【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

内閣府の洋上風力発電法案が内閣委を回避して、国土交通委員会で審議入りで与党ペース続く【追記有り】

2018年11月16日 14時54分22秒 | 第197回臨時国会2018年12月までの「定例日無視延長なしのひどい国会」」

[写真]石井啓一・国土交通大臣の横で、趣旨説明する、宮腰光寛・内閣府大臣、右端は、工藤彰三・国交政務官、2018年11月16日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 人事院勧告の法案が、すべて、衆議院委員会通過。

 裁判官・検察官の給与法案の審議を終えた後、法務委員会は、野党が与党の一般質疑入りに反発。外国人材確保法案の審議入りの直前をめぐる攻防。

 その一方、最近の衆議院の常任委員会では珍しい付託がありました。内閣府の総合海洋政策推進事務局が所管している法案が、国土交通委員会に付託。国土交通大臣の隣で、内閣府の宮腰光寛大臣が趣旨説明しました。先週金曜日の議院運営委員会理事会で、議長が国土交通委員会に付託するという与党理事の提案に対して、野党理事は反発しておらず、与党ペースの国会運営が続きます。

 こういうこと書くと、続投した辻元清美国対委員長にうるさい人だなあ、と嫌がられるのは分かっていますので、意図的に、辻元先生の前に現れないようにしているわけですが、誰がやっても、衆参自民党過半数では、与党ペースを崩すことは無理ですから、来夏までは英気を養うしかありません。

【衆議院議院運営委員会理事会】

 上述の通り、1週間前、11月9日(金)の議運理事会で、「海洋の洋上風力発電促進法案」(197閣法5号)について、国土交通委員会に付託したいと、与党理事が提案し、野党理事も了承。この場で言及はありませんでしたが、与党国対は内閣委員会が渋滞しているため、国土交通委員会に回す戦術をとりました。

【衆議院国土交通委員会 平成30年2018年11月16日(金)】

 大臣所信に対する一般質疑。

 愛知4区選出で麻生派の工藤彰三・国土交通政務官が、チェーン経営する医療法人から選挙期間中に人材派遣(の疑惑)を受けたのではないかとの問題について、問われる場面がありました。 

 共産党の宮本岳志さんは、1年9か月前のこの委員会で、森友学園国有地問題を取り上げましたが、きょうは、台風による関西空港水没について質問しました。森友をめぐっては、国土交通省航空局長の退職は実質更迭だったとされています。疑惑が解明されたとは思えませんが、森友は「あきた」との有権者も多く、今国会ではほとんど話題になっています。

 ところで、関空の運営会社って、オリックスですよね。

 大臣所信が終わった後、内閣府の宮腰光寛大臣が「洋上風力発電促進法案」(197閣法5号)を趣旨説明しました。これは、先の国会で、政府提出法案なのに、摩訶不思議なことに、唯一、閉会中審査手続きがとられずに、完全廃案になった「196閣法46号」を、政府が再提出した法案です。(参照エントリー

【会期末の珍事】自民党内(甘利明・元経産相と同派閥同県連の委員長)に謎の力が働いたもよう、「海洋再生可能エネルギー発電法案」は政府提出なのに閉会中審査怠り廃案に、自民党内喧嘩はもっとオープンにやれ



 きょう審議入りした「197閣法5号」と完全廃案になった「196閣法46号」を比べると、「国土交通大臣の情報提供」という条項が新しく入りました。これは、事業者に対して、国土交通省が維持に必要な人員や港湾の状況に関する情報を提供する、というものです。「港のことは港限り」と言われ、港湾内の情報は、既得権益者が独占する傾向があり、所管も地方自治体です。政権交代後の自民党は「知っている人は得をする」法制をしており、オリックスや加計さんは合法的に得をして、遅れて気づいた籠池夫妻はどんくさく逮捕されてしまう政治ですから、基本はその延長線上の法案加筆だったのだと思います。

 次回開催は未定のまま、散会。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑。

 その後、「原子力損害賠償に関する法律の改正案」(197閣法2号)が審議入りしました。柴山昌彦文部科学大臣は「JCO臨界事故をきっかけいに制定され、東日本大震災や条約の国内法整備のために改正されてきた」とし、今次改正法案では、賠償金の国から事業者への貸し付けなどを盛り込んでいると説明しました。

 この後、20日(火)の午前9時から、まずは、参考人質疑からスタートすることが決まりました。対政府質疑よりも先に、参考人質疑をすることになります。やはり、原発をめぐっては、役人から聞くよりも、参考人から聞く方がいい、というのは与野党問わず国会の総意だ、ということなのでしょう。

