 はじめ]

 このブログは次の各ホームページを参照して、記事を作成しています。

衆議院インターネット審議中継

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)

民主党ニュース(民主党ホームページ)



衆議院議案(衆議院ホームページ) 

今国会情報(参議院ホームページ)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)

goo 政治ニュース

インターネット版官報

[おわり]

tags

http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/c/259082c8ba917e37b789ba6fec95c048

http://p-search.kantei.go.jp/ja_kantei/search.x?q=%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E4%BF%A1%E8%A1%8C&ie=UTF-8&page=1&submit.x=-1110&submit.y=-52&submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

http://www.katsuya.net/opinion/2012/11/241113.html

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