 今国会冒頭では、一般質疑→法案等審査→一般質疑→の委員会審査の方法について、高市早苗議院運営委員長が「サンドウィッチ方式を改める」とするペーパーを出し、本会議遅延・ペーパー撤回のお詫び文書提出へといたる事態がありました。一方、3年前の通常国会では、野党の山尾志桜里さんが、「法案等審査→参考人質疑→法案等審査」のサンドウィッチ方式を打ち出し、刑事訴訟法改正案を41時間審査する異例の徹底審議が話題を呼びました。このとき、与党側の筆頭理事は、弱腰だとして、更迭されました。これが、柴山昌彦さんで、その後、首相補佐官、筆頭副幹事長、文部科学大臣と出世の道を歩んでいるので、3年前の柴山さんは、相手が悪かった、ということでしょう。

【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 こちらも、宮腰光寛さんが出席しました。大臣所信。続いて、消費者安全法第13条第3項にもとづく平成29年度の報告がありました。消費者問題に関しては、アベノミクス終盤戦ということなのでしょうか、最近またマルチ商法などの被害が増えているように感じます。

【衆議院内閣委員会 同日】

 こちらも、宮腰光寛さんが答弁しました。

 「一般職国家公務員給与法改正案」(197閣法3号)は、維新反対、自民・公明・立憲・国民・共産・自由の賛成多数で可決すべきとなりました。

 「特別職国家公務員給与法改正案」(197閣法4号)は、共産・維新反対、自民・公明・立憲・国民・自由の賛成多数で可決すべきとなりました。

 これに先立つ質疑や討論では、維新の浦野靖人さんが「毎年給与が上がり続けることを、国会議員は当たり前だと思い過ぎている」「人事院の調査は大企業を抜き出している」「人事院職員も人事院勧告で給与が上がる」と批判しました。共産党の塩川鉄也さんは特別職の給与アップには反対しました。

 上述の通り、通常はこの委員会に付託されると思われる法案が他の委員会に付託されて「交通整理」されています。

 次回の開催は公報で知らせることにして、散会しました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 「防衛省自衛隊職員給与法改正案」(197閣法10号)が維新反対、自民・公明・立憲・国民・共産・社民の賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【衆議院法務委員会 同日】

 「裁判官給与法改正案」(197閣法6号)と「検察官職員給与法改正案」(197閣法7号)が賛成多数で可決すべきだと決まりました。

 これに先立つ質疑では、国民の階猛さんが「裁判官の人件費アップが2億円で、検察官が1・4億円。それでは出入国在留管理庁ができることによる人件費アップはいくらか」と質問。葉梨康弘委員長が「審議中の法案の質疑をしてほしい」とうながすと階さんは「給与法案の質疑のために必要な比較だ」とかわし、山下貴司法相は「31億円だ」という趣旨に受け取られる答弁をしました。

 給与法案採決後に、一般質疑。

 一般質疑では自民党の中曽根康隆さんはこの後から議題となる見通しの外国人材確保のための出入国管理法改正案について先取り質疑しました。

 一般質疑入りは、野党は了承していなかったため、山尾志桜里さんら野党が抗議し、退席しました。

 「外国人材拡大のための出入国管理法及び法務省設置法改正案」(197閣法1号)が、今週審議入りするか、来週に先送りできるか、野党のひっしの攻防。【追記 午後5時過ぎ】午後5時前に、葉梨康弘法務委員長解任決議案が提出されましたので、趣旨説明はされずに、委員会は終わりました。法務委員長解任決議案は来週火曜日以降の本会議で処理されることになります。【追記終わり】

【衆議院財務金融委員会 同日】

 開催が遅れていましたが、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣の所信表明がありました。

 国会での審議予定の法案はありません。毎年同じことを書いていますが、国税の改正の法案は、一本ずつ、秋から国会で議論したらどうなんでしょうか。国税のシンプル化は議会制民主政治のプロセスで絶対必要であり、財務省の言うことが説得力が無く、もはや馬鹿にされ始めているのは、君子は本を務む、本立ちて道生ず、という原則を守っていないからです。猛省してほしいですが、基本的には、政権交代か、敗戦かするしか解決策がない状況まで煮詰まっているのでしょう。

【参議院災害対策特別委員会 同日】

 まず、西日本豪雨に関して9月6日に前委員長らが行った国政調査派遣の報告。

 続いて、山本順三防災相が、「北海道地震に関する政府報告」をしました。

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